WEB限定 月次特集

学部・学科設置のトレンドが新設から改組へ

 本誌179号特集では、今後の学部・学科開発に関して参考となるよう、20年間の学科系統ごとのマーケット・トレンドをライフ・サイクル図に見立てて分析した。

 ここでは、近年の新増設・改組についての申請大学数、申請学科件数の推移について考察を行う。


図表1

 図表1は、新増設・改組の申請を行った大学数の推移をグラフ化したものだ。

 2009年から2012年までは、申請する大学数が減少してきたが、2013年には、増加に転じている。その内訳は、新設・改組別にみると改組の申請大学数が増加していることが要因である。

 さらに新設の割合をみると、2009年に新設申請を行った大学数は64校。申請を行った大学数の合計140校に対する比率(以下、新設比率)は46%であった。しかし、翌年の2010年には半分近い33校に減少し、新設比率も30%を割り込んだ。2013年では22%にまで下がっている。大学の志願者の獲得難易度と新設の認可難易度が高まり、大学の新設申請に対する意欲が低くなっていると考えられる。

 次に、新増設・改組を以下に分類して分析してみる。

1. 設置認可申請を必要とする新増設・改組
   1) 新設する申請
   2) 改組する申請

2. 届出で行う新増設・改組
   1) 新設する申請
   2) 改組する申請

 新増設・改組を行う大学のうち、設置認可が必要な新増設・改組の申請大学件数の推移は以下の図表2となる。


図表2

 

 2009年から認可申請を行った大学数は年々減少し、2012年に一度増加に転じたものの、2013年に再度減少した。2012年の答申で、当時の田中真紀子元文部科学大臣の発言以降、認可の難易度が高くなり、大学側としての申請マインドが冷え込んだ結果かもしれない。

 新設と改組の内訳の推移をみると、新設申請校数は年々減少の一途で、2013年には最少の9件となった。反対に改組の申請校数は、2011年以降増加傾向である。2009年時点では、改組より新設の方が多かったが、2013年には改組が新設を上回る逆転現象が起きた。認可申請のトレンドが、新設から改組へと移っていることが分かる。

 次に、新増設・改組を行った大学のうち、届出による新増設・改組の申請大学数の推移は以下の図表3となる。


図表3

 

 届出による新増設・改組申請大学数は、2009年100校から2012年58校まで減少してきたが、2013年には68校に増加、新設・改組ともに増加した。2012年からの傾向は、図表2の認可と比較すると、2013年に認可が減少したのに対し、届出は増加と、逆の傾向となっており、2012年から2013年にかけては、設置認可より届出での申請が進んだと思われる。

 設置認可の難易度が高まる中で、それでも時代のニーズに合致した新増設・改組が必要なため、より難易度の低い届出で行える新増設・改組に、大学設置者のマインドが向かった結果であろう。

 続いて、学科数推移についても考察する。


図表4

 

 新増設・改組された学科数全体の推移をみると、2009年の231から年々減少し、2013年には148となった。新設は減少の一途で、新設比率は2009年の42%から2013年の14%に減少。一方、改組は2012年以降、増加に転じた。


図表5

 

 そのうち、認可申請を必要とする新増設・改組についてみたのが図表5である。認可申請された学科数は2009年の82校から減少していたが、2011年に下げ止まり、2012年以降は51と横ばいが続いている。内訳をみると、新設は減少の一途だが、改組が2012年以降は増加し、2013年は最高の42学科になっている。


図表6

 

 最後に、届出で行う新増設・改組の申請学科数は減少し続けている。内訳をみると、2012年まで減少し続けた新設が、2013年(12校)には増加に転じたのに対し、改組は、2010年を除き、減少し続けているようだ。

 ここまでをまとめると、設置認可・届出申請の全体の大学数、学科数はともに減少してきているが、これは新設の減少に要因があり、改組はむしろ増えていることが分かった。それでは、実際にはどのようなことが起こっているのか。新増設・改組を申請した大学について、1大学当たりの設置・届出申請学科数の推移をみたものが図表7である。


図表7

 

 ここでは、新設・改組別、認可・届出別に推移を比較してみた。すると、新設の動きとして、赤と紫の折れ線をみると、認可・届出ともに、新設は設置学科数が減少トレンドにあり、2013年には、1大学1学科の水準に下がっている。一方、改組に注目すると、改組による届出(青線)は、横ばいで推移していたものが、新設同様、2013年には減少した。しかし、認可による改組(緑線)のみ、2012年以降増加に転じ3学科に達する勢いだ。

 つまり、総じて設置難易度やマーケットの需要を考慮し設置学科数が減じてきている中で、設置難易度が高い認可型での学科の設置を行う際には、改組で複数の学科を設置するケースが増えているということを示している。ここ数年みられる「新設から改組」へのトレンドは、認可が難易度を増しつつも、特定の大学が、既存学部・学科を改組し、認可申請で複数学科を設置することで牽引していると推測することができそうだ。複数の学科を認可申請で設置するということは、学位や教員組織を変更してでも、既存のリソースをベースに組織再編を行っているわけであり、18歳人口数の踊り場である今、体力のある大学が教育改革を行っている状況を示しているともいえるのである。

 2013年12月24日のWEB限定月次特集でも取り上げたように、文部科学省は、今年4月以降、(1)看護師や理学療法士などの「保健衛生学関係」の目的養成分野と、(2)複数の学位の分野が含まれる「学際領域」について、届出設置制度を見直す方針を出した。

 今後の学部・学科改組は、過去の2分の1ルールがなくなり、教員審査が必要な設置審査に移行していく。これまでは、志願者が増加している分野を捉え、学内資本を活用し、より難易度が低い届出による新増設・改組を検討する傾向が強かったが、今後は、多くの新増設・改組は教員審査が伴うため学部・学科改編の難易度がより高まる。そのため申請者はより覚悟をもって新増設・改組の意味や価値が高い分野への改編検討が必要になるであろう。

   

寺裏誠司  リクルート進学総研 客員研究員 (2014/01/29)

  
   

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