進路環境データ2010

[2010年4月]統計データ

高卒時の進路状況

01:高卒就職の動向は?

02:大学・短大の入口&出口の状況は?

03:専門学校卒業後の進路は?

04:雇用と働く人の現状は?

05:進学費用はどれぐらいかかる?

大学等進学率が54%で過去最高を更新

2009年3月の高校卒業者は106万3581人。大学等への進学率は53.9%で、過去最高を更新した。この数年上昇が続いた就職率は、前年より0.8 ポイント低下して18.2%。アルバイトやパート等の「一時的な仕事についた者」、進路未定など「それ以外の者」は、それぞれ前年よりわずかに上昇した。

高卒時の進路状況

求人数は昨年の6割以下に減少

雇用情勢の悪化から、高卒就職が厳しさを増している。09年度11月末時点の求人数は前年の6割以下に減少、10月末時点の内定率は前年より12ポイント低い。こうした状況を受けて、企業への求人要請や未就職者への職業訓練など、緊急支援に乗り出す自治体も出ている。

高卒者の求人数と就職(内定)率

AO・推薦入試での入学者増加。私大では約半数

国公立大学入学者の約8割は一般入試による入学者だが、私立大学は推薦入試とアドミッション・オフィス(AO)入試が約半数を占める。急速に拡大したAO入試では、高校時代の取り組みや意欲などの評価とともに、学力のチェックも行うべきという動きがでてきている。

大学入試方法別の入学者の割合

景気が影響求人総数・求人倍率が減少

求人総数や求人倍率は、景気の影響で大きく変動する。今春卒の求人倍率は前年2.14倍から1.62倍に低下。05年頃までの「就職氷河期」に迫る状況だ。 

大卒者の求人総数と求人倍率

大卒・短大卒の就職者は約7割

大学・短大を卒業した後に続く道は様々だ。09年3月の大学・短大卒業者のうち、就職者の割合はそれぞれ約7割。大学から大学院等、短大から大学・専修学校等への進学も少なくない。就職も進学もしない「それ以外の者」が1割強という状況は気になるところだ。 

大学・短大卒業後の進路状況

専門卒の就職率は大卒上回る

専門学校卒業者に占める就職者の割合は77.7%(08年度間)で、大卒者の就職率68.3%(09年3月)を上回る。また、学んだ内容と関連する分野への就職率が72.5%と高いのも特徴だ。専門学校の実践的な教育が就職につながりやすいと言えるだろう。 

専門学校卒業者の就職状況

企業が求めるのは自律性やコミュニケーション能力

新卒採用活動において企業が求める人材像をたずねた調査で、14の設定項目のうち「あてはまる」の回答が最も多かったのは「自分で考えながら自律的に進めるのが得意」。そのほか、コミュニケーション、粘り強さやストレス耐性などの精神面の強さに関する項目も多い。   

企業の求める人材

就職しても、3年以内に3~4割が離職

新卒で就職した人の離職状況をみると、ここ数年は転職も厳しい雇用環境が影響してか、離職率は低下傾向にある。だが依然、大卒者はおよそ3人に1人、高卒者は2人に1人が3年目までに仕事を辞めている。入社後に「思っていた仕事内容と違った」「仕事が向いていない」などとならないよう、進路決定前の対策が大切だ。 

高卒者と大卒者の離職状況

働き方の多様化がますます進んでいる

非正規職員・従業員の比率の推移を見ると、20年前は2割程度だったが、現在はおよそ3人に1人。15~24歳に限ると、半数近くが非正規という状況だ。その多くがパート・アルバイトだが、派遣社員や契約社員といった働き方も見られる。 

年齢層別の非正規従業員比率

雇用形態によって変わる年収

雇用の形態によって、年収に大きな差が見られる。同じ25~29歳で1年間に得た税込みの給与総額(年収)を比べたところ、正規の職員・従業員で最も多いのは300~399万円だが、派遣社員は200~249万円、アルバイトでは100~149万円が最多。アルバイトの約6割は150万円未満という厳しさだ。   

正規雇用・派遣社員・アルバイトの年収

これだけ違う 国立vs私立、文系vs理系

入学した年に大学に納める平均的な金額は、国立で82万円、私立で131万円だ。学部学科系統別に見ると、文科系より理科系のほうが施設や実習等に費用がかかるため高額となる傾向がある。このほか、入学までには受験料や受験のための交通・宿泊費、場合によっては併願校への納入金なども必要だ。   

大学の初年度納付金

専門分野により学納金に約100万円の差

専門学校の初年度納付金は、学科系統によって平均100万円程度から200万円近くまで幅がある。授業内容や必要な実習・設備が、学科によって異なることが影響している。また、同じ学科系統でも学校による違いが大きいため、志望校について個別に調べて確認したい。 

専門学校の初年度納付金

学費以外にも年間数十~百数十万円必要

学費のほか食費や住居費等も含めた大学生の年間生活費(支出)は、「下宿・アパート・その他の私立大学生」が最も高額で約247万円。これは平均値なので、もっとかかる場合もある。また、収入の多くは家庭から得ているが、奨学金やアルバイトでまかなう割合も小さくない。   

大学生の年間生活費

※掲載データは『クラス担任のためのCareer Guidance』Vol.1(2010年4月発行)に掲載されたものです。