昭和医療技術専門学校 学校長 山藤 賢氏

(2015年4月22日更新)

平均合格率98.8%の実績より「全員卒業・全員合格」が本校の誇り。
心の絆を大切にした技術教育・人間教育を実践、
「日本一温かい専門学校」をめざします。

時代が求める医療ニーズに応えるために誕生した学校

 本校は1980年に、「昭和医療技術専門学院」(厚生大臣指定養成所)として、有能な臨床検査技師を育成することを目的に、昼間部、夜間部3年制課程の養成所として設立されました。

 1988年には、大田区中央の現校舎に移転。専修学校「昭和医療技術専門学校」と改称。時代の要請に応え得るような、人に温かい医療技術者の養成を目標に教育を行っています。2015年には創立35周年を迎え、その間、多くの有能な卒業生(臨床検査技師科 2,217名)を輩出し続けています。

「全員卒業・全員合格」の原動力は互いに支え合う土壌

 昭和医療技術専門学校は、臨床検査技師育成の専門校として、今年創立35周年を迎えました。長年の歴史を通じて、医療の場で働きたい・人の役に立つ仕事をしたいと願う多くの学生に対して、その夢を実らせるお手伝いができたことは、大変嬉しくまた誇りに思っています。

 ご存じのように臨床検査技師は、医療に関わる国家資格のなかでも難関とされており、全国平均の合格率は70%程度です。本校は、昨年74名が受験し、74名全員が合格と、合格者数は専門学校で全国トップ、合格率も全国トップ(「第61回臨床検査技師国家試験の合格者の発表について」/2015年3月30日 厚生労働省発表資料より)となり、3年連続で合格率100%(過去10年平均98.8%)という高い実績をあげています。おかげさまで、高い合格率を生み出す方法や、秘訣などを、よく質問されます。しかし、我々、昭和医療技術専門学校がめざすのは、試験合格のためだけの教育ではありません。本校が何よりも大切にしているのは、全ての学生が夢を実らせることです。その結果としての「合格率100%」なのです。昨年度・一昨年度の卒業生も、一人の留年者も出さずに全員が国家試験を受験しています。「全員卒業・全員合格」こそ、創立からの本校のキーワードであり、教育理念の根幹といえます。

 「全員卒業・全員合格」を実現する上で、最も重要なのは、教師と学生はもちろん本校に関わるすべての人がこの理念を共有し、お互いに支え合いながら同じ目標に向かって努力し続けることだと思います。難関資格を取得するためには相当な勉強が必要ですし、往々にして「自分さえ合格すればいい」といった個人主義に陥りがちです。ところが、本校にはそうした風土は一切ありません。お互いに相手のことを考え、支え合う風土が伝統としてまた土壌として根付いているのです。例えば、国家試験に合格した学生たちは、互いに喜び合うのはもちろんですが、もし合格できなかった級友がいた際にも心から憂い、来年合格しようと励ましています。事実、本校ではいままで不合格になった学生もみな翌年には合格しています。また、途中で学校へ来なくなった男子学生を心配し、クラスの男子全員で「もう一度がんばろう」と迎えに行き、その学生の夢を実らせたこともありました。こうした人を思いやる気持ちと行動が自発的に、ごく自然に生まれることは、本校の個性であり、最大の特長だと思います。

 先生方も同様です。私が先生方を見ていて感服するのは、一人ひとりの学生を実によく見ており、その人その人に合った指導やアドバイスをする努力を惜しまないことです。それも、先生方が学生を愛し、心から慈しんでいるからできることなのです。

豊かな人間性は、優れた医療人に求められる条件

 本校が「全員卒業・全員合格」をキーワードとしていることには、もう一つ理由があります。それは、優れた医療人であるためには、技術や知識と同等ないしそれ以上に、豊かな人間性が求められるからです。私自身医師として、現在も医療の現場に携わっています。その経験からも、医療とは健康を支援することであり、健康の条件とは身体的・精神的・社会的に調和が取れていることだと考えています。臨床検査技師は、健康を支援する医療現場に関わり、チーム医療の一翼を担うわけですから、精神的・社会的にも調和が取れた豊かな人間であることがきわめて重要なのです。

