入学者の質向上とステークホルダーへの分かりやすさを 軸足に置いた2026年度入試改革/神奈川大学
【DATA】神奈川大学
学生数 19509名(学部19001名・大学院508名。2025年5月1日現在)
11学部(法、経済、経営、外国語、国際日本、人間科、理、工、建築、化学生命、情報)
神奈川県横浜市

給費生試験を筆頭にした年内入試を、ステークホルダーに分かりやすくするための入試改革
本学の2024年度のAO入試と公募制推薦入試の志願者数は合計805名と決して多くありませんでしたが、12月に実施している給費生試験の志願者数は8,962名で、合計すると約1万人が年内志願で集まっています。
しかし、本学のこれまでの公募制推薦入試は出願資格等が学部学科ごとに細かく分かれており、一見して分かりにくいものでした。日本には約800 もの大学があり、各大学が多様な入試を展開しているなかで、志願者数を増やすには進路指導の先生や保護者の方々を含め、ステークホルダーが一度聞いたらすっと理解できるようなシンプルな設計にしなければなりません。昨今の年内入試志向の高まりと大学入学者選抜実施要項の改訂に対応しつつ、分かりやすさに振り切ったのが今回の入試改革です(図表1・2)。一定の基礎学力の担保など大学として譲れないラインをいかに分かりやすく示すかを徹底しました。
本学はコロナ禍以降も志願状況が安定しており、入試制度改革の必要性を感じていませんでした。しかし、これだけ市場動向が変化し、28年度には東京23区の定員抑制も解除される状況で、しっかりした施策を打ち出す必要があると考え、このタイミングでの改革に踏み切りました。


給費生試験は総合型選抜の区分に仕立て直し
給費生試験は本学の開学当初の1933年から実施している伝統ある試験で、「経済格差が教育格差を生まないこと」をコンセプトに、初回から地方会場も設置して実施しており、全国から志願者が集まります。3教科を課す試験なこともあり、他大学を含めた年明け入試前に実力を測る試金石としての位置づけが大きいです。現在では合格発表が共通テスト前ということもあり、年明け入試が本命で力試しする層と、本学への志望度合いが高い層の両者が受験しており、比率的には50:50 くらいです。給費生試験を経た入学者は基礎学力の高い層で、大学教育にも馴染みやすく、本学としても引き続き注力したい試験区分の1つです。
今年度は、給費生として合格した場合の奨学金を4年間で最大880万円から920万円に増額したほか、高校や他大学でも活用が進む英語外部試験利用を導入しました(一般選抜等ほかの区分でも実施)。これは、経営学部(国際経営学科)・外国語学部・国際日本学部というグローバル系3学部が集うみなとみらいキャンパスを中心にしたブランディングにも寄与するものと考えています。そして、今年の大学入学者選抜実施要項改訂に合わせ、総合型選抜に区分を改め、評価対象としてエントリーシートを追加しました。
ターゲットの異なる2種類の総合型選抜を新設
新設した2種類の総合型選抜は、それぞれターゲットが異なります。総合評価型は、これまでのAO入試・公募制推薦入試と大きく考え方は変えず、高校時代の活動を評価する枠組みのなかで、多様な人材を確保するため学部学科ごとに必要な選考を課しています。一方、評定平均値(25年度は概ね3.5~3.8、学科により異なる)を置くことで基礎学力を担保しています。適性検査型は評定平均値による出願条件は設けず、高校時代の学習習慣を重視した選抜を行います。これは入試の早期化が進むほど、高校段階のカリキュラム習熟度が低くなる懸念があるためで、大学教育に繋がる基礎学力の担保として、調査書を日常的な学習状況、学習習慣等を含めた高校生活における総合的な成果と位置づけ高く評価します。また、適性検査型の出題範囲は高校2年修了時までとし、高校3年生のカリキュラムに影響を及ぼさないなかで評価を行います。
総合評価型は今年度の志願者数が1,361名で、昨年度のAO入試と公募制推薦入試を併せて805名だったことを踏まえると、大きく増加しました。これは、①入試方法や名称を分かりやすくしたこと ②ホームページやSNSを積極的に活用したこと ③全国の高校に周知する等、広報量を増やし情報発信を強化したことの成果だと思います。また、今年度は高校ガイダンスで首都圏に限らず多くの高校にお招き頂くことも増えました。大学全体の資料請求数も増加しており、イベントや説明会での集客増加により総接触人数は昨年比1.3倍ほどに増え、注目度の高さを感じるところです。入試関連イベントへの保護者参加も年々増えており、受験生にも教員にも、保護者にも分かりやすい入試制度にしていく必要性は日々感じるところです。
将来に向け入学者の質と大学のポジショニング向上を目指す
本学にとって大事なのは、これからの時代に備えて大学のポジショニングと入学者の質をどう上げるかということです。今回の入試改革は、入学者の質の担保を入試区分で分担しました。今後も時代のニーズに合わせて変わり続けることが大切です。来年度も、改革スピードを緩めず、需要のバランスを見極め、縮小するところと拡大するところを色分けした改革を想定しています。
本学の入試事務部においては、改革の継続性を担保する意味でも、入試現場で起こる事象、ちょっとした違和感や気づきをきちんと共有し、今後に生かす組織風土をさらに醸成していくべきだと考えております。
また、年内入試のニーズが高まると、年内入試のほうが難易度が上がってくる可能性があると思っています。受験生の質の観点では、より本学の教育に馴染みやすい、成長可能性の高い人を獲得していきたいです。そのため、年内、年明けを問わず「この水準までいかないと神大は受からない」ということを認識させ、きっちり選抜を行っている大学であるという認知を重ねていきたいと考えています。

