【進学ブランド力調査2018追加分析】私立大学のイメージ ポジショニングマップはどう変化したか ④関西編 ――「リクルート進学ブランド力調査」より

※リクルート「進学ブランド力調査」とは
高校生の大学選びの動向を明らかにするため、年に1回、高校3年生を対に、大学の志願度、知名度のほか、大学に対する50項目にわたるイメージを調査。

大学のイメージ(「機能的価値を表すイメージ項目」35項目)を元に、コレスポンデンス分析という手法を用いてポジショニングマップを作成し、全体の傾向と関東・東海・関西の各エリアで、高校生が大学を見る軸が変化しているのかについて、2012年と2018年の結果を比較検証した。
関西の状況を考察する。

「進学ブランド力調査」機能的価値を表すイメージ項目
2012年の分析結果

国際性を含む専門性を強く意識している状況

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 2018年の関西エリアは、軸1が【国公立】⇔【国際性+専門性】、軸2が【職に直結】⇔【キャンパスライフ充実】となった。

 軸1の【ブランド性】が消え、【キャンパスライフ充実】と【職に直結】がともに軸2に移り、軸が総入れ替えになった。【国公立】が軸2から軸1に移動したことで、まず、国公立か私立かという見方をしていることがわかる。これに相反する項目として、「国際的なセンスが身につく」が、優先度の最も高い軸1のトップ項目に出現したことは興味深い。2012年に比べスコアも上がり(0.158→0.822ポイント)、東海と同様、グローバルの意識が高まっているようだ。これに次ぐ「専門分野を深く学べる」と合わせ、【国際性+専門性】とした。
 なお、2012年の軸2上の【国公立】のトップ項目が「学生の学力が高い」だったのに対し、2018年の軸1上の【国公立】は「学費が高くない」がトップになった。

 個別大学のポジションは、以下の通りとなった。
①国公立大学群
②歴史の古い大学群
③医療系大学群
④専門分野を学ぶ大学群

 ①には国公立大学が集中していて、学費が安く、教育内容のレベルや教授・講師陣の魅力も高く、将来の選択肢が増え、先輩・卒業生が魅力的と、教育投資の費用対効果が極めて高いイメージを持たれている。

 ②には私立の有名大学・女子大学がポジショニングされている。有名で、伝統や実績があり、規模が大きく、校風や雰囲気が良いイメージを持たれているグループだ。軸2を境界に、右がいわゆる関関同立、左が産近甲龍と分かれている。

 ③には医療系大学群が左右に広く分布している。資格取得や就職に有利と、最も【職に直結】のイメージが強いグループだ。軸2を境に、右が医科大学、左が医療・福祉、薬・看護といった医療系に分かれポジショニングされている。

 ④は医療以外の専門分野を学ぶ大学群で、③より中央寄りに分布している。社会で役立つ力や教養、国際性が身につくと見られていて、軸2を境に、右が教育大学、左が国際、ビジネス系、芸術大学などとなっている。

 軸1にも軸2にも「専門分野を深く学べる」が寄与する形なので、“専門性の高さ”というベクトルがマップの左上へ向かうような図になった。関西の高校生が、国際性を含む専門性をかなり重視していることがわかる結果となった。

(カレッジマネジメント編集部 能地泰代 2018/11/28掲載)