大学・短大トップインタビュー

江戸川大学 学長 小口彦太氏

2020年に開学30周年。
国際化と情報化に対応する人材の育成へ


「人間陶冶」の教育理念を基盤に発展を続ける
 江戸川大学は1990年に、社会学部応用社会学科、マス・コミュニケーション学科の1学部2学科体制で開学しました。教育理念として掲げているのは「人間陶冶」。開学当初から一貫して、人間としての優しさに満ち、普遍的な教養と時代が求める専門性により社会貢献できる人材の育成を目指しています。これは江戸川学園の母体となる城東高等家政女学校(1931年開学)時代から一貫した教育の基本方針であり、徳と教養をもったよき市民の育成は、教育機関の大切な使命だと考えます。
 その基盤の上にどのような力をプラスすれば、実際の社会で活躍できる人材たり得るか。そう考えた時キーワードとなるのが、国際化と情報化ではないでしょうか。それは変化が速く、グローバル化が押しとどめようもなく進む現代社会では、情報を収集し分析する技術と異文化に対する理解、そして公用語となる英語力は必要不可欠なものだと考えるからです。
 この「国際化と情報化」に対応する人材の養成は、江戸川大学の設置の趣旨に記され、開学当初より目指しているものです。この指針に沿って、1997年に環境情報学科、2000年に経営社会学科を設置し2006年にはメディアコミュニケーション学部を開設、2014年には地元流山市の強い要請もあり、地域の子ども・子育て支援ができる人材の養成を目指してメディアコミュニケーション学部にこどもコミュニケーション学科を開設しました。学部学科は時代の要請に応じた改変を経て、現在では社会学部―人間心理学科、現代社会学科、経営社会学科、メディアコミュニケーション学部―マス・コミュニケーション学科、情報文化学科、こどもコミュニケーション学科の、2学部6学科体制のもと、専門性と情報力、国際性を併せ持った人材の育成に力を注いでいます。

情報教育には、学生サポートの仕組みと力のある教員の指導が重要
 国際化と情報化に対応する人材育成について、先ずは情報教育についてお話をしますと、本学では他校に先駆ける形で、学生全員へのノートパソコン貸与を実現しました。その後も、実力のある教員を積極採用し、情報教育に力を注いでいます。学生の向学意欲向上のため、奨励資格を設置。資格の種類により、学費免除や報奨金給付などの支援を行っています。情報系では多種多様な資格が奨励資格に認定され、ITパスポートや情報セキュリティマネジメントの試験に挑戦する学生が年々増えてきました。それに伴い、資格取得者も順調に増加しています。2018年度には29名の在校生がITパスポート試験に合格。また、難関の基本情報技術者試験にも合格者を出すに至りました。合格者には情報系の学科の学生が多かったのですが、他学科、他学部からの挑戦も増加傾向で、情報化教育が定着してきたことを実感しています。

