山野美容専門学校 理事長・校長 山野愛子ジェーン 氏

心のある美容師に。美容業界で活躍するために必要なスキルや人間力、
そして建設的な思考力を兼ね備えた人材の育成を目指す


80年以上続く「美道」の精神を基本とした教育
 本校が誕生したのは1934年。祖母である山野愛子によって、前身となる「山野美容講習所」を設立いたしました。当初より、「髪・顔・装い・精神美・健康美」の五大原則を「美道(びどう)」ととらえ、トータルビューティーを指針とした実践的な教育を行ってきました。時代や文化の変化に伴って、求められる教育は刻々と変化していますが、本校の教育理念である「美道」はどのような時代においても美容業界で働くために必要な軸であると考えています。
 この「美道」を体現する人材を育成するために最も大切にしているのが、「Chance(チャンス)」「Choice(選択)」「Challenge(挑戦)」、そして「Change(変化)」という「4つのC」と、それを学生たちに提供するための環境づくりです。本校に入学して美容の世界に挑戦しながら、さまざまなチャンスをつかむことでやりたいことがフォーカスされ、自分にとって最適な仕事を選ぶ。この一連の「4つのC」を意識して学業に臨むことで、学生たちの夢や目標が無限に広がっていると考えています。

自分らしい活躍の仕方を見つける
 「美容業界で活躍=有名サロンのスタイリストとして働くこと」というわけではなく、一般的なイメージよりも美容業界の仕事は多岐にわたっています。なぜなら美容は、年齢、性別、国、ハンディキャップなどに関係なく、すべての人に求められるものだからです。特に近年では「diversity(多様性)」が注目され、多様な価値観や個性を受け入れるという考えが広まってきました。私自身、学生にさまざまな経験を積んでもらいたいと考えており、障がいをもつ方への理解を深める「あいサポート」、児童養護施設での美容ボランティア、一流アーティストとのコラボレーションなど、本校の歴史と豊富な人脈があるからこそ実現可能となったさまざまな活動を通じて他者への理解を深め、技術以上に「ハートのある人材」の育成を大切にしています。
 また「情報発信力」が、これからの美容師に求められるスキルだと考えています。美容業界ではSNSを活用して作品を公開し、集客につなげることがスタンダードになっています。そうした発信力を養うために、本校では学生全員がSNSのアカウントをもって、日頃から情報を発信しています。一方で、このSNSの活用は、有名サロンに限ったことではなく、それまでSNSとは無縁の美容室であっても、本校の学生が就職することで新たにSNSを活用することになり、新規顧客の開拓につながる可能性も秘めています。もちろん美容に関する基本的な知識や技術は必要不可欠ですが、美容以外のスキルも身につけ、飛躍のチャンスに変えてほしいと考えています。

学校は、「仕事場」である
 新しい価値観やツールの活用も大事ですが、やはり今も昔も欠かせないのは、社会人としてのマナーです。美容業界も、接客業のひとつ。いくら美容技術が高くても、現場に必要な言葉遣い、立ち居振舞いができなければ、現場では必要とされません。本校では、在学中から「学校は仕事場」であると、学生たちに伝えています。高校の延長のような環境で学ぶのではなく、常に仕事場であることを意識して学ぶことで、学校と現場の差をなくし、卒業後も活躍できる素地を作っています。

コロナ禍を契機に実現する「ハイブリッド型教育」
 新型コロナウイルスの影響によって、イベントや海外研修など、これまで当たり前のように行っていたことが実現できなくなりました。しかし本校の学びが止まることはありません。幸い以前からICT環境の整備に力を入れていたので、緊急事態宣言などで登校できない期間もスムーズにオンライン授業に移行させることができました。本校の在校生・教職員専用のWEBサイト「SKY CAMPUS」は、ログインさえすれば、そこはもう学校と同じ。オンライン授業のほか、国家試験対策、学校情報の共有、就職活動に関する情報収集も、自宅にいながら可能となっています。
 美容のスキル指導は対面が重視される部分が多々ありますが、実際に運用してみるとオンラインでできることがたくさんあることもわかりました。今後もオンラインと対面を組み合わせた「ハイブリッド型教育」を、本校では続けていきたいと考えています。

「Be Kind」 このような時代だからこそ人への思いやりを
 一方でコロナ禍では、人と人との直接のつながりが減り、孤独に苦しむ人もたくさん生んでいます。しかし、会えなくても、つながりをもつことはできるはず。治療が必要な学生や、自宅待機を余儀なくされてしまった学生に、毎日必ず仲間たちがメッセージを送り、その日に学校であったことなどを伝えるようにしています。大変なときにこそ人とつながり、心に寄り添う気持ちを大切にする。「Be Kind」の心が生きていくうえで欠かせないことを、日頃から学生たちに伝えています。 こうした「精神美」の必要性を、コロナ禍は改めて私たちに教えてくれたのではないでしょうか。

できることを考え、実践できる人材を育てる
 本校は、最初から「できない」と諦めず、できることを模索しながら成長できる人材を、これからも育てていきたいと考えています。創設者である初代・山野愛子は、かつてコンテストに出場した際、さまざまなトラブルに遭いました。それでも彼女はできることを瞬時に判断し、優勝を勝ち取りました。常にポジティブであり続ける初代・山野愛子や、現総長の山野正義に囲まれて育った私もまた、どんなに困難なときも、「NO」を考えずに「できること」を考え、実践しています。
 これからの美容業界を担う人材育成のために、私たちにできることはたくさんあります。本校ならではの充実した設備、世界中に広がる卒業生とのネットワーク、業界を超えた豊富な人脈を最大限に活用し、学生の人間力を高めるための環境づくり、カリスマ的なスペシャリストを育成するための教育体制づくり、指導者の育成など、今後具体的なプランを次々に実現させていく予定です。 


山野愛子ジェーン 氏

【Profile】

山野愛子ジェーン(やまの・あいこ・ジェーン)氏

アメリカ・ロサンゼルス生まれ。帰国後アメリカンスクールを経て、上智大学、山野美容専門学校卒業。祖母である山野愛子のもと「美道」を学び、1984年二代目山野愛子を襲名。豊かな感性と発想力、国際感覚をいかんなく発揮しながら、美容界のリーダーとして美容教育の発展と着物文化の普及に力を注ぐ。

【山野美容専門学校の情報(スタディサプリ進路)】

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