名古屋女子大学 学長 越原もゆる氏

性別を問わず、能力と個性を十二分に発揮できる現代
共学化により、社会に貢献し、活躍し続けられる人材の育成を強化

100年以上にわたり、社会の発展に貢献できる人材を育成
 本学は1915年に越原 和(やまと)と、その妻で、我が国初の女性衆議院議員の一人として知られる越原春子が共同で創立した「名古屋女学校」を起源としています。それ以来一貫して女子教育を推進し、1950年に名古屋女学院短期大学(現:名古屋女子大学短期大学部)を、1964年に名古屋女子大学を設置。そして創立110年の節目となる2025年4月から名古屋女子大学を男女共学とし、「名古屋葵大学」に名称変更することにしました(構想中)。

 建学の精神は、創立以来の学園訓「親切」を根幹とし、「高い教養を身に纏った、よき家庭人であり、力強き職能人としての女性を育成する」ことにあります。越原春子は「親切」を思いやりの心のみに留めず、「人間愛、友愛、学問への情熱と研鑽である」とし、職業を通じての社会貢献こそが学園訓「親切」の真意であると唱えました。そして高い教養と職能を身につけた女性の社会における活躍が真の男女平等の実現に繋がると説きました。
 親切は感謝の気持ちから始まります。本学の卒業生が感謝の気持ちをもち、本学で学んだことを存分に活かして働くことにより、社会に還元していくという意味を学園訓とそれに通ずる建学の精神に込めたのです。

 世の中が男女共同参画社会に移り変わるなか、男性にも女性にも家庭と仕事の両立が求められています。本学が共学化に向けて大きく舵を切ったのは、そうした時代の変化に合わせ、これまで社会で活躍する女性を輩出してきた教育を男性にも広げていきたいと考えたためです。

「食と健康」の分野をはじめ、高い専門性を身につけられる大学
 本学はこれまでも世の中の変化とともに改組改革を続けてきました。2019年には健康科学部を設置して看護学科を開設し、それまでの家政学部 食物栄養学科を健康科学部 健康栄養学科に改めました。2022年には医療科学部 理学療法学科・作業療法学科を開設しました。
 現在は家政学部(2025年4月、「生活環境学部」に名称変更予定/構想中)生活環境学科、児童教育学部 児童教育学科を含めた4学部6学科を有し、医療と看護、衣食住、教育それぞれの分野の高い能力をもち、社会で活躍できる人材を育成しています。

 健康科学部と医療科学部には共通の学修概念として「食と健康」があります。「日頃からバランスの取れた食事を摂ることで病気を予防できる」という意味をもつ「医食同源」という言葉がよくクローズアップされるように、現代社会では「食と健康」が見直されています。そのようななか、両学部では食や健康についての専門知識や技術を身につけ、人々の健康の維持・増進、疾病の予防・治療に寄与する人材を育成しています。

 また、本学では2022年に「産学連携推進センター」を設立し、2023年には「ヘルスケア研究所」も開設しました。所長には認知症研究の第一人者で、三大認知症(アルツハイマー病、脳血管性認知症、レビー小体型認知症)のなかで最も患者数が多いアルツハイマー病の進行を抑制する世界初の薬「アリセプト」の開発者である杉本八郎氏を迎えました。少子超高齢化社会が進展するなか、認知症に関する研究は不可欠であり、その研究・教育に役立てるため、産学連携を本格的に推進していきます。

ヘルスケア領域を中心に、産学連携によって専門的な学びを強化
 ヘルスケア研究所の開設に伴い、健康科学部 健康栄養学科・看護学科、医療科学部 理学療法学科・作業療法学科はもとより、衣食住、ビジネス・情報、教育の分野で活躍できる専門家を養成する家政学部 生活環境学科においては病気や障がいをもった方が過ごしやすい住居を考案したり、小・中学校教諭、幼稚園教諭、保育士を養成する児童教育学部 児童教育学科においては少子化・高齢化についてさらに深く学習したりと、既存のカリキュラムを強化するほか、学部横断的に取り組むカリキュラムも検討しています。

 本学は今後も各分野の学びの領域を拡充していきます。また、学生にとって貴重な学びの機会となる産学連携にさらに力を入れて取り組んでいきます。

個性を活かして学生を成長させたいという「葵」に込めた願い
 新しい校名である「名古屋葵大学」の「葵」の文字には、学園創立の地が旧:名古屋市東区葵町であったことに加え、今一度建学の原点に立ち返るという思いを込めています。
 アオイという植物は上へ上へと真っすぐ伸び、色とりどりの花を咲かせます。共学として新たな一歩を踏み出すにあたり、アオイの花のように学生一人ひとりの個性を大切にし、多彩な能力を身につけて伸び伸びと成長していくような教育を推進していきたいと考えたのです。

 共学化を新たな出発点とする本学には、産学連携プロジェクトに積極的に参加したいと考える学生に来てほしいと考えています。食や健康に関心がある男子学生には健康栄養学科で学んでいただきたい。看護学科では男性の看護師を育てたい。産学連携を通じ、学生がなかなか触れられない認知症をはじめ、高度な分野のこと、幅広い分野のことを学んでいただきたい。そう考えています。
 理学療法士や作業療法士は最近の男子学生に人気の職業です。小学校教諭も男子学生に人気があります。ぜひそれらの職業に必要な知識や技能を身につけていただきたいです。
 しっかり学べば一級建築士国家資格の取得も夢ではありません。女子学生も含め、入学生にはいろいろなことに挑戦してほしいと考えています。

 本学の汐路学舎は名古屋駅から瑞穂区役所駅まで地下鉄で約20分、瑞穂区役所駅からわずか300mという通いやすい場所にあります。実習先に行きやすくて便利です。駅が近いということは安全にも繋がります。
 さらに、本学では教職員が力を合わせ、学生の就職や進学、その先の人生までを見据え、学生一人ひとりに対してきめ細かい支援を行っています。ぜひ本学で学び、アオイのように凛と美しく、知性と教養を兼ね備えた職業人として成長していただきたいと願っています。
*設置される学校・学部・学科等の名称・内容などは予定につき、変更される場合があります。


【Profile】
名古屋女子大学 学長 越原もゆる(こしはらもゆる)
学校法人 越原学園 理事長・学園長
名古屋女子大学第6代学長
名古屋女子大学短期大学部第7代学長

学園創立者である越原 和・越原春子の曾孫で、自身も1995年に名古屋女子大学を卒業。2005年、東京農業大学大学院農学研究科食品栄養学専攻博士後期課程修了。博士(食品栄養学)。学園創立100周年の2015年4月より現職。

【名古屋葵大学(スタディサプリ進路)】



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