(4) 東京未来大、東洋大、今後も相次ぐ変革の兆し
さて,ここまではすでに実施されている取り組みを紹介してきたが,今後もこうした動きは続きそうだ(表4)。
東京未来大学が4月に新たに設置する「モチベーション行動科学部」では,試験において優秀な成績を修め,高いモチベーションをもつ学生を対象に,「モチベーションマネージャー育成奨学金制度」を創設する。「入学金と4 年間の授業料が全額免除となる奨学金制度はなかなかない」と自負するのは寺裏誠司理事だ。リーダーとは組織の目的の実現を推進する役割を担う人材であり,モチベーション行動科学部そのものが自己・他者・組織のモチベーションを高める力を身につける学部なので,必要な力を学部科目に置き換えてある。さらに他大学に比べ,組織活動,グループワーク,フィールドワークが圧倒的に多いので,自ずとリーダーとして苦悩することになり,大学4年間のすべてが実践の場になるという。「そもそも保護者のお金で学ぶ姿勢そのものが主体性に欠ける」(寺裏理事)と檄を飛ばしながら,将来的には産業界が奨学金を出資し,本気で企業人が人材を育てる全奨学金学費無料の大学を創ると抱負を述べた。
一方,現総長の名を冠した国際塩川東洋哲学塾(仮称)を構想中なのが,2012年に創立125周年を迎える東洋大学。「混乱と混沌の時代を迎え,大学が変わらなければ国も変わらない」と語るのは關昭太郎常務理事だ。政治・経済・金融セクターやマスメディアの世界において,今不足しているのは哲学。哲学をベースに志あるリーダーを育てる大学は,創設者,井上円了の哲学思想を継承する東洋大学でなければならないと意気込む。哲学教育とはリベラルエデュケーションであるとし,自然を愛し,古典,文化や芸術,スポーツに親しみ,働くことにより培われると理事は説く。そして東洋大学の名の通り,広くアジアに向けて発信する塾とする方針だ。
「10年続けることで600人が塾を巣立つ計算になる。そのうち1%の6人でも,世界に貢献できる人材が出れば大変なことだ」(關常務理事)
リーダー育成を考える際には,近視眼的な結果を期待するのではなく,継続することで初めて成果を後世に残すことができるというわけである。そのためにも,持続可能な運用システムを学内に保持することが重要であるとの考えを示した。
(4) 東京未来大、東洋大、今後も相次ぐ変革の兆し
