国際交流の機会を増やすことで学生の視野を広げ主体性を育む

2025/11/10


桜美林大学 学務部 新宿キャンパス事務室 藤谷 拓氏

「その一歩が、大学を変える。」

日々の業務のなかにある工夫や挑戦。同じフィールドで奮闘する職員達のリアルなストーリーから、あなたの“次の一手”が見えてくるかもしれません。
「Next up」は、大学の未来を担う私達自身の知恵と経験をつなぎ、広げるための企画です。

氏名:藤谷 拓(ふじたに たく)氏
大学名:桜美林大学
所属部署:学務部 新宿キャンパス事務室
大学卒業後、2021年4月に桜美林大学に入職。以来、学務部新宿キャンパス事務室にて、学生支援や地域連携、国際交流の推進など幅広い業務に携わっている。地域交流にも注力し、学生と共に夏祭りイベント「Culture Festival」を企画・実行。2023年の初開催以来、毎年1000人以上の来場者を集め地域に指示される人気イベントとなっている。



【サクセスエピソード】
費用を抑えた留学プログラムの新設

写真1

 本学の日本語教員養成課程に所属する学生に向けて、アメリカの大学でティーチングアシスタントを経験できる2週間の留学プログラムを作り上げたことです。より多くの学生が参加できるよう、70万円程度かかることの多いアメリカでの研修費用を40万円以下に抑えることができました。

 本学では国際交流に力を入れており、海外留学プログラムも豊富に用意していますが、金銭的な理由で参加を見送る学生も少なくありません。そのため、費用負担を軽減するプログラムの開発に着手。現在39の国・地域に183の海外提携校・機関がありますが、そのなかでも日本語教育が盛んなアメリカの2校とディスカッションを重ね、互いの思いやメリットを尊重できるようなプログラムを一緒に企画しました。

 先方にとっては、現地での日本語の授業を本学の学生がサポートすることで、現地学生の学習意欲やモチベーションの向上が期待できるというメリットがあります。一方、本学においては、現地の教職員宅にホームステイをお願いすることで、滞在費と交通費の大幅削減を実現することができています。

 このプログラムは2022年度より実施していますが、毎年定員が埋まる人気ぶりとなっています。参加学生からの評判も良く、「日本語教員を目指すうえで実践的な経験ができた」「将来の進路選択に役立った」等の声をもらっています。留学先の大学からも好評を頂いており、「より多くの学生を派遣してほしい」「プログラム期間を延ばすことはできないか」といった前向きな提案も頂いています。




 

【私の仕事術】
こまめなコミュニケーションと傾聴で信頼関係を築く

 普段からコミュニケーションを大切にしています。前述の留学プログラムを開発する際にも、忙しいなかでもこまめに情報共有や確認を行うことで、着実に信頼関係を積み上げました。また、相手の思いを尊重し、傾聴することも大切にしています。留学先の思いに真摯に向き合い、様々な意見に臨機応変に対応する姿勢で臨み続けたからこそ、お互いwin-winとなるプログラムの開発につながったのではないかと実感しています。

 学生支援も主業務の一つであることから、学生に対してもこれらの姿勢を大切にしています。学生の立場に立ってまずは傾聴し、悩みや不安をしっかり受け止め、理解する姿勢を持つようにしています。自分から悩みや不安を相談しづらい学生も少なくないので、自ら進んで声がけしコミュニケーションを取ることも大事にしています。




 

【今後の展望】
留学生との交流イベントなど、国際経験の場を増やしたい

 大学職員を目指したきっかけの一つに、「より多くの学生に国際経験をしてほしい」という思いがあります。私自身、学生時代に留学や国際交流を経験し、様々な価値観に触れ、大きく成長することができました。そのため、留学プログラムの開発はもちろん、日常的に国際交流ができる機会を増やしていきたいと考えています。

 例えば新宿キャンパスでは、毎年5~7月に留学生向けの短期プログラム「Summer Session」を実施していますが、留学生向けに歓送迎会やランチ会等といったイベントを開催し、本学の学生との交流機会を増やしています。この7月には、流しそうめんやスイカ割りなど日本の夏の文化を感じられるイベントを学生団体と一緒に企画・実行しました。このようなイベントであれば、留学に行けない学生や、留学に興味がない学生にも、国際交流の楽しさを体験してもらえるはず。こうした交流を通じて、学生が国際的な経験を積みながら成長できる環境を整えることが、私の役割だと思っています。これからも常に学生の成長を第一に考えつつ学生目線に立って、様々な国際交流の機会を創出していきたいですね。

 18歳人口は今後ますます減少し、学生獲得競争は激化の一途をたどると見られます。学生に選ばれる大学になるにはどうすればいいのか、現場を良く知る若手職員こそが考える必要があると痛感しています。学生と関わる部署であれば、まずは学生の声に耳を傾け、日々の業務のなかで改善できる点はないか、学生のために何かできることはないか考え抜く姿勢が大切。受け身ではなく、主体的に新しい取り組みを進めようとする意識こそが、学生生活の質を高め、ひいては「選ばれる大学」へとつながっていくのだと思います。

写真2



(文/伊藤理子)