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尚美ミュージックカレッジ専門学校 学校長 山本正壽氏

エンロールメント・マネジメントを実践し、
音楽への豊かな教養と誠実さを兼ね備えた人材育成に取り組む


建学の精神と伝統を守りながら、先を見据えた教育改革を実施
 本校は、1926年に音楽家の赤松直が音楽教育の私塾「尚美音楽院」として開設し、以降95年にわたって音楽・エンタテインメント業界に数多くの人材を輩出してきました。建学の精神は「智と愛」、美を尊重し(尚美)、高い教養(全人教育)を養い、思いやりの心を育むこと。この伝統を守りながら、時代の先を見据えた教育改革にも力を入れ、この業界で有為な人材として長くやりがいをもって仕事ができる、真のプロフェッショナルの育成に努めています。

些細な変化を見逃さない体制づくりで学生を支える
 本校で学んでいる学生は、共通して「音楽が好き」「音楽やエンタテインメントを仕事にしたい」という想いを抱いて入学してきます。しかし音楽の仕事は、多かれ少なかれ個人の力量が見えやすく、入学後に「自分には才能がないのではないか」と目標を見失ってしまう学生が少なくありません。例えば、幼少期から楽器などのレッスンを受けている学生は入学時に基礎が固まっているので、目標までの道筋が明確に定まっていますが、高校から軽音楽部に入り、バンド活動を始めた学生や、これまでほとんど楽器に触れたことがない学生が、他者との技術の差を目の当たりにすると、自信をなくしてしまうことが多くあります。
 学校の役割とは、「離脱する学生をできるだけ出さないこと」が肝要で、学校全体で学生を多方面からサポートする「エンロールメント・マネジメント」の重要性が近年高まっています。本校では以前から少人数制と担任制を導入し、学生一人ひとりに寄り添う教育を実施。この「教員と学生の距離の近さ」は本校の伝統でもあります。私の入職時の学園長であり、長く学校法人尚美学園の理事長を務めた赤松憲樹は誰よりも早く学校に来て掃除をし、机を整えて学生たちを迎え、折に触れて直接話をしていました。私自身も自ら授業をもっているので、学生と接する機会がとても多く、直接学生の顔を見れば、生き生きしているな、今日はちょっと元気がないなということがすぐにわかります。担任においては、より学生との距離が近いため、学生たちの変化をリアルタイムで把握・共有することができ、複数の教員で一人の学生のサポートを行っています。昔ながらの基本的な方法ではありますが、こうした地道な「パーソナル教育」が、今の時代こそ求められているのではないかと感じています。

入学してからも選択肢を広げるカリキュラム
 専門学校の役割として欠かせないのは、学生の可能性を広げることだと私自身は考えています。本校では、学んでいる知識や技術を点ではなく線でとらえ、俯瞰して目標設定をするよう学生に指導を行っています。すると、例えばプロのミュージシャンを目指して学んでいるうちに「自分が演奏するよりも、指導者として吹奏楽部を率いたい」「ピアノや歌が好きだから、幼稚園の先生になって子どもたちと関わりたい」という目標を新たに見出し、“教える”ことに興味をもつ学生が出てきます。本校では、小学校教諭一種免許状、幼稚園教諭一種免許状を取得できる併修制度を用意するなど、将来の目標が変化しても、幅広いカリキュラムで学生たちをサポートする体制を整えています。

資格取得も大きな力と自信につながる
 一般的に、「音楽関係の仕事には資格が重視されない」という印象をもつ方が多いと思いますが、法的な知識は音楽の世界では非常に役立ちます。例えばプロのシンガーソングライターとして活動する際、著作権についての専門的な知識をもつことは、自分の作品を守る大きな力になります。
 本校の音楽ビジネスや楽曲創作に関わる学科では「音楽著作権」の授業を必修とし、4年制の音楽総合アカデミー学科では国家資格である「知的財産管理技能士」が取得できる「知的財産管理技能検定3級」の対策講座を設けており、2020年11月に実施された試験(第37回)では、専門学校の合格者数ランキングで全国1位を獲得しました(一般財団法人 知的財産研究教育財団 知的財産教育協会発表)。このほかにも、音楽業界にかかわらず多分野でも活躍できるよう、ビジネス系の資格取得も支援しています。

独学ではなく、専門学校で音楽を学ぶ意義
 音楽関係の仕事の中でも、音響や映像、照明、エンジニアになるためには、学校で専門知識を学ぶことが欠かせないと認識する人が多い反面、ミュージシャンとしてデビューするという目標を掲げた場合、専門学校で学ぶ必要性を感じない人が多いのではないでしょうか。確かにデビューへの道はたくさんありますが、プロとして音楽を長く「仕事」として続けていくためには、単に歌や楽器のうまさだけでなく、音楽の基礎力・応用力が欠かせません。専門学校とは、そういった基本的な能力や、仕事として続けていくための軸をしっかり身につける場なのです。
 加えて、本校で学ぶメリットとして、音楽業界の中で連綿とつながっている人脈があること、11の異なる学科とコラボレーションしながら学べることが挙げられます。これは独学では得難いものです。さらに就職に関しても、卒業生たちが業界で活躍し、評価されているおかげで、さまざまな企業から声をかけていただく機会がたくさんあるのです。

コロナ禍で生まれた新たな音楽ビジネスの可能性
 コロナ禍は、音楽・エンタテインメント業界に大きな影響を与え、学校の授業形態も変更を余儀なくされました。しかし、実際にオンライン授業を行ってみると、今の時代、作曲やアレンジに関しては、PC1台でできてしまうことも多いので、むしろコロナ禍によって、授業スタイルの幅が広がったと言っても言い過ぎではないかもしれません。
 また、生のライブに変わって配信ライブという形態が増えたことで、新しいビジネスも生まれました。コロナ禍でも音楽・エンタテインメントの需要はなくなることはありません。だからこそ、常に時代の動向を見ながら、新たなものを生み出す人材を育てていくことも、私たちに課せられた使命だと考えています。


山本正壽氏

【Profile】

山本正壽(やまもと・まさとし)氏

奈良県出身。東京藝術大学音楽学部作曲科卒業後、学校法人尚美学園に入職。尚美ミュージックカレッジ専門学校にて、アレンジ・作曲学科長、音楽総合アカデミー学科長、学生をサポートする学生部長、学校長補佐を歴任。2018年尚美ミュージックカレッジ専門学校 学校長に就任。

【尚美ミュージックカレッジ専門学校の情報(スタディサプリ進路)】

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