教育トピック

教えて!「新テスト全貌現る?③英語試験の今後」

 「大学入学共通テスト」の実施方針案では、英語の「読む」「聞く」「話す」「書く」4技能を評価するために民間の資格・検定試験を活用する一方、マークシート問題を引き続き出題するかどうかでは、2案が併記されています。どう考えればいいのでしょうか。

教えて!「新テスト全貌現る?③」

 高校英語に関しては、4技能をフルに使ったコミュニケーション能力の育成を目指し、授業は英語で行うことが基本とされています。しかし、これまでの大学入試センター試験では、ペーパーテスト問題で「読む」、リスニングで「聞く」の2技能しか測っていませんでした。そのため、授業で「話す」「書く」の2技能がおろそかになりがちなことが、文部科学省の調査から明らかになっています。

 一方、グローバル人材の育成に力を入れる大学にとっても、英語能力の向上は重要な課題です。留学のために必要なTOEFLや、ビジネス英語で求められるTOEIC(R)TESTの受検を奨励する大学も増える一方です。
 
 しかし、50万人規模が受ける共通テストで、面接などによる4技能の評価を導入しようとするのは、コストの面からも、日程の面からも、記述式問題の導入どころではありません。そこで14年12月の中央教育審議会答申の段階から、民間の検定試験の活用を視野に入れて検討。16年3月の高大接続システム改革会議の最終報告では、「話すこと」についてはICレコーダーやタブレット型パソコンなどに録音する形での試験を考えるなど、マークーシート式問題と別日程で実施することも検討課題に挙げていたのですが、5月16日に示された「高大接続改革の進捗状況について」の段階でも一つに絞り切れず、▽A案=共通テストでは英語を実施せず、検定試験を活用する▽B案=共通テストでは23年度まで継続して出題し、検定試験とのいずれか、または双方を活用するか各大学が選択する――という両論を併記。パブリックコメント(意見公募手続)を実施するとともに、関係団体に意見を聴いていました。

 これに対して、国立大学協会は、学習指導要領に準拠せず、しかも種類の異なる検定試験を活用するには現段階で不確定なことが多いことに懸念を示し、すぐに共通テストの英語試験を廃止することにも反対。日本私立大学連盟は、6段階でしか評価できない検定試験では集団準拠型試験にならないとして継続的な検討を求めました。全国高等学校長協会はB案を支持しています。

 無理をして現行の試験方法を変える必要があるのか――と思ってしまいますが、逆に考えれば、今までも2技能しか測らないテストで本当によかったのか、という問い掛けだと受け止めることもできます。4技能試験を誰が実施するかは別として、グローバル人材の育成という観点からは、高校段階で求められる4技能を着実に身に付けていることを受験生に求めるのは当然かもしれません。
 
 少なくとも24年度からの次期学習指導要領に対応した共通テストから、英語の出題が廃止される方針に、今のところ変わりはないようです。これを機会に、すでに英語で行うことが基本とされている高校英語の授業を、さらに早急に改善する必要があるでしょう。


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【profile】
渡辺敦司(わたなべ・あつし)●1964年北海道生まれ。1990年横浜国立大学教育学部教育学科卒業。同年日本教育新聞社入社、編集局記者として文部省、進路指導・高校教育改革など担当。98年よりフリーの教育ジャーナリスト。教育専門誌を中心に、教育行政から実践まで幅広く取材・執筆。
教育ジャーナリスト渡辺敦司の一人社説 http://ejwatanabe.cocolog-nifty.com/blog/