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福島学院大学 小松由美学長

(2017年10月16日更新)

地域と連携したプロジェクトを通して
自らの足で逞しく人生を歩む力を身に付ける

真心と思いやりを教育の根本とし、地域社会に積極的かつ実践的に貢献する人材を育てる
 本学院は昭和16年の創設以来、「真心こそすべてのすべて」という創立者の信念のもと、60年にわたり女子教育を行ってきました。そして平成12年には男女共学化に伴い「福島女子短期大学」から「福島学院短期大学」へ名称を変更。男女共生社会の担い手としてより地域社会に開かれた大学を目指し、実学に根ざした教育を行っています。また平成15年4月には4年制大学「福島学院大学」を、平成19年4月には大学院を開設いたしました。

『若旦那図鑑』の成功から得た、地域連携の可能性
 本学では地域と連携したプロジェクトの推進を、全学的に広げる試みを進めています。そのきっかけは平成26年度に取り組んだ土湯温泉様とのプロジェクトにあります。東日本大震災後、風評被害払拭を課題としていた土湯温泉様から、何か一緒に地域を盛り上げることができないかとご相談をいただき、本学の、主に情報ビジネス学科の学生が中心となり、土湯温泉の観光協会様や温泉旅館事業協同組合の皆様と一緒になり企画・制作をしたのが『若旦那図鑑』というPR媒体です。これはテレビなどのマスメディアに多く取り上げられましたし、その媒体を手に東京のPRイベントに参加したり、学生主体でモニターツアーを主催したりと、様々な活動を行い復興のお手伝いをさせていただきました。
 このプロジェクトの成功による効果は土湯温泉の認知や集客だけでなく、学生自身の成長にも結びついています。やはり教室で学ぶだけでなく、学外と関わって学ぶことで「今学んでいることが社会でどのように繋がっていくのか、地域のどのような役に立てるのか」ということを実感し、実践できたということが大きく、学内での学びにおいても積極的かつ能動的に取り組む姿勢が見えるようになりました。また、協力してくださった土湯温泉の皆様方からも、学生の若く新しい発想にとても感化されたとのお言葉をいただいています。

ボランティアではなく、長期プロジェクトとして関わること
 これらの成果を受けて、現在は5つほどのプロジェクトを近隣の団体や企業様と手掛けています。その中で本学がこだわっていることは「ボランティア」として関わるのではなく、ビジネスや社会の一員という目線をもって、学生達に「プロジェクト」として関わってもらうことです。現代の大学生の三種の神器とも言われている「サークル活動」「ボランティア活動(あるいは資格取得)」「アルバイト」ももちろん大切ですが、それだけでは社会人になるための力はなかなか身に付きません。本学で長期プロジェクトに取り組んでいくことにより、卒業後、社会人へとスムーズな移行ができるでしょうし、在学中に社会人と一緒に関わるなかで、自然と就職活動に結び付いていきます。ボランティア活動が一時的な手助けや労働力であるのに対して、長期プロジェクトはそのプロセスを全て体験できるからこそ、社会人に必要な力が身に付きます。
 他方で、地域の方々も福島の風評がまだ完全には払拭されていない状況のなか、若い人材が流出していき、少子高齢化が進む一方で、地域をどう活性化させていくかが悩みとなっています。そのため「大学生の若い力、発想力が欲しい」と、ご相談いただくケースが多いのですが、私どもとしては「最初から一緒に考えていきたい」というスタンスをもち、街をどうしていくか、地域をいかに活性化させられるか、自分達が長く住みたいと思える魅力をつくり出せるか、そうしたところも考えながらお引き受けしています。現在取り組んでいる複数のプロジェクトはそれぞれ点のような状態ですが、近いうちに全部が繋がっていくような活動も進めていきたいと考えています。

コミュニケーション能力と表現力の向上
 本学では就職活動や地域との連携に必要不可欠な「コミュニケーション能力」「表現力」の向上にも力を入れています。特にコミュニケーション能力の向上については、読み書きだけでなく「自分から働きかける力」に重点を置き、学生が他学科の教員にアポイントメントをとり30分ほどの話題を提供する『対話テスト』を実施しています。また、サークル活動も本学では活発ですが、思いを相手に伝える方法や手段を自分で考え、実践する機会となっています。

自らの足で歩むために
 本学で学ぶ学生には、卒業後、しっかりと自分の足で歩めるような力をここで身に付けてほしいと考えています。ここで出会う仲間は宝となりますし、地域との連携プロジェクトを通して学べることは、ここ福島に限らず、出身地やこれから働こうと思っている場所で役立っていくはずです。また、本学の特色の一つである、建学の精神「真心こそすべてのすべて」をしっかりと学生に根付かせる『本学の教育』では、「本学の建学の精神と育成しようとする人間像」「真心の実践」に始まり、「マナーとは? マナーはなぜ必要か?」「好感を持たれる言葉遣い」など、本学の学生としての振る舞いや意識を高める授業を実施し、さらに自分の人生を、自分の足で歩むための考え方や行動に関して指導しています。加えて、学生達に常々伝えていることは「何でも臆することなくチャレンジしてみなさい」ということです。学生の今だからこそ大きなチャレンジができ、もし失敗してもやり直せると同時に、失敗から多くのことが学べます。学生時代にはそうした貴重な体験が多くできます。チャレンジすることで新たな発見があり、成長につながり、可能性が広がっていく。その一歩を踏み出せるように、背中を押してあげるのも私どもの使命です。

 近年、教育の質保証の観点から、教育現場では「学習成果の可視化」システムの構築がなされてきています。学生が入学してから卒業までの成長には、勉学だけでなく、先に述べた長期プロジェクト等への参画も大きく関わりますが、それらを今後どのように盛り込むかが課題です。他大学さんの事例なども参考にさせていただきながら、本学なりに工夫し構築していこうと考えています。


小松由美氏

【Profile】

小松由美(こまつ・ゆみ)氏
宮城県仙台市出身。慶應義塾大学文学部卒業、日本女子大学大学院人間社会研究科博士課程後期単位取得満期退学。2003年に福島学院大学短期大学部非常勤講師、教授、学科長、副学長を経て、2016年学長に就任。専門はビジネス実務、社会学、人間関係論およびパフォーマンス学。

【福島学院大学の情報(スタディサプリ進路)】

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