大阪医療大学(仮称・設置認可申請中) 学長就任予定 塚本英邦氏
次代の医療に、新たな風を。
医療現場の課題を自ら考え、解決策を見出す人材を育成
時代に応え続けてきた大阪芸術大学グループの次なる挑戦
大阪芸術大学グループは2026年4月、理学療法学科・看護学科を擁する大阪医療大学の新たな開設を予定しています。(校名・学科名はすべて仮称・設置認可申請中)
なぜ大阪芸術大学グループが医療大学を新設するのか。
それは、私たちが創設当時から「時代のニーズに応えること」を指針としてきたからです。
大阪芸術大学グループの母体である学校法人塚本学院は、第二次世界大戦が終戦した1945年に創設された平野英学塾から始まりました。GHQ占領下の日本において、戦後復興には英語教育が重要だと感じた初代理事長の塚本英世が立ち上げ、その数年後には中学校教育において戦中に断絶していた英語教育が再開。平野英学塾の開学は、時代の先を行く取組だったと言えるかと思います。
平野英学塾は浪速外国語短期大学へと発展し、また、戦後の子どもたちに豊かな教育を提供するため、大阪幼稚園教員養成所と附属幼稚園(青い鳥幼稚園)が併設されました。この附属幼稚園は、塚本英世が戦時中に創設した「青空子ども会」を吸収する形で生まれました。
その後、高度経済成長期の真っただ中である1964年に大阪芸術大学(旧名 浪速芸術大学)を開学。焼け野原だった日本が経済力を取り戻すなか、「文化復興」が真の戦後復興だという機運の高まりに応える形で同学は生まれ、さまざまな芸術分野の第一線で活躍する人材を多数輩出してまいりました。
そして「人生100年時代」と言われる現代において、医療の重要性が高まっていることは言うまでもありません。人生100年時代を幸福に生きるには、単なる寿命ではなく日常生活を健康に過ごせる「健康寿命」を伸ばすことが肝となりますが、さまざまな課題があります。
例えば、病院患者の飽和問題。その問題解決の糸口として在宅医療などが挙げられていますが、まだまだ専門的な人材が不足しています。
大阪芸術大学グループは、常に時代のニーズに応えることに挑戦してきました。それは今も変わりません。
このたび新設する大阪医療大学は、現代の医療現場が抱える問題を解決できる人材を育成し、日本の医療に新たな風を吹き込むことを目指します。
在宅医療などニーズの高まる分野に新たな感性をもった人材を
在宅医療は病院といった「こちら側のテリトリー」ではなく、「患者側のテリトリー」に入っていかなければなりません。
そのためには、他者を想像し受け入れる豊かな感性や対話力、自ら問題を考えその解決策を見出す力が必要となります。地域の医療機関・施設との連携・情報共有や、患者一人ひとりのデータ収集・分析・フィードバックなども重要となるため、デジタル技術を効率的かつ発展的に活用する力も不可欠です。
これらの力は在宅医療のみならず、他の医療現場やまだ見ぬ新たな現場でも普遍的に求められる力だと考えています。
理学療法学科・看護学科いずれの学科も、専門知識はもちろん、想像力・対話力・自主学習能力・デジタル技術の活用力などを養う授業の設置を予定しています。
また、理学療法学科には、学生が主体性をもって学ぶアクティブ・ラーニングの導入も行います。
症例に対するベストな治療法を学生同士でディスカッションし、プレゼンテーションを行い、教員が現場目線の意見をフィードバックするなど、学生たちが自ら考え学ぶ機会を豊富に用意します。
ほかにも、大阪芸術大学グループの環境を活かした取組の導入も予定しています。医療の教育現場では演習などで患者役を務める模擬患者の不足が問題視されていますが、大阪芸術大学 舞台芸術学科の学生に協力してもらうことで十分な人数を用意でき、質の高い演習が可能となります。また、モノづくりなどの造形系授業をサブとして配置し、医療を学ぶだけでは得られない視野の獲得にも繋げていきたいと思っています。
再生医療×リハビリテーションの最先端へ
理学療法学科の校舎に再生医療を実践するクリニックを受け入れ、連携しながら再生医療とリハビリテーションの研究を進めるプロジェクトを予定しています。
再生医療とは、主に「幹細胞」と呼ばれる「自らを複製する力」と「さまざまな細胞に変化する力」をもった細胞を活用し、損なわれた身体機能の再生を目指す医療のことです。
一般的なリハビリテーションでは、高齢患者の場合「維持」となることがほとんどです。リハビリテーションは多くの苦労が伴います。「維持」と「回復」では、患者がもつ希望の度合いはまったく異なります。
多様なデータを現場から直接収集し研究することで、再生医療の未来へ貢献したいと考えています。
また、その成果を理学療法学科の学生たちにフィードバックし、新たな医療分野に対する理解力やその可能性を発展的に考える力を養います。
定員は各学科40名。少人数で「顔の見える教育」を重視
教員が学生一人ひとりの目標・個性などを把握しながら指導ができる「余裕」をもたせるため、いずれの学科も定員は1学年40名としています。
少人数教育は経営的には難しい側面もありますが、質の高い医療教育には必要不可欠です。
また、単に少人数であればよい訳ではなく、最新設備の導入といった学習環境の充実を行い、深い専門知識・技術を一人ひとりが養える体制づくりも重要です。
これからの時代を見据えた長期的な視野をもって学生たちの育成に取り組み、それぞれが自らの可能性を存分に広げることのできる学びの場を実現します。
充実した環境による少人数教育の徹底ができるのも、我々大阪芸術大学グループならではですし、だからこそ行わなければなりません。
真の意味で「一人ひとりに寄り添う教育」を大阪医療大学は実践してまいります。
ゆくゆくは多様な専門性と感性をもった学生が集う総合医療大学へ
ゆくゆくは理学療法学科・看護学科だけではなく、多くの医療系学科を擁する総合医療大学へと発展させたいと考えています。
グループ校の大阪芸術大学は、15の学科が一つのキャンパスに集まる総合芸術大学です。大阪芸術大学の魅力の一つとして、「自分とは違う考え方・価値観をもった仲間との出会い」がたくさんあることだと学生たちからよく耳にします。
医療現場において、多職種連携や地域の介護・福祉施設との包括的な連携など、さまざまな人々・機関と立場を超えて繋がり合い、広い視野から患者とその医療を考えることが求められています。
多様な専門性や感性をもった学生たちが集い対話する総合医療大学に発展させることで、医療現場が抱える問題を多角的に考え、乗り越えることができる人材を育成したいと考えています。
※設置される学校・学部・学科等の名称・内容などは予定につき、変更される場合があります。
【Profile】
塚本英邦(つかもと・ひでくに)氏国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 情報科学専攻博士後期課程修了。博士(工学)。2013年より大阪芸術大学短期大学部学長。2014年より学校法人塚本学院副理事長、大阪芸術大学副学長も兼務。2026年4月、大阪医療大学(仮称・設置認可申請中)学長就任予定。公益財団法人日本高等教育評価機構理事。公益財団法人小野奨学会理事。日本私立短期大学協会副会長。大阪私立短期大学協会会長。一般社団法人私学研修福祉会理事。