昭和医療技術専門学校 学校長 山藤 賢氏
医療人である前に、一人の人間として人間性豊かな人格を養い、
人の心に寄り添える真のプロフェッショナルを育てる
本校は1980年に、「昭和医療技術専門学院」(厚生大臣指定養成所)として、有能な臨床検査技師の育成を目的に、昼間部・夜間部3年制課程の養成所として設立されました。
1988年には、大田区中央の現校舎に移転し、専修学校「昭和医療技術専門学校」と改称。時代の要請に応えられるような、人に温かい医療技術者の養成を目標に教育を行っており、設立以降多くの有能な臨床検査技師を輩出しています。また、複数の科を設けることなく、都内で唯一の臨床検査技師教育に特化した学校であること、教員全員が本校卒業生であることも特長です。
本校のスローガン「全員卒業・全員合格」に託した想い
臨床検査技師は、医療に関わる国家資格のなかでも難関資格とされており、過去10年間の全国平均の合格率は77.7%ですが、本校は97.4%(*1)を誇っています。また卒業生の就職率も100%(*2)を維持し続けています。
確かな実績をあげながら、しかし本校は、合格率の高さだけを追求する学校ではありません。大切にしているのは「入学したら一生懸命に学んで着実に進級し、留年者や退学者を出すことなく、皆で合格して卒業すること」です。この“全員卒業・全員合格”を実現するために、何より学ぶ環境や学校生活が重要で、学生一人ひとりが楽しく通い、真面目に勉強し、自分の居場所がある空間、つまり学生たちが「心理的安全性」を感じながら学べる学校づくりを目指しています。
そのための具体的な取組として、私は「対話すること(ダイアローグ)」を重視しています。本校の対話は、ディベートでもディスカッションでもなく、雑談なども含めたお互いの話を尊重し受け取ることを中心とした時間です。悩みでも弱音でもとにかく誰かに話し、弱い自分を臆することなく出せる場を作る。学生はもちろん教員も含め、あらゆる場において自由に話せる機会や時間をできる限り設けています。
それは授業でも変わりません。クラス全員で輪になって話し、同学年だけでなく学年を越えて対話する機会もあることで、先輩たちからも学ぶことができます。そうすることで、学校全体に仲間意識が生まれ「皆でがんばって合格しよう」という雰囲気が自然と湧きあがってくるのです。もちろん合格するために個々が努力することは欠かせませんが、「自分は一人ではない」という安心感は、大変なことであっても学びへの大きなモチベーションに繋がります。
学校でたくさん会話することで、自分を知り、お互いを知り、弱い自分も認めるようになる。すると、学生たちは「自分も支えられてよい存在であること」を認識します。医療従事者は「人のため、人の幸せのため」に働きますが、支える側の仕事を目指すのであれば、まずは“自分を大切にできる人”にならなければいけません。奉仕ではなく、自分もやりがいや喜びを感じながら働くことができる医療人を育成することが、本校の使命だと捉えています。
自由であるために規律を守る
アットホームで自由な校風ではあるのですが、規律を守ることも同じように大切に考えています。本校ではまず「授業に出席すること」「提出物は必ず出す」の二つを厳しく指導します。なぜなら、これらはやる気さえあれば成績に関係なく誰でもできることだからです。自由であるためには、まず規律を守ること、やるべきことはきちんとやることも医療人としては必要な素養だと思っています。
さらに「素直であること」の大切さも、折に触れて学生たちに伝えます。本校が求める「素直さ」とは、ただ言うことを聞く、言われたままに行動するのではなく、言われたことを率直に受け入れ、自分で考えてから自発的に動ける思考力を身につけること。誠実であり、素直であることは、社会に出てから必ずその人にとっての一つの武器になるからです。
合格だけを目標とせず、対話することや豊かな人間性を育むことを大切にする校風のせいか、以前は不登校だった子や、やりがいをなかなかもてなかった子が、本校に入学してから積極的に学校生活を送るようになることも珍しくありません。彼らの成長は著しく、卒業後、今では立派な臨床検査技師として全国で活躍しています。
学生のやりたいことを応援し、一人ひとりと向き合う「少数丁寧」の教育
臨床検査技師になるための学校はたくさんあります。どこで学べばよいのか迷っている人もたくさんいるでしょう。その際は、ぜひいろいろな学校のオープンキャンパスに参加してほしいと思っています。本校のオープンキャンパスでは、すべてを包み隠さずお見せしています。模擬授業体験や在校生とのフリートーク、個別相談も十分に時間をかけて行っています。校内にはユニークな掲示物などもたくさんあるので、そうしたものも細かくチェックすれば、本校の雰囲気や、入学後の学校生活がイメージできると思います。
せっかく臨床検査技師を目指して学校を探したのに、自分に合わない学校に入学して、途中で諦めてしまうことほど残念なことはありません。しっかりと学校を見て、「好きな部分」「あまり好きになれない部分」も把握したうえで、自分が輝ける学校を見つけ、自分で決めることが大切です。
本校は、2025年に創立45周年、2030年には50年を迎えます。少子化は今後も続くものと予想されるため、全国的に入学者も減少していくでしょう。本校では既に数年前から意図的に定員を減らし、より学生一人ひとりに向き合い、細やかな指導体制で日々の学びをサポートしています。「少数精鋭」ではなく、「少数丁寧」。それが本校の学びのスタイルです。
本校はこれからも、「臨床検査技師になりたい」という想いをしっかりと受け止め、国家試験合格のための学びはもちろん、豊富な行事や各業界で活躍する著名人の講演など、多種多様な経験を重ね、学生一人ひとりが、「自律~自立~自走」のプロセスを着実に踏んでいきながら、社会に羽ばたいていける医療人を育てていきたいと考えています。
【Profile】
山藤 賢(さんどう まさる)氏医療法人社団昭和育英会理事長。昭和医療技術専門学校学校長。 1972年東京都生まれ。昭和大学医学部、同大学院医学研究科外科系整形外科修了。医学博士。 日本臨床検査学教育協議会副理事長、短期大学専門学校部会会長なども務める。 Jリーグ、サッカー日本代表各世代のチームドクターを歴任。サッカー日本女子代表・なでしこジャパンではオリンピック、ワールドカップなどを共に戦い抜いた。現在は東京都サッカー協会医学委員会委員長、2020オリンピック・パラリンピックでは現場のメディカルアドバイザーを務めた。その教育論、人材育成、経営論は多くの共感を呼び、講演依頼、執筆依頼も数多く、著書に『働き方の処方箋~人生を肯定的に生きる~』(医歯薬出版)、『森のような経営~社員が驚くほど自由で生き生きする。「心理的安全性」に溢れた組織づくり~』(山田 博共著/ワニプラス)、『社会人になるということ令和版』(幻冬舎)などがあり、近著は書店週間ビジネス書ランキング1位になるなど現在注目の教育者、経営者、リーダーでもある。
*1/2014年~2023年度の実績。2023年度は97.2%(受験者数36名・合格者数35名)
*2/2023年3月卒業生実績。就職者数35名
【昭和医療技術専門学校(スタディサプリ進路)】
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