大学・短大トップインタビュー

学校法人東京成徳学園 理事長 木内秀樹氏

2026年に学園創立100周年
東京成徳大学は21世紀型スキルを備えた、
成徳の精神をもった人材育成に注力


「成徳」の精神をもつグローバル人材の育成を目指して
 学校法人東京成徳学園は、1926年(大正15年)に、現在の東京都北区に王子高等女学校を設置したことにより始まりました。開学以来、社会に求められる教育を展開し、現在では、大学院、大学、短期大学、高等学校、中学校、幼稚園からなる総合学園に発展しています。
 2026年には学園創立100周年を迎えます。記念すべき90周年の節目に『東京成徳ビジョン100』を策定しました。建学の精神である「成徳」、つまり「徳を成す」ことのできる人材の育成を、大学から幼稚園まで一貫しどのように目指すか、重点目標や戦略などを改めて検討しました。
 この『東京成徳ビジョン100』で特に重要なのは、将来像に「『成徳』の精神を持つグローバル人材の育成」を掲げていることです。それぞれの学校が重点目標達成に向けて対策を講じていきますが、最終的にはこの将来像の実現を目指すことが重要だと考えています。

「徳」は、自己研鑽の積み重ねの賜物
 創立者の菅澤重雄は、「徳」の意味に共感し、強い思い入れをもって、学園名に冠し本学園を建学しました。「徳」は中国の思想からきている言葉ですが、東洋思想だけでなく、西洋思想の哲学や宗教においても、同様の考え方が見受けられます。江戸時代の陽明学の祖といわれる儒学者、中江藤樹の言葉に、「大善は名声をもたらすが、小善は徳をもたらす」という一節があります。小さな良い行いを積み重ねることによって徳がもたらされる。日頃から自己研鑽に励むことが大切で、それによって品格が備わるということです。
 良識と品格をもって行動できる人材が『成徳』の精神をもつ人材であり、この建学の精神に21世紀型スキルに着目し、「グローバル社会で活躍できる」を加えたものが、『東京成徳ビジョン100』の若者の将来像なのです。

日本から世界とつながる。それぞれの場所で一端を担う
 日本はグローバル化に後れをとっており、もっと世界に目を向け、グローバル化を図ることが必要だといわれています。そのような一面もあると思いますが、日本には日本独自の世界に誇れる文化や習慣もあるのではないでしょうか。
 例えば、サッカーの国際試合終了後、観客席を掃除する日本人サポーターが世界中から賞賛されました。こうした行動は、まさに「徳」の精神であり、この行動は他国のサポーターへと広がりましたが、これは「徳」の感化する力といえましょう。
 グローバル社会の中で、「徳」は決して異質のものではありません。むしろ、「徳」を備えている人材はグローバル社会において、今後もっと評価されることになるのではないかと思います。ITの進化により、社会のデジタル化が一層進むからこそ、人間として精神的なコアが大切になるのではないでしょうか。「徳」の精神をもち、それぞれの場所で、各自の役割を自覚して、他者と連携して活躍できる人材が、真のグローバル人材といえるのではないでしょうか。

生涯にわたって学び続ける姿勢を育む
 現在、東京成徳大学は、国際学部国際学科、応用心理学部臨床心理学科、健康・スポーツ心理学科、子ども学部子ども学科、経営学部経営学科の4学部5学科で学生募集をしています。大学の学びでは、専門教育の学びを通じ、課題を発見し、問題解決能力を身につけることに重点を置いています。そのプロセスや、仲間と協力して学んだ経験は、社会に出て、どのような業種や環境に身を置いても生きるのではないかと思います。
 技術革新が日進月歩で進む時代だからこそ、私たちは常に学び続ける必要があります。このような意味では、東京成徳大学は建学の精神に根ざし、学生が主体的に学ぶ姿勢を大切にしています。また、グローバル社会を生き抜くために求められる能力は、「21世紀型スキル」といわれています。不易である「徳」と、流行である「21世紀型スキル」を兼ね備えた若者を育てるために、東京成徳大学では学びの環境を整えていきます。

学生全員が1年間の海外留学を経験する「国際学部」が誕生
 2019年4月、東京成徳大学に国際学部を創設しました。国際学部では、学生全員が1年次後期から1年間の海外留学を経験します。留学先はアメリカ、または韓国です。そして帰国後も、語学力のさらなる向上に特化したカリキュラムが組まれているのが大きな特色です。
 国際学部が誕生したことによって、既存の経営学部、応用心理学部、子ども学部との「学びのつながり」が期待できると考えています。例えば、海外留学のノウハウを他学部にも応用できるなど、個々に独立していた学部が、相互に密接に連携し、学際的教育ができるようになったといえます。
 語学力はグローバル社会に必要不可欠なスキルです。現在は英語・韓国語の2コースですが、将来的には中国語など多言語へのさらなる展開も視野に入れています。

全学部が東京キャンパスに集結。各学部の学びがつながる
 また、2020年から応用心理学部健康・スポーツ心理学科が、千葉キャンパス(八千代)から東京キャンパス(十条)に移転します。これまではスポーツと心理学の2つの視点からの学びでしたが、移転を機に、都市型の健康・スポーツが学べるものとして、カリキュラムの変更を進めています。キーワードは、「ウエルネス」です。健康より大きな概念である「ウエルネス」を軸に据えると、応用心理学部臨床心理学科や子ども学部とのさまざまな連携が期待できます。幼児教育においては、子どもの教育に加え、子育てに悩む親の相談に乗ることも大事なことです。心理学や「ウエルネス」という観点に基づくアプローチで解決方法を導き出す場合もあることでしょう。
 応用心理学部健康・スポーツ心理学科の移転に伴い、2020年に全学部が東京キャンパスに集結します。国際学部の創設と相まって、全学部が横断的につながり、学びの可能性がさらに拡がります。規模的には小さいですが、内容的には優れた教育があり、日本一の大学と評価されるよう努力します。

One for All, All for 東京成徳ビジョン100
 今後、創立100周年を迎えるにあたり、全教職員が『東京成徳ビジョン100』の目標達成に向けて考え、行動することが大切です。まずは、各学部で専門的な学びを充実させるとともに、学生に「成徳=徳を成す」を意識してもらえる土壌をさらに醸成していきたいと考えています。そのため、「学び」の中でも、対話や議論が必要とされるように、学生生活の中で活発なサークル活動などを通じて、多様性と連帯、そして課題解決能力を身に付けることは、とても意義あることだと考えます。こうした活動が活発になるよう、支援していくつもりです。
 「One for All, All for One」という有名な言葉があります。「一人はみんなのために、みんなは一人のために」という意味で知られていますが、本来は「一人はみんなのために、みんなで一つの目的のために」と解釈すべきといわれています。この言葉を活用すると、「One for All, All for 『東京成徳ビジョン100』」となります。『オール成徳』という意識の下、一つのビジョンをみんなで共有し、実現に向かってみんなで努力をしていく。特に東京成徳大学では、多様性を尊重しながら、教職員が一体となり、学生と共に学園創立100周年に向けた大学づくりに取り組んでいきます。



木内秀樹氏

【Profile】

木内秀樹(きうち・ひでき)氏

慶應義塾大学法学部卒。民間企業を経て、1985年に教員に。1990年東京成徳大学中学校長、1999年東京成徳大学高等学校長、2013年東京成徳学園理事長、東京成徳短期大学長に就任。元中央教育審議会専門委員、東京都私立学校審議会委員ほか。

【東京成徳大学の情報(スタディサプリ進路)】

大学・短大トップインタビューに戻る