ITエンジニアの経験をもとに現場の「不」を見つけ、自ら解消に取り組む
2025/10/24
「その一歩が、大学を変える。」
日々の業務の中にある工夫や挑戦。同じフィールドで奮闘する職員たちのリアルなストーリーから、あなたの“次の一手”が見えてくるかもしれません。
「Next up」は、大学の未来を担う私たち自身の知恵と経験をつなぎ、広げるための企画です。
氏名:宮崎雅裕(みやざき まさひろ)氏
大学名:安田女子大学
所属部署:教務課
大学卒業後、IT関連会社にてITエンジニアとして5年間勤務。2021年4月に安田女子大学に入職し、教務課で主に時間割の調整や教職を目指す学生の支援などを担当。学内のDX推進にも自主的に関わる。
【サクセスエピソード】
教科書注文システムを内製化し、費用ゼロで業務改善を実現

教科書注文システムを内製化したことです。これまで書店独自の注文システムを使っていましたが、教員が一から科目名や教科書名、コードなどを入力する必要があるなど、使いにくいとの声を聞いていました。また、入力内容に漏れや間違いがないか、教務課と書店がそれぞれチェックするという作業も発生していました。
書店側に問い合わせたところ、システムの改修には多額の費用がかかることが分かったため、前職であるITエンジニアの経験を活かして新たな注文システムを独自に構築。費用ゼロで操作がシンプルで分かりやすいシステムを作り上げることができました。
私自身は教科書の担当ではないのですが、チェックに追われている同僚の姿を見て、「この状況を改善したい」と自主的にシステムの改修・内製化に取り組みました。その結果、教員の入力の手間を大幅に減らすことができ、入力漏れ・間違いのリスクがなくなったことで書店と教務課のチェック作業もゼロに。加えて書店による注文用紙の作成も不要となり、三方の業務改善につながりました。
【私の仕事術】
周囲と積極的に交流し傾聴して、現場の課題を引き出す
現状を改善するために何か自分にできることはないか、常にアンテナを張るようにしています。IT業界という全く異なる業界から転身してきたので、別の視点から物事を見られることが私の強み。「もっとこうすれば効率化できるのでは?」と思ったら、改善策とともに伝え、サポートするようにしています。
その際に大切にしているのは、相手が抱える課題やニーズをじっくり引き出すこと。これも前職時代、システムの要件定義の際に鍛えられました。何らかの課題や不便を抱えていても、当事者がそれを具体的に言語化するのは難しいものです。様々な角度から話を聞きながら仮説を立てることで、相手の思いを明確化し、的確な課題解決につなげるようにしています。
そのためにも、普段からあらゆる人たちと積極的にコミュニケーションを取ることを心がけています。前回どんな会話をしたか、どんな趣味を持っているのかなどを覚えておいて会話をすることで距離を縮め、現状の不満や困りごとなどを気軽に話しやすい関係性を築く努力をしています。
併せて「スピード感」も重視しています。大学では毎年同じ時期に同じような業務を行うことが多いため、「これは改善すべきだ」と思ったらすぐに着手しないと、また次の年が来て同じ課題にぶつかってしまうからです。システムを使って改善できることであれば、私のほうでまず叩き台となるものを作成し、周囲の声を聞きながらブラッシュアップするようにしています。
【今後の展望】
学部を超えた「横のつながり」を生み出し学内を活性化したい
総合大学として様々な学科の学生が同じキャンパスで学んでいる強みを活かし、学部や学科を越えた「横のつながり」を重視した学習の場を作りたいと考えています。学生同士がそれぞれの専門性を持ち寄り、互いに学び合うことで、新たな発見や成長が生まれるはず。そんな機会を促進できるようなマッチングの場を作ることが、私の一つの目標です。さらに、こうした取り組みを大学内に留めず、周辺地域にも広げていくことで、地域全体の活性化にもつなげていきたいですね。
多くの職員の方々が大学改革に取り組んでおられると思いますが、日々のちょっとした工夫や気づきの積み重ねこそが重要だと感じています。若手職員だからこそ、学生に近い感覚で新しいアイデアを発案できるはず。完璧を目指さず、「これ面白そう」「これやってみたい」という気持ちを大切に一歩ずつ進むことで、大学の未来が開けてくると私は思います。

(文/伊藤理子)
