楠木先生の、キャリアガイダンス編集部 留学日記#2
「学校取材を振り返って」

今月は、多くの学校取材に同席させていただいた。取材時の挨拶でキャリアガイダンス編集部と同時に、静岡県の公立高校教諭であることを伝えると、どの先生方も驚いた様子であった。やはり、今の環境は特殊であり、貴重な時間であるということを改めて感じた。

今回の取材テーマは「総合的な探究の時間」。詳細は、7月20日に発行予定の Vol.451を楽しみにしていただきたいが、取材を通じて感じたことを少しだけ早く報告する。

普通科改革などの特色ある学校づくりが求められる今、多くの学校で地域資源を活用した教育課程の編成が行われている。今回は、「探究」を試行錯誤しながら推進されている学校を取材させていただいた。地域で学び、地域とともに育てる学校運営を実践する一方、学校内外の連携や持続可能性、評価の在り方など、どの学校にも特有の悩みがあることを実感した。ただ取材させていただいた学校は、危機感を持った先生方が、学校としての「ありたい姿」の議論を重ね、知恵を出し合い、学校を変えるための挑戦をしていた。

・このままの学校、授業でいいのか?
・これからの子どもたちにとって必要な力は?
・活用できる人的・物的資源(資産)は何か?
・生徒を夢中にさせる伴走とは?

私自身も同じ悩みを感じたことはあるが、行動に結び付けることができていなかったと痛感した。「ありたい姿」の実現に向けて、失敗を恐れず、同僚・子どもたち・地域を巻き込んで、自分たちのやりたい授業・学校運営をやっている先生方はとても輝いており、充実感に満ちた表情で取材に応えていた姿が印象的である。

探究活動では「正解を教えること」が教師の仕事ではない。子どもたち「一人一人の正解」に向けて、子どもたちの活動を伴走しながら、ときには一緒に探究する教師としての在り方はとても参考になった。なにより、とても『生き生きと活動的に』探究していた。多様性に富み、万人に向けた正解がない時代において、教師も学び続けることの大切さを教えていただいた。

今、私はすっかり「ホーム」シックならぬ、「スクール」シックである。
学校現場に戻り、取材を通じて得た知恵を活用し、子どもたちに伴走したい。
子どもたちの成長のために、自分にしかできないことをやりたいと思うこの頃である。

一方で、先生方の創意工夫によって築かれた経験や知恵を言語化し、多くの学校にエールを届けるキャリアガイダンス編集部という仕事に、大きな責任感と使命感・やりがいを感じている日々だ。

最後になりましたが、取材にご協力いただいた先生方に、心より感謝申し上げますと同時に、7月号の発行を楽しみにお待ちいただけますと幸いです。

【Profile】
楠木 翔(くすきしょう) ●静岡県公立高等学校教諭。専門は理科(化学)。
2024年4月より民間企業等長期派遣研修生としてキャリアガイダンス編集部に出向中。  

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