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専門学校生に対する経済的支援の現状と課題

全国で約2800校・58万人が学ぶ専門学校

 専修学校は、大学等と同じ「学校教育法」で定められている教育施設である。職業に必要な能力を育成すること等を目的としており、入学資格の有無等により3つの種類がある。一般に「専門学校」と言われるものは、高等学校の教育の基礎の上に教育を行う、高等教育段階の学習機会を提供するもので、全国で約2800校、約58万人の学生が学んでいる。専門学校は、18歳人口に占める進学率が全体のおよそ2割を占めるとともに、卒業者のうち卒業後すぐに就職する者の割合が他の学校種よりも高いほか、大学と比べて地元に就職する割合が高いことも大きな特徴である。

 このような状況は、高校生の意識にも表れている。リクルート進学センサス2016によれば、専門学校に進学するメリットとして上位(80%以上)を占める項目は、「自分の目指す仕事・職種につける」ことや、「自分のやりたい専門分野の勉強に集中できる」といったことであり、仕事・職業との結びつきに対する高校生の期待の大きさがうかがえる。これは、大学については、「将来の選択肢が広がる」や「学生生活が楽しめる」といった項目が上位に位置していることと比べ、対照的な特徴と言えよう。

親の年収が上がるほど専門学校進学率は下がる

 ここで、専門学校生の経済的状況に注目してみよう。近年明らかになってきた状況によれば、専門学校生は、同じ年齢層の学生が学ぶ他の学校種と比べて、低所得層の者が多い傾向がある。具体的には、専門学校生と大学生とで家庭の年収状況を比較すると、家庭の年収300万円未満の割合は、専門学校生が2割弱、大学生が1割弱であり、専門学校生のほうが低所得層の割合が高い(独立行政法人日本学生支援機構調べ(平成24年)、及び文部科学省調べ(平成25年))。また、高校生の進路と親の年収の関連を見た場合、四年制大学は親の年収が上がるほど進学率も上がるのに対し、専門学校は、親の年収が上がるほど進学率は下がる傾向も見られる(文部科学省調べ(平成25年))。

 特に私立の場合には、専門学校の授業料等の学生納付金として年間平均100万円を超える負担が求められる中、その支出のための収入源としては、家計からの給付だけでなく、奨学金やアルバイト等にも大きく依存している。家庭の年間収入が300万円未満の専門学校生の4人に1人が、授業料及び生活費の両方を学生本人が負担しているほか、いずれか片方を学生本人が負担している割合も含めると、本人が費用負担している学生の割合は全体の6割を占めている(文部科学省調べ(平成26年))。また、専門学校生の中でも、特に経済的に困難を抱える家庭の学生は、一般学生に比べて母子家庭が多いという傾向も見られる(文部科学省調べ(平成27 年))。

 専門学校の修業年限は一般に短く、2年制の学科が最も多いところだが、必修カリキュラムが多く、朝から夕方まで授業のある専門学校生にとって、夜間や休日のアルバイトで授業料や生活費を捻出しているという現実は、学習時間の確保という点でも大きな課題と言える。そのような中にあって、専門学校生の中退者の数は、経済的理由を直接の原因とするものが全体の約1割を占めている。

少ない専門学校生に対する経済的支援

 専門学校生に対する国による経済的支援としては、日本学生支援機構の奨学金が大きな割合を占めている。無利子奨学金と有利子奨学金を合わせて、対象課程に在籍する専門学校生のおよそ3人に1人が奨学金の貸与を受けており、学生にとって欠くことのできない経済的支援策となっている。奨学金制度については、『ニッポン一億総活躍プラン』(平成28年6月2日閣議決定)等において大きな方向性が示されており、社会に出た後の所得に応じて返還額を変化させる所得連動返還型奨学金制度の導入や、給付型の奨学金の創設に向けた検討などが進められている。

 他方で、奨学金以外の支援策は少ないのが現状だ。東日本大震災や平成28年熊本地震により経済的理由から修学等が困難となった学生に対する支援を除き、専門学校の授業料等減免に関する国の支援事業は存在しない。また専門学校は、地元からの進学及び地元における就職の高さ等、地域における中核的職業人材の育成に一定の役割を果たしているが、専門学校生に対する都道府県独自の授業料等減免の取り組みは、現状としては、高知県や北海道等の一部の県を除き限定的な状況である。また、学校が独自に授業料等減免支援を行っている割合は、全専門学校の4割程度であるが、この場合の対象学生の選考基準としては「人物・学業重視」に基づくものが多く、「経済的基準重視」のものは相対的に低調と言える。

 専門学校と同じ高等教育段階である大学の場合、いわゆる私学助成(私立大学等経常費補助金)等の枠組みの中で、授業料等減免支援が行われている。専門学校についても、特に経済的理由によって修学困難な専門学校生に対する授業料等減免支援について、その実現が課題となっている。

国による実証研究事業で今後の支援の在り方を検討

 そこで国においては、専門学校生の授業料等減免支援について、平成27年度より「専門学校生への効果的な経済的支援の在り方に関する実証研究事業」をスタートした(図表)。

 これは、意欲と能力のある専門学校生が経済的理由により修学を断念することがないよう、専門学校生に対する経済的支援策の検討を進めるための実証研究事業である。

 具体的には、都道府県等を委託先として、修学支援アドバイザーの配置を通じた専門学校生に対する修学支援の実施や、専門学校生の授業料の一部支援等を行うことで、効果的な修学支援の検証等を進めるものだ。私立大学に対する授業料等減免支援と異なる点は、本事業の場合は、特に経済的に修学困難な学生(生活保護世帯等)を対象としていることと、学校という「機関」ではなく、学生「個人」に対する支援を基本的な枠組みとしている点である。他方、私立大学における場合と同様に、まず学校が授業料等減免支援を行うことを支援の前提としている。

 この事業は実証研究事業という位置づけのため、今後については本事業の実施状況を踏まえ、かつ、検討が進められている奨学金制度の充実方策等との関係性も踏まえ、総合的な視点から、より効果的な経済的支援策の在り方を探っていきたい。

白鳥 綱重(文部科学省 生涯学習政策局 生涯学習推進課 専修学校教育振興室長)