楠木先生の、キャリアガイダンス編集部 留学日記#10
「半径5m」
リクルートが主催するアントレプレナーシップ・プログラム「高校生Ring」の最終審査会である高校生Ring AWARD 2024が、先日開催された。高校生Ringとは、自分たちの半径5mに注目し、課題を見つけ、解決策を考え、ビジネスプランを提案するプログラムである。私も運営スタッフの一人として携わらせていただき、多くの気づきがあった。
まず、普段の生活における「できないこと」を当たり前として受け入れ、日々過ごしていることに気づかされた。いつからか「もっとこうしたい!」という願望を持たなくなり、妥協や惰性の中で、社会を変えるための思考が止まっていた。
また、「できないこと」に対して、どう解決策を考えるのか?現在、多くのサービスが提供される中で、課題を解決できるサービスを探すことに注力しすぎていたと思う。「できない」を誰かに解決してもらうことに期待し、自分から解決するための手立てを考える思考力が衰えているのではないかと危機感を覚えた。
今回発表してくれたファイナリストたちの課題発見力および課題を解決に導く思考力、企画力、さらには地域や社会を良くしようと考える課題意識は、どのグループも非常に素晴らしかった。「自分たちなら、これができる!」が明確であり、改めて高校生の発想力や行動力は、社会を変える力があると感じた。ファイナリストたちのアイデアだけでなく、高校生Ringにエントリーしてくださった高校生のプランもたくさん拝見したが、「目からうろこ」なアイデアが豊富にあった。それぞれの高校生の視点は多様で、改めて自分自身の半径5mにはたくさんの課題があると実感した。
では、そのような高校生の柔軟な思考力や行動力を、普段の学校生活で引き出すことができているだろうか?授業や探究学習、学校行事など、もっと生徒が主体的に判断し活動できる場を提供することが、学校現場に求められている。
今、自分の半径5mに、どのような課題があるだろうか?
その課題を解決するために、何ができるだろうか?
誰とともにアクションを起こせば、新しい価値が生まれるだろうか?
高校生RingAWARDの運営に携わり、多くの新たな気づきを得ることができた1か月だった。
【Profile】
楠木 翔(くすきしょう) ●静岡県公立高等学校教諭。専門は理科(化学)。
2024年4月より民間企業等長期派遣研修生としてキャリアガイダンス編集部に出向中。
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