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保健衛生と学際領域で、大学届出設置制度を見直し

 来年4月に設置される学部・学科数は、12月16日の答申時点で118件。そのうち6件に1件が看護学科で、ご存じのとおり、看護学科の設置ラッシュが続いている。

 このような中、文部科学省は、来年4月以降、(1)看護師や理学療法士などの「保健衛生学関係」の目的養成分野と、(2)複数の学位の分野が含まれる「学際領域」について、届出設置制度を見直す予定だ。

■「保健衛生学関係」分野

 まず「保健衛生学関係」分野についてだが、学位の分野は「保健衛生学関係」の1つとなっている。

 しかしこの中には、
・「保健衛生学関係」(放射線技師、鍼灸、柔道整復師などを養成)
・「看護学関係」(看護師、助産師、保健師を養成)
・「リハビリテーション関係」(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を養成)
などがあり、目的養成分野が大きく異なるにもかかわらず、学位の分野は「保健衛生学関係」と大きく1つに括られている。

 そのため、学位が変わらないことを理由に、本来はカリキュラムも教員も全く異なる目的養成分野間でも、“届出設置”が可能となる、制度上の抜け道が存在しているのだ。

 図1を例にみてみよう。

 

      現行では、レントゲン技師養成の「保健医療学部診療放射線学科」を、上記の理由で、「看護学部看護学科」として届出設置することが可能となっている。

 しかし、レントゲン技師と看護師ではカリキュラムも教員も互換性がなく、実質、ほとんど新規採用教員のみで届出設置されるケースも少なくない。そして届出設置では、教員審査を経る必要がないのだ。  このため、最近届出による設置件数が多い、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の養成において、学位を持たない、または修士以上の学位を持たない教員の割合が高いケースや、届出時の現職が大学教員でない(高齢である等、辞職が多い)、未開講科目がある等、教員組織の質が懸念されてきた。

 そこで、改正後は、このケースの届出設置を認めず、認可とすることとした。制度の措置として、「学位の種類及び分野の変更等に関する基準」を改正し、「保健衛生学関係」分野において、「看護学関係」「リハビリテーション関係」を独立した学位の分野とし、それら以外と3分割することで、異なる目的養成分野間の届出設置を行えないようにする(図2)。

 

■学際領域

 次に「学際領域」だが、現行では、新設学部・学科の専任教員数が既存のそれの2分の1以上であれば他分野から「学際領域」、「学際領域」から他分野への届出による組織改編が可能となる、いわゆる2分の1ルールを利用し、全く異なる分野にしてしまうことが可能だった。「経済学部」をいったん「経済・工学部」として届出設置し、さらに「工学部」に届出設置するという2段階の届出設置がその例だ(図3)。この場合、学位の分野が変わるので、本来なら認可が必要な組織改編を届出設置できるという抜け道になっていた。

 

 しかも、「学際領域」のケースの多くが、複数の学位の分野にまたがるものの、構成分野がほぼ特定できることや、学科内に分野別コースを設けるので、実質学際的な教育を行っていないものもみられた。

 そこで、「学際領域」の学部・学科設置については、学位の分野が複数にわたっても、構成分野が特定できる場合には、「学際領域」としては取り扱わず、構成する学位に変更があれば届出を認めず認可とする。
 ただし、教養学部等の改編でも、原則認可が必要になるが、例えば教養学科から教養学部への改編といった、専任教員数が2分の1以上であるなど、既存の組織を基にした計画であれば、届出を認める。

 来年4月には「学位の種類及び分野の変更等に関する基準」を改正する方向で、12月11日〜23日までパブリックコメントを実施、24日の中央教育審議会大学分科会で審議・議決されたため、文部科学大臣へ答申される。来年2月3日には改正基準が公布、4月1日に施行される見通しだ。

カレッジマネジメント編集室 能地泰代 (2013/12/24)