グローバルリーダーを育成するトップアップの国際カリキュラム/中京大学 国際学部

POINT
  • 1923年開校の中京商業学校を起源とし、1956年に開学した大学
  • 「学術とスポーツの真剣味の殿堂たれ」を建学の精神とし、「学術の場では学術の研鑽と共にジェントルマンシップ、レディシップを醸成陶冶する」と、人格の陶冶を教育理念に掲げる
  • 2019年度入試の志願者総数は40047名(大学HPより)
  • 2020年4月国際学部(国際学科‐国際人間学専攻、国際政治学専攻、国際経済学専攻、GLS専攻/言語文化学科‐複言語・複文化学専攻、英米学専攻)を開設予定


 中京大学(以下、中京)は2020年に国際英語学部・国際教養学部を発展的に改組し、国際学部を設置する。その設置趣旨について、愛知県名古屋市のキャンパスを訪ね、学部長就任予定の佐道明広教授にお話をうかがった。

「英語で何を話せるのか」を軸に既存学部・学科を再構築

 佐道教授は言う。「日本の大学全体が社会からグローバル化を迫られています。日本に必要なグローバル人財とは何か、どう教育すればいいのかは、どの大学でも議論されていることと思います」。中京の国際英語学部と国際教養学部においても当然グローバル人財育成をうたってきた。これらを基盤とし、英語をベースにした体系的なグローバルスキル習得、即ち「英語で何を話せるのか」を軸に再構築を図ったのが、今回開設する国際学部だ。佐道教授は言う。「中京ではグローバル人財を、『国際社会の現状を的確に理解し、多様な人々と協働するための円滑なコミュニケーション能力を有し、複雑な諸問題に対応できる高度な専門的知見と技能を有するリーダー』と定義しました。そうしたリーダー人財を育成するために必要な教育をゼロベースで構想したのが国際学部です」。さらに、佐道教授は続ける。「中京圏は言うまでもなくトヨタ自動車を核とした自動車産業の集積地です。自動車はグローバル産業であるにも拘わらず、中京圏のグローバル化対応はまだまだ不十分。こうした傾向に一石を投じたいという思いもあります」。

視座を引き上げ、視点を広げ、専攻を集約する教育プロセス

 国際学部が有する教育の独自性を挙げたい(図参考)。

図 国際学部のカリキュラムフロー

 1点目が、1年次セメスター留学である。まず、入学後春学期に能力別少人数クラスで英語を徹底的にトレーニングする。60分授業が1日に3回×週3日(月・水・金)で1週につき合計540分を英語習得に割く予定だ。そうした基礎トレーニングの後、秋学期を丸々使い、全員必修で留学が課される(GLS専攻を除く)。異文化生活を早期に経験することで世界の広さを実感し、留学をきっかけに自らの可能性や課題を発見し、2年次以降の学びを選択する素地を培うのが目的だ。「英語で何を話せるか」を軸とするとは、「英語=語学トレーニング」と「話す内容=専門分野修得」を両立させるカリキュラムを組むということである。そのため、それぞれへの興味・関心を呼び起こすことを学びの入り口に置いたのである。

 2点目は、プルリリンガル&プルリカルチュラルと称する複言語・複文化習得プログラムである。国際学部ではまず世界共通語としての英語を学ぶが、さらに世界の主要言語から1つを選択して学ぶことで、複数の言語を使いこなす力と多様な文化への理解力を持つ、実践的なグローバル人材を育成する。なお、プルリリンガルとは聞き慣れない言葉だが、「個人や社会がその環境に応じて複数の言語を話す状態」を指す言葉だという。似た言葉にマルチリンガルがあるが、そちらは「複数言語が共存する社会」を指す言葉であり、個人に焦点を当てる場合はプルリリンガルのほうが適しているということである。

 3点目は、卒業単位140単位制である。設置基準の最低ラインである124単位を基本とする大学が多いなか、中京の国際学部は最初から140単位でカリキュラムを設計した。このメリットは、2年次以降の授業の単位が基本4単位になることである。4単位の場合授業は週に2回、15週のセメスターで30回授業を受ける前提でカリキュラムを設計できるようになる。「通常の15回設計とは全く深さが異なるシラバスになります。基礎習得だけに集中せざるを得なかった授業で応用まで触れることができる、他領域とのつながりを強く意識することができる等、学問修得におけるメリットは非常に大きい」と佐道教授は言う。

 4点目は、選択制のWメジャー(複数専攻)制である。多様化する世界の課題に対応するためには1つの学問領域を深く追究することに加え、「より深く複数の専門を研究したいという声が少なからずある」ことが制度設計の背景にあるという。具体的には3年次から2学科を横断し、複数の専攻を選び研究することができる仕組みだ。3年次には自専攻のゼミ、4年次にはもう1つの専攻のゼミにも所属し、2つの専門的な内容を学んでいくための、興味・関心を広げる機会でもある。1年次の留学で涵養した目的意識や関心に、2年次に学問として触れ、自分の専門を見定めて3年次に進む、という歩み方を想定している。

 以上見てきた通り、教育内容はかなりタフであると言えるだろう。こうした内容をきちんと身につけてもらうために、1クラス10名程度のクラス担任制(学習アドバイザリー制度)を敷き、個人の学修進捗等を把握した細やかな支援体制を整えている。個人の学修履歴を蓄積するシステム等の構築も同時並行で検討しているという。

マルチリンガルなキャンパスを目指して

 グローバル人財育成に対応したキャンパスの在り方も大切である。国際学部の設置に合わせてキャンパス内の「アネックス棟」をリニューアルし、異文化交流スペースや学習用スペースを設けるほか、20名程度の規模を想定したアクティブラーニング対応型の語学教室やラウンジ等も整備する。「学びやすく集いやすい場を創りたい」と話す佐道教授は、現状よりもさらに留学生を獲得し、キャンパスのあちこちで多様な言語が飛び交っている状態を創りたいという。「国際社会の多様性を体現するキャンパスでありたい。今の学生達が働く社会は、どういう業界であれ、日本人以外の方々と協働するシーンが当たり前になるでしょう。そうしたシーンを想定し、当たり前に多様性を受け入れる素地を身につけてほしい。留学期間だけではなく、帰国後の生活においてもそうした素養を継続的にトレーニングしてほしいのです」。

 また、国際学部卒業後に想定されるキャリアとして、グローバル企業や行政、英語教員や日本語教師等のほかに、当然国際問題関係組織への就職がある。一般的に修士以上の学歴が求められる国際機関やNGO等での活躍を想定して、現在同時並行で大学院の整備も進めているという。

グローバル化の起点は好奇心

 最後に、国際学部の入学生に求める資質能力について聞いた。佐道教授は、「重要なのは好奇心です」と断ずる。「積極的に本人がやりたいと思えることが成長の基盤となります。自ら動ける学生が伸びていく。その起点となるのは好奇心。様々な事象に好奇心を示すことから、経験値を積んでいくことができる。その集積によって、自分にしかない着眼点や世界を見る力を得ることができる。即ち、英語で話す内容が多彩になっていくのだと思います」。中京が提供する新たな世界の扉を開く、好奇心旺盛な学生の活躍が今から楽しみである。

カレッジマネジメント編集部 鹿島 梓(2019/11/26)