年内入試の多様化が示す大学ブランディングへの道筋/金城大学

【DATA】金城大学
学生数1284名(学部1263名・専攻科11名・大学院10名。2025年5月1日現在)
4学部(人間社会科、医療健康、看護、総合経済)
石川県白山市

2026年度入試で総合型選抜 探究重視型(全学部全学科)・検定資格重視型(総合経済学部総合経済学科)、学校推薦型選抜基礎学力重視型(全学部全学科)を導入

金城大学 
入試広報部 課長 根津崇志 氏


受験生の多様なニーズに応える入試のバリエーション

 総合型選抜の入学者は年々増加しており、本学のような地方私大の定員確保においては最重要区分です。背景には高校生の早期決定志向があります。高校での活動を多面的に評価してほしいと総合型を積極的に選ぶ層もいますが、それ以上に、「早く進路を決めたい」という高校生が増えています。一番大事なのは、それぞれの受験生が自分起点で最適な入試を選べるバリエーションを広く用意しておくということです。

地域活動を強化する方向性に合致する属性を選抜する探究重視型

 本学の学部学科の多くは国家試験合格を目指しています。その一方で正課外の地域貢献や地域交流等の活動に各学科が注力してきました。専門知識・技能に加えて、こうした活動で培われる多世代とのコミュニケーション力や地域貢献力を大学の大きな付加価値と捉え、社会的価値として最大化していきたいという意向があります。

 こうした活動は実習が始まる前の1・2年生が中心で、結果的に主に3年次から本格化する各種実習科目に向けた意識醸成等に大きく寄与します。2024年に設置した総合経済学部では、学外での学びや企業・自治体との連携がさらに進んでいます。こうした流れを踏まえ、高校時代から探究学習やボランティア等、地域で活動していた層を獲得するため、探究重視型を設置しました。大学として目指す方向性に整合し、活発に活動できるレディネス(準備性)があると見込んでのことです。本学は単なる専門技術者ではなく、地域貢献の志向を持つ職業人として育成していく。入試ではその素養を評価したいと考えます。

 実際に入試を実施したところ、地域での探究活動に積極的に取り組み、書類やプレゼン資料の内容も期待以上で、入学後は本学の学外活動を牽引してくれそうな受験生が多く見られました。一人ひとりを丁寧に評価する選抜の特性上、スケールメリットは見込みづらいですが、大学教育へのレディネスを多面的に評価する重要な入試区分となりそうです。

専門教育にスムーズに入ることができる基礎学力を評価する基礎学力重視型

 基礎学力重視型は、専門教育へスムーズに移行できる一定の基礎学力を備えた受験生の獲得を目的としています。提出書類の一つである課題レポートでは、①高校在学時の諸活動の経験から学んだこと、②金城大学の理念を踏まえ大学で何を学びたいのかという2点を別々に問います。前者は「経験した」という事実のみならずそこから解釈する力を、後者は自身のキャリアの方向性とアドミッション・ポリシーをどのように接続するかを評価します。いずれも内省し、思考し、言語化する力を求めるものです。形式的な書面ではなく、実質的な評価材料となるよう、評価の接続観点を丁寧に設計へ反映しています。


図表 探究重視型・基礎学力重視型の概観


教育と入試をシームレスにつなぐ

 今回の入試改革は、学部学科ごとに入学後の学びにつながりやすい属性を狙い撃ちする形で設計しました。高校からは「教育と入試がつながっていると分かれば指導しやすい」と好意的な意見が多いです。将来的には大学として目指す付加価値の高い教育とセットで入試制度の周知を図っていきたいです。



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