入試内容や業務フロー見直しで合格発表までの日数を大幅短縮、志願者増に貢献
2025/12/10
「その一歩が、大学を変える。」
日々の業務のなかにある工夫や挑戦。同じフィールドで奮闘する職員達のリアルなストーリーから、あなたの“次の一手”が見えてくるかもしれません。
「Next up」は、大学の未来を担う私達自身の知恵と経験をつなぎ、広げるための企画です。
氏名:柴田桃子(しばた ももこ)氏
大学名:実践女子大学
所属部署:経営企画部 経営企画課
大学の文学部教育学科を卒業後、2019年4月に学校法人実践女子学園に入職。6年間、入学サポート部で主に入試業務に携わる。2025年4月に経営企画部経営企画課に異動。現在は、理事会や評議員会等の法人会議の運営を手掛けるほか、寄付募集業務を担当し、学園の収入増に向けた戦略の立案・検討に携わっている。
【サクセスエピソード】
2025年度入学者選抜で志願者352%増!入試から合格発表までを中1日に短縮した業務効率化が成功の鍵!

2025年度一般選抜(一般入試)Ⅰ期において、これまでは1週間程度かかっていた合格発表を、中1日に短縮するという取り組みを、部署一丸となって実現できたことです。
Ⅰ期は1月に実施される、本学で志願者数が最も多い入試です。このⅠ期において合格発表までの期間を短縮できれば、「合否はどうなったのだろう」という多くの受験生の不安を早く解消できるうえ、他大学との併願もしやすくなることから、少し前から学内で取り組みを進めてきました。
中1日での合格発表を実現するには、我々入試担当チームの業務タスク管理が重要でした。そもそも入試シーズンには例年様々な業務が集中しますが、そのような環境下で、これまで1週間かけてやってきた採点~合格発表にかかる業務を、入試日と合格発表日を含め3日間で行わなければなりません。採点・合格発表作業にミスは許されないため、一人ひとりが業務過多になりすぎないよう、まずはこの時期の皆のタスクを全て洗い出して整理し直しました。土日の出勤が続くことになるため、負担を平準化したうえでそれぞれ適切に休みが取れるよう、振替休日を踏まえた担当割りを行いました。
そして入試当日は、各科目のテスト終了後すぐに解答内容をデータで取り込むことで、採点処理の迅速化を徹底。これにより、翌日には各学部での合否検討会議を行うことができ、中1日での合格発表を実現できました。
加えて、これまで地道に積み重ねてきた業務効率化も、今年の取り組みを実現できた大きな要因になったと考えています。今では実施している大学も多いとは思いますが、本学では2019年度から段階的に、入試の出願から入学手続きに至るまでのWeb化や願書受付処理の業務委託を進めてきました。例えば、システム導入により合格通知や合格入学関係書類の郵送を廃止しWeb化したことで、合格発表までの業務量は劇的に削減されました。さらに、業務フロー全体を見直し、改善可能な点を徹底的に洗い出すことで、効率化を一層加速させました。また、部署異動による影響を最小限にするため、業務の概要や重要なポイントを示した「業務アウトライン」の作成も行い、誰が担当しても滞りなく、かつミスなく業務を進められる体制を整えました。
こうした継続的かつ戦略的な取り組みにより、合格発表までの期間が短いという受験生のニーズに即した試験実施を実現でき、2025年度の入学者選抜での志願者は昨年対比3倍増となり、本学における過去最多の志願者数となりました。女子大ではトップクラスの増加数となり、とてもうれしく思っています。
【私の仕事術】
困難な目標でもまずは「やり遂げる」と腹を決め、実現方法を熟考する
「やり遂げる」という強い意志を持ち考え続けること、そして一人で抱え込まず周囲に相談することを大切にしています。
たとえ困難な目標であっても、まずは「絶対にやり遂げる」と覚悟を決めれば、「どうすれば実現可能か」という具体策を思考できます。前述の合格発表までの日程短縮も、通常の入試時期の業務量を考えると「実現は難しいのでは」と思ってしまいがちですが、できない理由を考えるのではなく「受験生のためにも、絶対にやり切る!」と腹を決めたことで、実現のために走り切ることができ、様々な壁を乗り越えることができました。
その一方で、一人で業務を抱えすぎないことも重要だと捉えています。入職したばかりのころは、「割り振られた仕事は自分一人でやり切らないと」との思いが強く、誰にも相談せずに抱え込みすぎることが多々ありました。しかし、その都度周囲が声をかけてくれて、サポートしてくれたことから、「大変なときには相談し、頼っていいのだ」と思えるようになりました。ただ、相談する際には、まずは自分の意見を持ち、それを伝えることが大切だと考えています。「自分はこうしようと考えていますが、どう思われますか?」等と相談することで、より良いアドバイスやサポートが得られ、仕事の成果も上げやすくなると感じています。
これらの姿勢のおかげか、最近では、従来の方法に捉われすぎず、より最適な方法を考え前向きに変えていこうという意識が強まったと感じます。業務のなかで「変えてはいけないポイント」を理解した上で、それ以外の部分でより良くできる部分はないかを考え抜くことで、目的や本質を見失わずに業務改善・効率化を進められるようになりました。
【今後の展望】
本学ならではの魅力を発信することで大学の価値を高め続けたい
この春より経営企画部に所属し、現在は理事会等の運営や寄付募集業務等を担当していますが、広い視野を持って大学としての将来を考え、経営戦略を練る立場にもあります。実践女子大学では現在、「社会連携」と「グローバル化」を推進していますが、この2つの柱にさらに注力し発信を強化することで、本学の魅力を多くの人に伝え、大学としての価値を高めていきたいと考えています。新しい部署においても「やり遂げる」との強い意志を持ち、今の自分にできることを全力でやり切りたいと考えています。
各大学が改革に動くなか、全国の若手職員の皆さんも、これまでやったことがない業務に取り組む機会が増えているのではないかと思います。知見がなく、自信が持てないことも推し進めなければならず、「自分にできるだろうか」と不安を抱えている人も多いかと思いますが、小さな目標を立ててそれを一つずつクリアすることで、少しずつ知見が貯まり、自信もついてくると考えています。
私自身、入職して間もないころは右も左も分からず、頼りにしていた先輩も異動してしまい、自分に自信が持てずにいたことがあります。しかし、日々の小さな業務に対して愚直に向き合い続けることで、少しずつできることが増え、成功体験を積み重ねることができました。辛くしんどいと思うときこそ、目の前の業務に真摯に向き合うことを徹底すれば、少しずつ見える景色が変わってくるのではないかと思います。

(文/伊藤理子)
