【奨学金制度に関する学長調査2012追加分析】募集戦略に独自の給付型奨学金を活用――(5) 大学が抱える奨学金の課題
最後に、同じく自由回答をもとに、奨学金に関して大学がどのよ.....
※「奨学金制度に関する学長調査」報告
リクルート『カレッジマネジメント』と文部科学省科学研究費「教育費負担と学生に対する経済的支援のあり方に関する実証研究」の共同プロジェクトは、大学の学費(授業料等)や奨学金の動向を明らかにするために、「奨学金制度に関する学長調査」を行いました。→調査概要を読む
■大学が抱える奨学金の課題
最後に、同じく自由回答をもとに、奨学金に関して大学がどのような課題を抱えているかを整理した(表3)。
「学費設定の判断基準」では、「学費の高さが、学生募集にどう影響しているかが測定できていない」「学納金収入に対する奨学金のシェアは何%が妥当か」など、価格設定のための判断材料となる定量データへのニーズが挙げられている。
また「財源確保」に苦しむ大学が多かった。「独自奨学金を設置するに至っていない」「枠の拡大が経営的に困難」「予算措置で毎年苦労」などの意見が目立った。「限られた予算の中で、いかに効果的な奨学金制度にしていくか」という点に集約されるであろう。
「滞納への対応」は、回収に苦慮する大学が多いことを物語っている。そのため、学費の延納など、回収システムを弾力化する大学もあった。一方、学生や保護者の側に、奨学金を受け取っている自覚がないという回答もあり、それらが回収をより困難にしているようだ。このように、奨学金の管理が複雑化することで、組織の体制作りを挙げる大学もあった。
そして、独自の給付型奨学金を導入済の大学からは、それが学業成績や進路に対して効果を上げたか、効果検証を行いたいという回答が寄せられている。ターゲティングに奨学金を活用する場合、欲しい学生を獲得できたか、その学生がどう成長したか、就職はどうだったかなどが、今後のより学力の高い層の獲得、募集増、経営改善に結びついていくからだ。それには、エンロールマネジメントやIRの充実が一層重要になっていくであろう。
カレッジマネジメント編集室 能地泰代 (2013/01/23)
【募集戦略に独自の給付型奨学金を活用】
(1) ミッションに合う学生をターゲティング
(5) 大学が抱える奨学金の課題
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