中央工学校OSAKA 校長 中村聖吾 氏

建築業界に直結する学科とコースを設置
産学連携プログラムやコンテストへ
積極的に参加して現場で通用するスキルを修得


「厳しい実務教育」と「人間涵養教育」をカリキュラムポリシーに
 中央工学校OSAKAは、建築を中心とした工業系専門学校「大阪中央工学校」として1981年に開校しました。以来、確かな知識と技術を有する人材を育成するための「厳しい実務教育」、豊かな社会性と創造力を有する人材を育成するための「人間涵養教育」をカリキュラム・ポリシーに掲げ、社会に役立つ人材を送り出すための教育活動に取り組んでいます。また本校は、1909年設立という歴史と伝統を誇る中央工学校(東京都北区)のグループ校として、教育・教科において交流を重ねながら、現在も着実かつダイナミックに発展を続けています。

幅広く学んでから学科を選び直す「転科システム」
 現在本校では、希望する分野を深く学ぶ2年制の「建築学科」「住宅デザイン科」「インテリアデザイン科」、二級建築士資格取得を目的とした1年制の「研究科」を設置しています。2年制の3学科については、独自の「転科システム」を採用。希望者は1年次後期から他学科への転科が可能です。その判断材料とするためにも、1年次前期に全学科共通の基礎科目を幅広く学び、各業界の第一線で活躍中の方から現場のリアルな様子を知る機会も設けています。
 また、各学科においては、学生一人ひとりの目標に合わせて専門分野を学べるようにコース制を導入。例えば、建築学科では建築設計コース・施工管理コース・建築設備コースを用意しています。
 各学科・コースにおいて、各分野における最先端技術を指導していることも特長です。建築分野においては、建物の設計や構造計算だけでなく、建築部材の選定、施工計画、コストまで総合的に管理するコンピューターシステム「BIM」について、約10年前から授業に導入。VRやARを応用した建築技能の教育も視野に入れており、それらの技術を修得することで、現場で即戦力としての活躍が期待できます。とはいえ、ハイテクの指導にのみ注力しているわけではありません。製図においては手掛ける物件のスケールを感覚的に理解するために、手描きでの技術養成にも力を入れています。
 住宅デザインやインテリアデザインにおいては、お客様に対して「なぜこのデザインが良いのか」といった理由を伝えることも大切です。そこで本校ではプレゼンテーションの授業など、人前で自分の考えや思いを発表する機会を数多く用意。論理的思考力と提案力、発表力を身につけさせています。

巨匠の設計した「生きた教材」が学びのフィールド
 産学連携プログラムが充実していることも本校の強みです。地元の不動産業者とのコラボ企画としては、同社の所有する中古賃貸マンションを題材にして学生にリノベーション案を提案させるコンペを実施。本校学生による設計プランが審査され、優秀な作品は実際に改装工事が行われます。また、ある住宅企業との連携では、同社営業所のショールームの窓に四季折々の装飾を施すウインドウ・デコレーションを実施。ウインターシーズンには雪だるまやサンタクロースといったステッカーで飾りつけるなど、道行く人々の目を楽しませています。
 さらに、コンテスト形式のコンペにも積極的にチャレンジしています。大阪府の公共建築設計コンクール「あすなろ夢建築」にも毎年エントリーしており、最優秀賞に輝き、実際に建設された実績を誇ります。
 建築界の巨匠が設計した校舎で学べることも、本校ならではの魅力です。1号館を手掛けたのは、東京都庁舎や国立代々木競技場などを設計した丹下健三氏。「世界のタンゲ」と評され、磯崎 新氏や黒川紀章氏など著名な建築家を育成したことでも知られています。メタリックでモダンな曲線を描く丸屋根が大きな特徴で、斬新なデザインながら周囲の環境と調和しています。2号館を手掛けたのは、日本万国博覧会のパビリオンの設計で知られる沖種郎氏。ミラーガラスを多用したスタイリッシュな建築物です。いずれの校舎も建築設計やデザインに対する学習意欲を刺激する、未来のクリエイターを育成するには理想的な空間といえるでしょう。

Society5.0に向けて、「誰も取り残さない教育」を実践
 本校では、日本が目指すべき未来社会の姿として内閣府が提唱するSociety5.0の実現に向けて、多様性を重んじた「誰も取り残さない教育」(ダイバーシティ&インクルージョン)のさらなる推進に取り組んでいます。勉強の苦手な学生や海外からの留学生がいるなかで、互いに学びあい教えあいながら、専門知識と技術を基礎からしっかりと修得。講義と実践を繰り返すなかで段階的にレベルを高め、2年次の後半には卒業制作に取り組みます。在学中の学びの集大成としての作品を完成させ、「卒業成果・制作発表会」で発表する貴重な経験によって、学生はこれまでの人生で味わったことのないような達成感と自信を身につけ、優れた作品は就職活動にも活用できます。
 さて、新型コロナウイルス感染症の流行によって産業構造は変化を余儀なくされていますが、建築業界においてはまだまだその影響は大きくないのではと考えています。もちろんリモートワークやワーケーションが増加し、ICT化の波も押し寄せています。しかし建築業界は、資本や機械よりも人間の労働力に頼る割合が多い労働集約型の産業です。しかも建築物の多くは一品生産であり、データの流用が極めて困難ですので、合理化やロボット化といった改革は難しく、技術者不足の状況は今後も続くと考えられます。特に関西では2025年に「大阪・関西万博」を控えるなど需要が高く、学生にとっては喜ばしい売り手市場が続く見込みです。本校においても就職活動のスタートは例年よりも遅れ、インターンシップがリモートになるなどの変化もありましたが、内定率自体は昨年よりもさらに高い結果を残しています。
 住まいを建てる、住宅をリフォームする、お店をオープンするなど、本校では、人の夢をカタチにするスペシャリストを育んでいます。在学生はそうした意識をもって技能の修得に励み、卒業生は人に喜ばれるのはもちろん、業界をリードする存在として活躍していることが、私たちの誇りです。


中村聖吾氏

【Profile】

中村聖吾(なかむら・せいご)氏

1987年3月 豊橋技術科学大学大学院工学研究科修士課程建設工学専攻修了
1987年4月 株式会社熊谷組
1997年9月 学校法人中央工学校 中央工学校OSAKA教員室
2000年4月 学校法人中央工学校 中央工学校OSAKA開発教育室主任
2003年4月 学校法人中央工学校 中央工学校OSAKA建築学科教員
2008年4月 学校法人中央工学校 中央工学校OSAKA教務室係長
2010年4月 学校法人中央工学校 中央工学校OSAKA教務室室長
2017年4月 学校法人中央工学校 中央工学校OSAKA教務室部長
2020年4月 学校法人中央工学校 中央工学校OSAKA校長

【中央工学校OSAKAの情報(スタディサプリ進路)】

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