 臨床検査技師を志して本校に入学した学生には、必ず人の役に立ちたいという真摯な気持ちが潜んでいます。その気持ちを大切に受け止め、大きく輝かせることのできる教育こそ本校のめざすものです。一例をあげると、本校では「挨拶」を重視し、もし学生が忘れることがあればその場で注意します。挨拶など、些細なことと思われるかもしれません。しかし、挨拶がキチンとできることは社会人としての基本中の基本ですし、コミュニケーションの原点ともいえます。本校は挨拶教育を通して、挨拶する習慣をキチンと身につけるだけでなく、なぜ挨拶が大切かを学生に考えてもらい、さらに相手を尊重する心や感謝の気持ちを育ててほしいと願っているのです。

 本校の教育のもう一つの特長は、横(同級生)と縦(上級生)の心の絆を大切にしているということです。本校に学ぶ学生のなかには、地方から来た人もいますし、大学を卒業後に入学した人もいます。年齢もバックグラウンドも異なる人と触れ合うことで、お互いによい刺激を受け合い、人間的な成長を加速するからです。そのため、本校では文化祭や教育キャンプ等々、行事にも力をいれているほか、各行事の準備・実行を通じて学生の自主性の向上を図っています。来訪者によく言われることですが、本校のキャンパスにも教室にもゴミは一つも落ちていません。これも学生たちが自発的に考え、行動した結果なのです。各教室に掲示してある標語や目標も、学生たちが自分たちで考え、実行したものです。

厳しい勉強だからこそ、温かな風土が力になる

 臨床検査技師は、現代の医療現場に欠くことのできないスペシャリストです。不況が続く昨今でも500件を超える求人 (2015年3月卒業生実績)があるように、病院や診療所、保健所をはじめ、製薬会社や研究所、臨床検査センター、医療機器メーカーなど活躍の場は多岐にわたっています。こうした医療関係機関の期待に応えるため、本校ではオリジナルのカリキュラムに加えて、付加価値教育として毒物劇物取扱責任者や遺伝子分析科学認定士など周辺分野の勉強や資格取得ができるように配慮しています。

 率直に言って、臨床検査技師になるための勉強は、決してラクではありません。むしろ、高校時代とは比べ物にならないほど厳しく、キツイものです。だからこそ、みんなが支え合う土壌が、学生を厳しくも温かく指導する先生方の存在が、そして共に助け合う仲間が、学生一人ひとりの夢を実らせる力となっているのです。

 学生たちを指導する先生は全員、本校の卒業生です。卒業後に本校を訪れる学生も大勢います。みんなに愛される専門学校であることにも、私は誇りをもっています。私の夢は、昭和医療技術専門学校を、「日本一あたたかい専門学校」にすること。そうした心の温かい学校で知識と技術、人格を磨き、医療に携わる人のあるべき姿を体得した学生たちが、夢と誇りをもって仕事に就けるよう、これからも全力で応援していきます。本校を巣立った学生たちが豊かな人間性ともてる力をフルに発揮し、それぞれの職場でリーダーシップを発揮できる人財へとなおも成長を続けてくれれば、こんなに嬉しいことはありません。

山藤 賢氏

【Profile】

山藤 賢(さんどう・まさる)氏
1972年東京都生まれ。昭和大学医学部、同大学院医学研究科外科系整形外科学修了。医学博士。小学校から高校までは私立暁星学園サッカー部で活躍。東京都大会で優勝したほか、全国大会にも出場した。現在は昭和医療技術専門学校の校長として学生の育成に関わる傍ら、現役の臨床医として患者とも向き合う。医療法人社団昭和育英会理事長、横浜つづきメディカルグループ代表として医療機関を経営。日本臨床検査学教育協議会においては、副理事長を務め、2014年には学会長の任も務めた。また、なでしこジャパンのチームドクター(2008年 北京オリンピック帯同)、東京都サッカー協会医事委員長(現)を務めるなど、スポーツドクターとしても活躍している。
(*2006年~2015年 臨床検査技師国家試験における本校の平均合格率です)

昭和医療技術専門学校の情報(リクナビ進学)

<インタビュー・寄稿>の記事をもっとみる