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2014年就職活動状況の中間考察

 リクルートキャリアの就職みらい研究所が2014年(2015年卒)7月度の内定状況を公表した。就職活動ではよく3つの山があり、1つめの4月、2つめの5月、3つめの7〜9月に多くの内定が出ると言われるが、まさに3つめの山にさしかかった今年度の就職活動の状況はどうなっているだろうか。

 7月1日時点の就職志望者のうち、大学生の内定率は71.3%で、前年同月の65.0%に比べ6.3ポイント高くなった(図表1)。冒頭の1つめと2つめの山にあたる4月から5月にかけて、多くの内定出しが行われており、前年同月比では、5月1日時点で8.4ポイント増、6月1日時点で7.9ポイント増と、昨年より早期の内定出しが進んでいるようだ。アベノミクスによる景気回復で企業の新卒採用意欲が高まり、昨年よりも短期戦と取れる結果が浮かび上がった。

 それでは「就職活動状況レポート(5・6・7月度)」から、今年2月から6月にかけての実際の状況をもう少し深掘りしてみたい。

 6月までに実施される就職活動で常に上位5位に挙がるのが、「面接など対面での選考を受けた」「適性検査や筆記試験を受けた」「エントリーシートなどの書類を提出した」「企業にエントリー(資料・情報の請求)をした」「個別企業の説明会・セミナーのうち、対面(社内、会場など)で開催されるものに参加した」の5項目。

 この5つの活動は実施の時期で大きく2つに分けられ、エントリー関連や説明会への参加、適性試験や筆記試験のピークは2〜3月、面接は4月がピークとなる(図表2)。内定率にも表れていたとおり、4〜5月にかけて多くの内定が出ることから、5月以降の就職活動実施率は低下している。

 なお、来年は選考活動が8月に後ろ倒しになる。昨年9月に経団連が公表した「『採用選考に関する指針』の手引き」によると、「時間と場所を特定して学生を拘束して行う面接や試験などの『狭義の選考活動』」を8月まで自粛するとしている。そのため、来年は選考活動の短期化で採りきれないと心配する企業が今年の採用枠を増やしたり、新卒採用を隔年で実施している企業が、当たり年の来年ではなく今年採用したりといった動きも出ているという。こうした企業の焦りの中、来年後ろ倒しとなる面接の実施状況に注目すると、2〜3月中に面接を受けた学生が昨年より増え、4月をピークに5月以降は減少している(図表3)。4月1日の解禁日を待たずに、企業の面接が若干早く行われているようだ。学生獲得競争が激しくなる中、来年は8月を待たずにフライングで面接を行う企業も現れそうな兆しが見えている。

 ところで、就職活動が短期化すると、3つの山で試行錯誤を繰り返しながら、卒業までに90%超の学生が内定を決めていく期間が短くなることを意味している。この試行錯誤とは、「食品業界に行きたいが大手はだめだった→次は中堅企業→知らない会社ばかり→そもそも食品に行きたいのだろうか→別の業種のほうが向いているのでは…」といった、自分の軸探しでもある。この軸探しがいかに重要か、最後に学生のコメントを紹介したい。

 5月1日時点のコメントを見ると、既に内定を持っている学生では「その企業で働き続けることができるかについての不安が大きくなった」「非常に視野が狭い就職活動をしてきてしまったのではないか(略)効率化を求め、目星をつけた業界に属する企業しか見てこなかった」などの声があった。就活の序盤に内定を獲得できる層は、業種、職種などを重視し志望企業等を選んでいる(図表4)。そのため、本当に自分に合っている会社なのかという不安を抱く学生も少なくない。ちなみに6月時点には「内定を2社断って、また新しい気持ちで就職活動を始めた」「早く終えたい気持ちもあるが、納得できるまで続けたい。4月に内々定を頂いてからも続けてきて良かったと思っています」といった声も出てきている。こうしたミスマッチを修正する時間が来年は少なくなるわけだ。

 一方、5月1日時点でまだ内定を持たない学生からは、「就職活動は前もって準備をすることが大事だということが今になってわかった」「刻々と自分でも思わぬ興味や適性の変化、発見がある」「志望職種を変えたので、就活再スタートとなりました。良い企業が今から見つかるか不安です」などの声が挙がっている。

 3つめの山、7月1日時点になると、「最初に志望し絞っていた業界に行く見通しが立たなくなって、初めて本当の意味での就職活動が始まった気がしている。もっと早い時期から幅広い業界に目を通したりしておくべきだった」と事前準備不足を後悔する声も。一方で「就職活動を始めて中小企業に魅力を感じるようになった」「最初志望していた業界と全く異なる会社に行くことになって不思議」など、新しい発見の声もあった。

 自分の軸探しの時間が短期化することが、来年の就職活動の収束にどう影響するのか、今後も注視したい。

 カレッジマネジメント編集部 能地泰代 (2014/8/26)

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