学校法人ホスピタリティ学園 エアライン・鉄道・ホテル・テーマパーク専門学校東京 東京ブライダル専門学校 校長 内薗幸一氏
日本社会と経済を、ホスピタリティ産業が支える。
そんな今と未来を担う「次世代のプロフェッショナル」を育成。
本校は、1964年創刊と長い歴史をもつ「トラベルジャーナル」を発行した株式会社トラベルジャーナルが、「即戦力として活躍できる人材を育成してほしい」という観光・サービス業界からの声を受け、「業界に恩返しをしたい」という想いの下に設立した学校です。1973年に「トラベルジャーナル旅行学院(東京校)」を開校し、以降50年以上にわたって、観光・サービス業界で活躍する人材を育成してきました。2007年には、校名を「学校法人トラベルジャーナル学園/ホスピタリティ ツーリズム専門学校」に変更。2013年に隣接する「東京ブライダル専門学校」の開校を経て、2024年からは教育目標と観光・サービス業界へ送り出したい人材像をよりわかりやすく明確化させることを主眼として「学校法人ホスピタリティ学園/エアライン・鉄道・ホテル・テーマパーク専門学校東京」へと校名を新たにし、今日に至ります。
「ホスピタリティ」とは何か
1973年の開校時に本校が求められていたのは、あくまで旅行業界で即戦力として活躍できる人材を育成することであり、当時はまだ「ホスピタリティ」という言葉は一般的ではありませんでした。
この「ホスピタリティ」とは、「相手のことを考えて心からのおもてなしをする」という意味ですが、観光・サービス業界において、目線の先には必ず“お客様”という存在があります。さまざまなご要望を叶えるために、お客様一人ひとりの立場に立った対応が必要不可欠なのです。
そこで、本校では創立当初からこの「ホスピタリティ」を重視した教育目標を掲げ、2007年には校名に、さらには2024年からは法人名にこの言葉を入れることで、本校が目指す人材像を可視化させ、広く周知させる方針を採りました。
「ホスピタリティ」が日本の社会と経済の未来を支える理由
今、社会は「モノ消費」から「コト消費」へと大きくシフトしています。人々はモノそのものより、心に残る体験や人との繋がりを求めるようになり、特に旅行・飲食・宿泊・観光・ブライダルなど、ホスピタリティ産業の価値はかつてないほど高まっています。
こうしたなかで一層注目されているのが「ホスピタリティ・マインド」。それは、相手を思いやり、期待を超える心配りで“記憶に残る体験”を生み出す力です。AIが導入され、サービスがどれだけシステム化されても、人にしかできない温かさや共感を伴ったサービスは必ず記憶に残ります。日本の未来を支えるであろうホスピタリティ産業は今、真に人間力のある「きらりと輝く業界人」を必要としています。本校が掲げるホスピタリティ教育とは、まさにその力を育むものなのです。
ホスピタリティ・マインドの大切さと育成への取り組み
専門学校の責務は、業界で即戦力として活躍できる専門知識やスキルを養い、目指す業界へ職業人を送り出すことです。しかし、旅行をはじめとした観光・サービス業界においては、単なる専門知識やスキルだけにとどまらず、お客様の立場やニーズを考えた「ホスピタリティ・マインド」をもって対応をすることが求められます。これは、数値化されるスキルではなく、人の内面や人間力から育まれていく高度なマインドだと考えています。
このマインドを磨くため、すべての学科で「ホスピタリティ研究」の授業を行い、各業界での実例を基に、ホスピタリティに必要な5つの力(感知力/想像力、マインド、マナー、コミュニケーション、知識)を具体的に学びながら、その重要性を理解し、実践的なスキルを修得します。
また、ボランティア、スポーツデイ(体育祭)、文化祭、企業実習、SDGs、産学連携など、在学中に人や社会と直接関わる機会を数多く設けることにより、相手の立場に立って考え、行動することの大切さや協働、思いやりの気持ちを身につけます。
さらに、学校生活では、教員たちが折に触れて、思いやりをもった対応、挨拶、マナーとはどういうことなのかを学生たちに伝え、指導しています。授業、行事、活動、学校生活のすべてに「ホスピタリティ」を考える機会があり、ホスピタリティを軸とした人間形成をベースにすることで、学生一人ひとりが「ホスピタリティ・マインドとは何か」を自分自身で考え、主体的に行動できるようになるのです。
語学教育に加え、さまざまな体験を通じて、社会人としての素養を養う