国際的に活躍する人材の育成に向け、英語力強化の新たな取組へ
 次に国際化についての人材教育について。この言葉は異文化理解と国際的に活躍する人材の育成という、2つのファクターを含んでいると考えられます。
 異文化を知る、という意味では、語学留学や外国の学生との交流が有効です。江戸川大学では開設時より、ニュージーランドへの約3週間の研修プログラムを実施、多くの学生が参加してきました。海外へ行くことで異文化理解の楽しさや難しさ、英語を学ぶ必要性を実感するなど、成長につながるよい体験になっています。
 ただ、3週間の留学だけで英語力が飛躍的に伸びるか、といえば難しいところもあります。また、異文化を知るという意味でも、ニュージーランド以外の国とも交流がある方がより望ましいと思われます。そこで、私が着任した2016年に国際交流を専門にする部署を新設し、専任のスタッフを置くことにしました。そして、ニュージーランドのマッセイ大学、オーストラリアのボンド大学、カナダのウィニペグ大学、アメリカのポートランド州立大学の4校と協定を結び、短期語学研修から長期の海外研修までを体験できる環境を整えました。
 また、中国の華中師範大学とも学生・研究者レベルでの協定を締結。この大学からは本学へ1年間、留学する学生がやってきました。歓迎会を開いたところ、本学に在学する留学生および日本人学生が集まり、和やかな交流が展開されました。こうした異文化交流が学内で展開される機会をもっと増やしていきたいと思っています。
 国際的に活躍する人材の育成という観点で見た場合、高い英語力は必須です。1年生にアンケートをとったところ、英語学習への関心は高いという結果が出ました。その関心を実際の学習に結びつけ、英語力のアップにつなげるのは、大学と教員の使命です。その一歩目が英語授業の充実です。本学では少人数、能力別の授業を実現、ネイティブの教員一人に学生が4名程度という体制で徹底的に力を伸ばす授業も行っています。
 また、2020年度からは海外留学特別奨学プログラムを実施します。大学入学時に英検2級以上の資格をもっていて留学したいという強い意欲がある学生は、初年度の学費を免除。約1年間の留学先の授業料、渡航費、宿舎代から食費までを大学が負担する、という制度です。先行する形で在学生に募集をかけたところ、2年生がチャレンジしてくれました。今は留学先が求めるTOEFLのスコアを実現するために猛勉強中です。
 これらの新しい取組は、まだスタートしたばかりです。今後、見えてきた課題や学生の希望に添う形でブラッシュアップをしていく予定です。

多様な才能をもった学生が輝ける「おもしろい大学」でありたい
 江戸川大学は2学部と規模は小さいですが、多様な学科をもった大学です。この特色を生かし、ゼミでの教育に力を入れているのも、当校の特色の一つとなっています。少人数のゼミで専門領域の学力を確実に身に付けるために、大学内での研究環境の整備にも力を入れています。
 一例としては、人文系大学としては国内初となる「睡眠研究所」の設立が挙げられます。睡眠実験や認知実験に使用される「スリープラボ(睡眠実験室)」を設置、学外からも専門スタッフを客員教授・研究員として招きました。国際的に権威ある学術雑誌に複数の教授が多くの論文を発表するなど、業績を上げています。ストレス社会である現代、睡眠の重要性には多くの注目が集まっています。その研究成果を一般の人々に還元することは社会貢献としても大きな意義があることですので、今後とも研究のバックアップに力を注いでいく所存です。
 また、スポーツ分野でもサッカー、バレーボール、バスケットボールなど、よい成績を残す部が増えてきました。多様性の時代を迎え、学業面に限らずさまざまな分野で才能のある学生が集まり、伸び伸びとその才能が伸ばせる環境整備をすることも、大学にとって大切なことだと考えています。運動部の学生の中には学業面でも努力して優秀な成績を収める学生が散見され、頼もしい限りです。
 多様性を伸ばす意味では、今後は学部横断型の活動も増やしていきたいと思っています。さまざまな個性をもった学生が集い、お互いに刺激を与え合いながらそれぞれの力を伸ばしていく大学。江戸川大学は、そんな「おもしろい大学」でありたいと思っています。



小口彦太氏

【Profile】

小口彦太(こぐち ひこた)氏

1969年、早稲田大学第一法学部卒業。
1971年、早稲田大学大学院法学研究科修士課程修了。
1974年、早稲田大学大学院博士課程満期退学。2004年、法学博士。
1971年、早稲田大学法学部助手に採用されて以来、法学部で教授を勤め、また教務部長、国際部長、理事、常任理事を歴任。
1981年~1982年、ハーバードロースクール東アジア法研究プロラム訪問学者。
2007年~2016年、早稲田渋谷シンガポール高等学校校長。
2009年より学校法人江戸川学園理事。2016年より現職。

【江戸川大学の情報(スタディサプリ進路)】

大学・短大トップインタビューに戻る