楠木先生の、キャリアガイダンス編集部 留学日記#4
「東京駅を歩いていると」

東京への電車通勤も5か月がたち、東京駅にもだいぶ慣れてきた(と言い聞かせてる!)。

東京駅は、日々増改築工事が行われている。
東京駅周辺は、いつも新しい発見があるため、つい時間を忘れて楽しんでしまう。(もちろん退勤後に!)

ヒトを惹きつける一つの要素は、「変化」による新しさだ。
そんなことを考えていたら、ふと魅力ある学校づくりには、カリキュラムや設備面、学び方にも変化が必要だと改めて感じる。

全員が同じ道具を使い、同じ方向を見つめ、同じ課題に取り組む授業は、確かに効率的ではある。
しかしそれは「教員にとって」効率的だと最近、気づいた。学びの主体は子どもたちである。
子どもたちにとって効果的な学び、魅力ある授業にするために、私自身の大きなリフォームが必要だ。

少子化による空き教室の増加、老朽化による校舎の増改築、一人一台端末の普及による学び方の変化など、これからの学校施設や授業を見直すきっかけはたくさんある。費用面は大きな課題だが、教員一人一人のアイデアが学校および授業を変えている現場を見聞きする機会も増えた。また生徒の要望が、学校を変え、学校改革につながったケースもあるようだ。

つい先日、ある会社のオフィスで開催された教育イベントに参加した。最近のオフィスはシンプルでありつつも、多機能であり、様々な面で考えられた設計をしている。とても素敵な空間であり、働く環境がこんなにも変化しているのだと感じた。私自身、学校以外の職場環境を見学した経験が少ないため、とても新鮮であった。その会社では高校生向けにオフィス見学ツアーも実施しており、同日も数十名の高校生が参加していた。大学のオープンキャンパスも大事だが、これからの働き方を考えるうえで、小学生の頃の会社見学を思い出しながらオフィスツアーに出かけるのもキャリア教育の一環としては素敵な体験になるかもしれない。職場環境を改善する一つのヒントとして、オフィス見学に行くこととは教員にとってもメリットは大きいと感じた。
ちなみにリクルートのオフィスもとても素敵です。

学び方の違いにより、さまざまな教室があっていいのでは?

変化し続ける東京駅には、あえて残されているものも数多く存在する。
その一つであるゼロキロポストを見つけるのが、最近のマイブームだ。
東京駅を利用する際はぜひ、探してみてください。

ゼロキロポストは鉄道の起点(0 km)を表すものだが、教育(授業)の起点(少しニュアンスは異なるが原点)は何だろうと最近よく考える。社会で求められる力も多様化するなかで、学校には柔軟に変化することが求められる部分と、あえて変化させずに残す部分がきっとあるはず。急速に進むICT化により、ヒトとのかかわり方は大きく変化している。またAIの進展により、学び方も大きく変化していくだろう。

「変える勇気」と「変わらない意志」
私の性格上、考えていても結論は出ない。
まずは、手軽にできるところから「変化」を始めてみる!いろいろな変化の中で、最後まで残るのが、自分の個性(こだわり)なのかもしれない。
変化は怖いが、小さな一歩に勇気をもって!と自分に言い聞かせながら、変化を楽しむことに決めた。

東京駅と同様、教育観の増改築を繰り返しながらも、大切に残したい教員としての起点・原点は何なのか。
なんて考えながら、今日も東京駅を歩いていると、ヒトとぶつかりそうになる。自分の歩いている場所も分からなくなる。
やはり東京駅はまだまだ怖い。方向音痴だけは治らない。ただ無駄に歩きまわる時間も好きだ。

なぜ教員になったのか? 学校はなぜ必要なのか?

【Profile】
楠木 翔(くすきしょう) ●静岡県公立高等学校教諭。専門は理科(化学)。
2024年4月より民間企業等長期派遣研修生としてキャリアガイダンス編集部に出向中。  

編集部留学日記に戻る