【奨学金制度に関する学長調査2012追加分析】募集戦略に独自の給付型奨学金を活用――(3) 独自の給付型奨学金の事例

 前回に引き続き、「奨学金制度に関する学長調査」をもとに、募集戦略に独自の給付型奨学金を活用している事例や、今後の方向性、大学が奨学金について抱える課題を検証する。

【前回】
(1) ミッションに合う学生をターゲティング
(2) 入学前の高校生に分かりやすく広報する

※「奨学金制度に関する学長調査」報告
リクルート『カレッジマネジメント』と文部科学省科学研究費「教育費負担と学生に対する経済的支援のあり方に関する実証研究」の共同プロジェクトは、大学の学費(授業料等)や奨学金の動向を明らかにするために、「奨学金制度に関する学長調査」を行いました。
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■独自の給付型奨学金の事例

 前回によると、大学独自の給付型奨学金の導入目的は、「成績上位者」や「教育理念に合う学生」、「地方出身の学生」を支援することだった。では実際にどのような奨学金があるかを見てみたい(表1)。

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表1

    早稲田大学と慶應義塾大学の場合、地方出身者の支援を目的とする、予約型奨学金を導入している。例えば慶應義塾大学は、長引く不況で、地方の優秀な学生が地元国公立大学を選んでしまい、首都圏出身者が同大学生の約7割を占める点を問題視しているためだ。

 国立大学初の予約型奨学金を作ったお茶の水女子大学の目的は、ずばり学力重視である。

 そして、その国立大学と同水準またはそれ以下の学費となるように、奨学金で学費を割り引いて、国立大学を志願する学生を獲得しようというのが、金沢工業大学や金城学院大学だ。

 神奈川大学は、伝統的な給費生や地方出身学生支援奨学金を導入済みだが、2010年度からは、在学中の成長支援を新たな目玉に、自己実現や資格取得、海外留学などに挑戦する学生を支援している。

(4) 今後の独自の給付型奨学金 を続けて読む

カレッジマネジメント編集室 能地泰代 (2013/01/23)

 

【募集戦略に独自の給付型奨学金を活用】
(1) ミッションに合う学生をターゲティング

(2) 入学前の高校生に分かりやすく広報する

(3) 独自の給付型奨学金の事例

(4) 今後の独自の給付型奨学金

(5) 大学が抱える奨学金の課題

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プレスリリース「奨学金制度に関する学長調査」