豊橋創造大学短期大学部 学長 伊藤晴康氏
教育をさらに進化させることで、
次世代を担う創造性豊かな人材の育成を強化
地域の未来を切り拓く人材を育成
豊橋創造大学短期大学部は「高等学校を卒業した女子生徒の進学先を確保したい。地元の発展を支える人材を育成する学校を作りたい」という豊橋市の要請を受け、公私協力方式の短期大学として設立されました。開学したのは昭和58年(1983年)のこと。当初は豊橋短期大学という校名でしたが、平成8年(1996年)に4年制大学の豊橋創造大学が開学するのと同時に豊橋創造大学短期大学部という校名に変更されました。実は豊橋短期大学開学当時の資料に「創造」という言葉が使われた一文があり、「創造」は学園の理念の基となる文言の一部でした。豊橋創造大学の初代学長・故佐藤芳雄氏が「創造」という言葉に強い思い入れを持っていたこともこの校名のご縁になったようです。
開学から40年経ちますが、今も昔も入学志望者はその多くが地元で学びたいと考える学生たちです。大学・短大を含め、ほとんどの学生が豊橋市やその周辺地域から通学しています。
学園の特徴の一つは専門性が高い学科が複数あることです。このことにより、専門外の学生と交流でき、幅広い知識や視野を身につけられます。また、学生と教員の距離が近く、一人ひとりに対応できる面倒見の良さも小規模大学・短大ならではの強みであると思います。
学生たちはこうしたあたたかい雰囲気のなかで学び、さまざまな力を身につけていきます。そしてその多くが地元の企業や自治体などに就職します。本学は実質的に地域の未来を創造する大学・短大であると考えています。
体験を通じて学ぶ機会を通じ、学生は自身の居場所を確立
本学は学生にとって居心地が良い大学・短大でありたいと考えています。短期大学部のキャリアプランニング科と大学の経営学科で「PBL」(プロジェクトに基づく学習)を推進し、体験を通じて学ぶ機会をつくることに力を入れているのもその考えを基にしています。
例えば、キャリアプランニング科では人口が少ないエリアの公共交通機関を維持することを目的に、市内循環バスをPRする取組を行いました。また、経営学科では東三河をキーワードにしたオリジナルSDGs商品を企画開発し、クラウドファンディングを活用して全国にPRしたり、豊橋総合動植物公園の入場者数増加への支援としてSNSを活用した写真コンテストを実施したりしています。こういった活動を通じ、学生たちは自分の居場所を確立し、「大学時代にこれに力を入れた」という思い出を作ることもできます。また、それによって母校への思い入れも深まるのではないでしょうか。
もちろんこれら学生主導の活動により、座学での学びを実践力に変えることが可能となるのに加え、地域問題など様々な社会課題を知り、その解決法を考える力、仲間と関わる積極性なども身につきます。こういった力が地域発展に貢献する原動力になっていきます。
「実践的教育」は学園の伝統
こうした本学の「実践的教育」のルーツを遡ると学園の黎明期に行き当たります。本学の歴史は明治35年(1902年)に豊橋裁縫女学校が設立されて始まりました。教えていたのが裁縫ですから座学よりも自身で体験して学ぶことが重要。そのため、学園設立当初から「企業実務実習」、現代で言うインターンシップに力を入れていました。地元企業に学生を受け入れていただき、実習させていただく教育手法を採用する学校は当時珍しかったそうです。当時からまさに実学を重視する学校だったわけです。
元々伝統としてあった「実践的教育」をベースに、チームで協力する問題解決型の授業「PBL」が加わるなど、教育手法が進化するなかで就職率は高い水準を維持しています。幼児教育・保育科、理学療法学科、看護学科の各専門学科では学生の多くが国家資格を取得し、専門職として就職。それに加え、ここ5年ほどは保育、理学、看護の学生も雇用条件がより良い就職を目指し、公務員として就職する者が増えてきました。これは公務員対策講座に力を入れている成果が表れてきている証しです。
目的意識を持つ学生を集め、より良い教育を推進
こうした教育環境の下、地元で快適に学べるという強みはそのままに、本学の個性をより明確にするため、短期大学部の開学40周年を機に「UI」(ユニバーシティ・アイデンティティ)を再定義することにしました。
タグライン(キャッチコピー)には「Care & Idea」を掲げました。「Care」が保育、理学、看護、「Idea」がキャリアプランニングや経営といった学びの領域を表すに留まらず、地域と大学、学生と教職員、人と人がしっかり向き合い、共感し、アイデアを発想・共有して行動に移すことにより、状況を変え、地域や社会をより良くすることに繋げたいという思いをここに込めています。また、各学科が連携することで多様な学びが可能となる横断的なカリキュラムも本学が目指す姿を問い直すなかで新たに設定したことです。カリキュラムは2025年入学の学生募集に向け、さらに改革していきます。
入試においては、2022年度より理学療法学科で積極性や行動力を重視する「アクティブ入試」を取り入れました。これを水平展開し、2023年度から看護学科にも「総合型選抜入試」を取り入れています。
はっきりとした目的意識を持つ学生が集まれば、学生同士の相互作用によって学園全体がさらに活気づきます。そうした学生の思いを冷ますことなく持続させることが本学の役割だと考えています。
豊橋市は都会過ぎず、田舎過ぎず、人生を少しずつステップアップしていくのに適した街です。この街に根付いた本学に、中部圏を中心に多くの地域から学びに来てほしいと考えています。熱い気持ちを持つ学生たちのため、本学は今後も地道かつ確実に進化を続けていきます。
【Profile】
豊橋創造大学・豊橋創造大学短期大学部 学長 伊藤晴康(いとう・はるやす)氏1961年生まれ
1984年 京都大学工学部建築学第二学科卒業
1986年 京都大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程修了
1986年 清水建設株式会社入社
1994年 学校法人藤ノ花学園入職
1995年 豊橋短期大学専任講師
1999年 豊橋創造大学短期大学部助教授
2004年 豊橋創造大学短期大学部教授
2007年 豊橋創造大学・豊橋創造大学短期大学部副学長
2011年 豊橋創造大学・豊橋創造大学短期大学部学長