急速にグローバル化が進むなか、国際共通語である英語力を身につけることは、どの業界で働くうえでも欠かせないスキルとなってきましたが、特に観光・サービス業界においては英語を軸としたコミュニケーション力が必要不可欠です。
そのため本校では、各学科に特化した「業界英会話」の指導に力を入れ、将来自分が進みたい分野で必要とされる英語スキルを磨きます。
静岡県・御殿場市にある本学園の施設では、1カ月間の英語合宿(御殿場イングリッシュキャンプ)を行い、英語力向上だけでなく、寮での共同生活を通して主体性や協調性を養います。自然に恵まれた環境の中でリラックスしながら伸び伸びと、さらには集中的に英語を学ぶ機会があることは一定の成果があり、現地を視察した企業からは「英語を話すことに抵抗がない学生が多い」という評価をいただくほか、クルーズ業界からは「船という閉ざされた空間で働くことが求められる仕事を目指すうえで、1カ月間の英語合宿は貴重な経験になる」との言葉をいただいております。
また、海外留学制度も用意しており、アメリカ・シアトル留学は30年以上前から行っています。2025年度からは、新たにハワイ留学をスタートさせる予定です。
5万人を超える卒業生の存在
50年以上という長い歴史をもつ学校であることから、観光・サービス業界に輩出した卒業生は5万人を超えています。2023年に開催した創立50周年の記念パーティーは、大々的な告知を行わずに開催されましたが、約600名もの卒業生たちが参加しました。
気軽に学校を訪ねる卒業生も多く、恩師に結婚の報告をしたり、転職の相談に来校したりする人もいます。学校として卒業後のアフターサポートを続け、ずっと母校と繋がりがもてるアットホームな雰囲気もまた、本校の魅力であると自負しています。
これからの観光・サービス産業への期待感
観光・サービス産業は、コロナ禍で一時大きな打撃を受けましたが、今はインバウンドを含め、以前にも増して活況を呈していると考えています。日本は今、国をあげて観光立国を目指しており、何より人に幸せや喜びを提供できる仕事は、この先も伸びていくものだと確信しています。
加えて企業のあり方も変化しており、従来の専門性を活かしつつ多角的な経営にシフトしています。例えば鉄道会社も、人の移動を支える交通を担うだけでなく、駅周辺の再開発や不動産などにも経営の幅を広げています。本校の鉄道科に入学する学生たちのほとんどは、鉄道が大好きなので、もちろん運転士や駅の仕事に従事したいという夢を抱いていますが、この先は鉄道会社に入社しても、将来的に地域の再開発などに関わる仕事をする可能性があります。だからこそ在学中から、目指す業界の今と将来について見聞を広げ、広い視野をもってから社会に送り出すことも、大切な教育の一つであると考えています。
本校は、旅行業界で活躍できる人材の育成からスタートし、ホテル、エアライン、鉄道、テーマパーク、クルーズと、広く観光業界に領域を広げてきました。しかし、業界というくくりで考えた場合、「観光業界」全体を包括した業界団体がないこともあって一体的な動きができていません。
そのような状況で、本校にある学科(エアライン、鉄道、ホテル、テーマパーク、ブライダル)すべてに、ホスピタリティという共通の概念を横串(よこぐし)にした教育を行っています。どのような仕事や場面であっても、ホスピタリティ・マインドが身についていれば、相手の立場を考えながら、広い視野で物事をとらえ、行動することができるでしょう。 これは各分野の専門性をより際立たせるホスピタリティ・スキルとして大きな武器となります。
これからも本校は、専門知識・スキルとホスピタリティ・マインドを併せ持つ、「次世代のプロフェッショナル」を輩出する教育に尽力してまいります。
【Profile】
内薗幸一(うちぞの・こういち)氏慶應義塾大学法学部卒業。1978年、全日本空輸株式会社入社。大阪空港支店配属を皮切りに主に、オペレーション、営業業務を担当。2001年、同社ニューヨーク支店の米州総務部長に。2009年、エアーニッポン株式会社代表取締役社長に就任。その後、全日本空輸株式会社の取締役、常務取締役、代表取締役副社長を務める。2018年4月、ANAホールディングス株式会社顧問に就任。2020年4月より、本校の校長を務める。
【エアライン・鉄道・ホテル・テーマパーク専門学校東京(スタディサプリ進路)】
【東京ブライダル専門学校(スタディサプリ進路)】