楠木先生の、キャリアガイダンス編集部 留学日記#1
「環境の変化と小さな気づき」
4月1日より民間企業研修としてリクルートに勤務し、1カ月が過ぎた。学校現場とは異なる働き方に困惑しつつも、意外と環境の変化に順応できるものだと自分でも驚いている。
大きな変化の一つが「ペーパーレス」。
私は、1枚も資料・プリント類はもらっていない。(研修用ファイルをつくったのに…)
私は、1回も印鑑を押していない。(念のため、毎日印鑑を持参している!)
私は、1度もペンを使っていない。(もちろん、消しかすは出ない。)
3月までの学校生活では考えられない変化である。まわりを見渡しても、資料にメモ書き、押印をしている人はほぼいない。みなさんPCを持ち歩き、メモや資料はクラウド保管、連絡はチャットなどのオンラインツールを活用しながら、仕事をしている。
フリーアドレス制の仕事環境も新鮮だ。ペーパーレスなので、PC一つあれば、好きな場所で仕事ができる。となりに座る人が毎日違うというのも新鮮だ。学校の職員室は1年に一回しか席が変わらない。どうしても会話する人が限定的になり、学年間の連携がとりづらい。多くの障壁があるのは百も承知だが、職員室もフリーアドレス制にしてみてはどうか?一部の学校ではすでに職員室のフリーアドレス化が進んでいるとも初めて知った。
ちなみに私自身の学校現場におけるICT機器の活用状況はどうか?
I(いつでも)C(Chalkと)T(Talk)と言いながら、ICT機器の活用には消極的だったと感じる。しかしここ2~3年はI(一回)C(ちょこっと)T(Try)と言いながら導入していたが、効果的な活用ができていたかは疑問である。端末やアプリの操作に至っては、I(今では)C(childrenが)T(Teacher)と言わんばかりに、子どもたちのほうが操作や活用には長けている。さすが、デジタルネイティブ世代…。
特にこの1カ月は、ICTのC(Communication)について、企業の働き方を実感できた。働き方が変われば、必要なスキルも変わり、学校も変わる必要がある。私が高校や大学時代に学んだスキルはあと何年通用するのだろうか。私自身も危機感を感じると同時に、学校も変わる必要があると当事者意識をもって考えるようになったのが、私の成長である。
学校でしかできない体験って何だろう?
どのような力を育てることが求められるのだろう?
子どもたちの伴走者として、どうあるべきか?
まだまだ、結論は出ていませんが、学校を離れ、客観的に学校組織を眺めたときに、様々な疑問を見つけることができた。私の疑問に対して、共感できる・できないも多様な価値観の時代です。私自身の疑問が、みなさんの気づきとなり、そして学校や教育を変えるきっかけとなる留学日記にしたいと思う。
1年間、よろしくお願いします。
【Profile】
楠木 翔(くすきしょう) ●静岡県公立高等学校教諭。専門は理科(化学)。
2024年4月より民間企業等長期派遣研修生としてキャリアガイダンス編集部に出向中。
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