楠木先生の、キャリアガイダンス編集部 留学日記#7
「博物館での親子の会話」

先日、ある博物館 で2組の親子の会話を耳にした。

ある親子Aの会話
親A:「この展示物はね、運転免許証でね、今は紙製だけど、昔は木札だったんだよ!」
子A:「・・・・・」(すごく熱心に、運転免許証の変遷を見ている!)
親A:「この写真は、〇〇事件って言ってね!~~(事件のことを丁寧に説明)~~」
子A:「・・・・・」(子どもは、写真を隅々まで観察していた。)

親Aの説明は、子どもにも理解しやすい言葉を使い、私が聞いていても、勉強になった。
親Aは、教員、もしくはこの分野に詳しい専門家だったのだろうか?
ただ、子Aはずっと無言だったのが気になった。

別の親子Bの会話
親B:「これは、何だろうね?」
子B:「運転免許証?」
親B:「そうだね!昔の運転免許証は、今と何が違う?」
子B:「昔の運転免許証は、木でできてる。」
親B:「そうだね、なぜ、木から紙に変わったんだろうね?調べてみよっか!」
(すごく質問がうまい!この親子の会話に興味があり、聞き耳を立てていると…)
子B:「ねぇ、これは何?」
親B:「さぁ、なんだろね?(←いや、絶対知ってる!)何だと思ったの?」
子B:「昔の警棒?」
親B:「正解!」(←やっぱり知ってた!)「これはね・・・」

親Bは、子Bに質問を繰り返し、対話を通じて、思考を促しているように感じた。

どちらの親子が「正解」だ、ではない。
親子Aは、インプット中心の外発的な学びであり、親子Bは、アウトプット中心の内発的な学びであると感じた。私の授業では、親子Aの会話に似ていることが多い。ただ、私には、子Bの方が博物館を楽しんでいたように見えたため、親子Bのような授業を増やしたいと思った。

さて、この小さな気づきを、どう授業に持ち込むか。
これまでの民間企業研修を通じて、リクルートのカルチャーである「圧倒的当事者意識」が私には足りないと痛感している。「私はどんな授業をしたいのか?」を、今一度見直したい。親子Bのように「質問」「興味づけ」「対話」を通じた、子どものワクワクに気づき・育てる授業。今月同席させていただいた取材でも、「対話」の大切さを改めて感じた。私自身理科教諭として、実物の見せ方や実験での問いかけ を見直す必要があると感じた。

また、休日に博物館を巡ろう。新たな気づきを求めて!

この写真から、どんな発問がうかぶのか?
子どもの反応を予測しながら、発問を考える時間は、私は好きだ。ワクワクする!

【Profile】
楠木 翔(くすきしょう) ●静岡県公立高等学校教諭。専門は理科(化学)。
2024年4月より民間企業等長期派遣研修生としてキャリアガイダンス編集部に出向中。  

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