企業選びの条件は「一緒に働きたいと思える人がいるかどうか」(就職白書2014)

 就職活動を通じて、学生が企業を選ぶ時に重視する条件が変わっていっているようだ。

 株式会社リクルートキャリアによる「就職白書2014」では、「企業を選ぶときにもっとも重視した条件」を、(1)就職活動を開始した頃、(2)12月時点の2回のタイミングで聞いている(図表1)。

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 それによると、(1)就職活動を開始した頃は、「業種」(28.7%)がもっとも高く、次いで、「職種」(17.7%)「勤務地」(16.7%)の順で高かった。

 しかし、就職活動も終盤の(2)12月時点では、もっとも重視するのは「勤務地」(20.3%)、「業種」(18.3%)、「職種」(16.5%)の順で、トップが入れ替わった。特に、就職活動開始時にもっとも高かった「業種」にいたっては、12月時点で10.4ポイントも減少した。

 さらに、12月時点で増加した項目を見ると、「一緒に働きたいと思える人がいるかどうか」が7.4ポイントともっとも増加。「安定性」(3.9ポイント)、「勤務地」(3.6ポイント)なども増えている。これらの傾向は、大学選びの“安・近・少”と共通しており、就職活動にも安全志向や地元志向が表れている結果といえよう。

 実は、同じようなことが内定辞退の際の決め手にもなっている。

 2014年卒の12月時点の内定取得者は79.7%で、昨年より4.2ポイント増加した(図表2)。

 内定取得社数を見ると、2社以上の内定を持つ学生が44.7%と、約半数存在している(図表3)。

 2社以上内定を持つ学生に、内定を辞退して入社予定企業を決める際、もっとも重視した条件をたずねた(図表4)。すると「一緒に働きたいと思える人がいるかどうか」(16.6%)が昨年より3.2ポイント増加しトップとなった。2位の「勤務地」も12月時点の重視条件と同じく増加している。注目は昨年トップだった「業種」が約6ポイントも減少して3位に後退したことだ。昨年2位の「職種」も3.8ポイント減少し、5位となっている。

 これらの結果から言えることは、就職活動を開始した頃の学生は、就職に対する具体的なイメージが持てないため、とりあえずは業種で就職先を探し始める。しかし、就職活動を通じて多くの企業に触れ、同じ業種のなかでも企業ごとに違いがあることや、企業ごとの文化やそこで働く人を見ることで、企業を見る目が養われていくのであろう。最後に自分が働く企業を選ぶ際には、一緒に働く人や勤務地など、リアルな場面を想定して選んでいるのがわかる。

 さらに、経年で見て業種が後退している点から、企業の競争環境が激化し、異業種参入も当たり前の時代になり、企業選びは、もはや旧来型の業種という切り口ではなくなってきていることを示しているのかもしれない。

 カレッジマネジメント編集部 能地泰代 (2014/5/26)


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