学校法人湘央学園(神奈川校:湘央医学技術専門学校・湘央生命科学技術専門学校/沖縄校:沖縄アカデミー専門学校・浦添看護学校) 理事長・稲福全人氏

(2016年2月22日更新)

医療は患者さんのためにあり、湘央は学生のためにある
真実を伝え、「愛・智・技」を体現できる学生を育てる

教育理念「愛・智・技」は、決して揺るがせない

 湘央学園は1975年の創立以来、「生命を尊重する、人間性豊かな専門職業人の育成」を建学の精神として歩んできました。その間、時代は大きく変化し、医療や生命科学の領域も大いなる革新や進化が実現されてきました。しかし、どのように時代が変わろうとも、「人と生命のために科学する心を育む」という湘央学園の基本姿勢と、「愛・智・技」という教育理念が揺らぐことはありません。
 これには、いくつかの理由があります。なかでも重要なのが湘央学園は医療・福祉分野にかかわる技術者の育成を使命としていることです。医療は、「すべて患者さんのため」にあるものです。そこに携わる者は、深い「愛」に根差した、質の高い知識と技術で仕事にあたらなくてはなりません。「愛」とは儒学でいうところの「仁」の精神、すなわち人に対する思いやりや優しさ、気配りといった人間性であるととらえています。そして、「智」は単に豊富な知識ということだけでなく、人間の叡智を意味し、「技」とは理論に裏付けされた質の高い技術を指しているのです。
 「智」は単に豊富な知識ということだけでなく、人間の叡智を意味し、「技」とは理論に裏付けされた質の高い技術を指しているのです。
 医療が患者さんのためであるように、湘央学園では教育は学生のためにあると考えています。だからこそ、湘央学園は学習においても日常の生活指導においても学生を厳しく鍛えます。湘央学園での2年ないし3年間は、仕事の場で患者さんや仲間に信頼され、活躍できる技術者になる基礎を養う大切な時期にほかならないからです。湘央学園は、これからも「愛・智・技」の教育理念を貫き、優秀な医療・福祉分野の技術者の育成に全力で挑みます。

例えば講師は全員現職、教育に積極的に「現場」を取り入れる

 湘央学園の特色の一つは、教育に「現場」を取り入れていることです。救急救命学科を例にとると、講師である医師たちはそのほとんどが救命センターで活躍しています。もちろん教科書を通して学ぶ知識や技術も大切ですが、それらはあって当たり前のこと。それ以上に大切なのは、そうした知識や技術が現場ではどう役に立つのか、どう仕事につながっているのかをイメージし、理解できることです。現場で活躍している方から直接学ぶことで、知識や技術が誰のためになるのかが見えてきますし、その相手を思うことで人を思いやる気持ちも育ってくるのです。湘央学園の講師はみな、仕事に対して熱い思いをもっています。私がすべての講師の方にお願いしていることは、次のひとことに尽きます。「先生方が現場で一緒に働きたいと思う人材を育ててください」と。

「頑張っている自分をステキ」と思うこと

 現実の世界では、相手のために良かれと思ってやったことが、必ずしも喜ばれるとは限りません。おせっかいと取られることもあるでしょう。医療や福祉にかかる人は患者さんや高齢者の方々に対して、謙虚でなくてはなりません。医療や福祉は決して人に押し付けるものではないからです。
 私は湘央学園の理事長に就任する前は、医師として救命救急センターで働いていました。そこで痛感したのは、医師は人を助ける術を知っているにすぎず、助かったり治ったりするのは患者さん自身の生命力だということです。救急救命士も同様です。救急救命士の仕事は、患者さんの現在の状態を悪くしないこと。簡単なことではありませんが、状態を変えないスペシャリストであることが求められているのです。
 救急救命士が患者さんに接している時間は、せいぜい30分くらいです。患者さんに信頼してもらえるかどうかは、最初の一瞬で決まります。「こんな人に診てもらいたくない」と思われたら、患者さんとの信頼関係は築けません。救急車を利用されるのは高齢な方が多いのですから、安心感が何よりも重要なのです。よって学生には、髪の毛を染めることや華美なアクセサリーの着用を禁止しています。それだけではありません、態度や視線、言葉づかいも良くないと思えば、その場で注意します。厳しいと思われるかもしれませんが、それが患者さんと接するということであり、救急救命士に必要な姿勢だと思うからです。結局は、彼らのためになることですから、あえて苦言を呈します。
 医療や福祉の現場は、きれいなことばかりではありません。悲しいことや辛い現実も多くあるものです。湘央学園では、動物看護師を目指す学生にも実験動物に対応させます。実際、そうした動物たちの犠牲の下に新しい薬が開発されているからです。その事実と向き合うことで、患者である動物をキチンと看られる動物看護師に成長できるのです。
 医療・福祉分野の仕事は、決してラクなものではありません。しかし、社会が求める重要な仕事です。私は1年生を対象に講話の形で話をする時間を設けていますが、そこで「頑張っている自分をステキだと思え」と伝えています。真剣に努力するからこそ、良い結果へとつながり、「この仕事を選んで良かった」と心から実感できるのです。

「仕事を学ぶ場」のありのままの姿を見てほしい


 私が医療の現場で痛切に感じたことの1つに、「人間は1人では何もできない」があります。いくら知識や経験があっても、医師が1人でできることには限界があります。医療は、看護師や臨床検査技師、あるいは他分野の専門医等々、多くの人びとが「患者さんのため」という思いを共有し、それぞれが仕事に真摯に取り組むことで初めて成り立つものなのです。本格的な高齢社会を迎えている今、医療・福祉分野におけるチーム医療や連携、「コメディカル」の果たす役割はさらに重要になると確信しています。
 湘央学園はこれからも教育理念に立脚し、「学生のためになる」授業や環境づくりを追及し、実現させていきます。教育に専念でき、良いと思ったことはすぐに実行できる専門学校ならではの利点をフルに発揮していきたいと考えています。湘央学園に関心をおもちいただけたなら、ぜひ足をお運びいただき、「仕事を学ぶ場」のありのままの姿を見ていただきたいと思います


稲福全人氏

【Profile】

稲福全人(イナフク マサト)氏
医学博士、日本救急医学会専門医。1970年、神奈川県生まれ。聖マリアンナ医科大学卒。卒業後は大学病院の整形外科に勤務。フットサル及びビーチサッカー日本代表のチームドクターを務める。その後、希望して救命救急センターに異動、救急医療に携わる。2009年、創立者の父から受け継ぎ、現職に就任。

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