ユニバーサル化時代の大学評価(カレッジマネジメント Vol.172 Jan.-Feb.2012)

2008年5月に発行した本誌150号で,「5年目を迎えた大学評価」を特集した。当時,私自身がまとめた記事を振り返ってみると,2004年の評価開始から5年目で, “大学の4割が評価を終えた”と記している。そのうえで,以下の4つの課題を提示させていただいた。

①評価を改善に生かすPDCAサイクルの確立 ②評価結果の社会への浸透 ③評価者の確保と評価の精緻化 ④専門分野別評価への対応

である。
 

また,2008年の中央教育審議会「学士課程の構築に向けて」(答申)においても,“各大学について,自己点検・評価などPDCAサイクルが機能し,内部質保証体制が確立しているか,あるいは,情報公開など説明責任が履行されているか等の観点は,第三者評価において一層重視されていく必要がある。”と改革の方向性を提言している。


 2011年,大学評価の第一期が終了し,二期目に入った。途中段階で課題となっていた事項は改善に向かったのだろうか。自己点検・評価は形式的ではなく,主体的に行われ,大学改革に資するものとなっているだろうか。そして,社会(ステークホルダー)への説明責任は果たされているのだろうか。
 

今回の特集では,諸外国の動向を見ながら,第一期の振り返りと二期目への展望を整理するとともに,二期目はどのような課題認識から,どのような評価方法や評価基準を変更していくのかについて各評価団体から寄稿をいただいた。そして,評価を大学改革に結びつけている事例として2つの大学を取材した。2大学とも評価を大学改革に生かす努力をしながらも,抱えている問題点も浮き彫りになった。ユニバーサル化が進む日本において,大学評価が高等教育や人材育成をより良い方向に変えていく一つの手段として,有用なものになるか否か,二期目の運用が問われている。

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リクルート進学総研所長・カレッジマネジメント編集長

小林 浩

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