OECD生徒の学習到達度調査(PISA)

1.日本の順位・分野別平均点の国際比較推移

「読解力」が15位から8位にアップ

世界各国の15歳(高校1年生)を対象に「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」の3分野について調査をするOECD生徒の学習到達度調査(PISA)。日本の順位は2003年調査、2006年調査と連続で落ち込んだが、2009年調査ではその傾向に歯止めがかかった。なかでも「読解力」は前回の15位から8位へと躍進している。

●PISA分野別平均得点の国際比較

■読解力

PISA2000得点PISA2003得点PISA2006得点PISA2009得点
1 フィンランド 546 フィンランド 543 韓国 556 上海 556
2 カナダ 534 韓国 534 フィンランド 547 韓国 539
3 ニュージーランド  529 カナダ 528 香港 536 フィンランド 536
4 オーストラリア 528 オーストラリア 525 カナダ 527 香港 533
5 アイルランド 527 リヒテンシュタイン 525 ニュージーランド  521 シンガポール 526
6 韓国 525 ニュージーランド  522 アイルランド 517 カナダ 524
7 イギリス 523 アイルランド 515 オーストラリア 513 ニュージーランド  521
8 日本 522 スウェーデン 514 リヒテンシュタイン 510 日本 520
9 スウェーデン 516 オランダ 513 ポーランド 508 オーストラリア 515
10 オーストリア 507 香港 510 スウェーデン 507 オランダ 508
11 ベルギー 507 ベルギー 507 オランダ 507 ベルギー 506
12 アイスランド 507 ノルウェー 500 ベルギー 501 ノルウェー 503
13 ノルウェー 505 スイス 499 エストニア 501 エストニア 501
14 フランス 505 日本 498 スイス 499 スイス 501
15 アメリカ 504 マカオ 498 日本 498 ポーランド 500

■数学的リテラシー

PISA2000得点PISA2003得点PISA2006得点PISA2009得点
1 日本 557 香港 550 台湾 549 上海 600
2 韓国 547 フィンランド 544 フィンランド 548 シンガポール 562
3 ニュージーランド  537 韓国 542 香港 547 香港 555
4 フィンランド 536 オランダ 538 韓国 547 韓国 546
5 オーストラリア 533 リヒテンシュタイン 536 オランダ 531 台湾 543
6 カナダ 533 日本 534 スイス 530 フィンランド 541
7 スイス 529 カナダ 532 カナダ 527 リヒテンシュタイン 536
8 イギリス 529 ベルギー 529 マカオ 525 スイス 534
9 ベルギー 520 マカオ 527 リヒテンシュタイン 525 日本 529
10 フランス 517 スイス 527 日本 523 カナダ 527
11 オーストリア 515 オーストラリア 524 ニュージーランド  522 オランダ 526
12 デンマーク 514 ニュージーランド  523 ベルギー 520 マカオ 525
13 アイスランド 514 チェコ 516 オーストラリア 520 ニュージーランド  519
14 リヒテンシュタイン 514 アイスランド 515 エストニア 515 ベルギー 515
15 スウェーデン 510 デンマーク 514 デンマーク 513 オーストラリア 514

■科学的リテラシー

PISA2000得点PISA2003得点PISA2006得点PISA2009得点
1 韓国 552 フィンランド 548 フィンランド 563 上海 575
2 日本 550 日本 548 香港 542 フィンランド 554
3 フィンランド 538 香港 539 カナダ 534 香港 549
4 イギリス 532 韓国 538 台湾 532 シンガポール 542
5 カナダ 529 リヒテンシュタイン 525 エストニア 531 日本 539
6 ニュージーランド  528 オーストラリア 525 日本 531 韓国 538
7 オーストラリア 528 マカオ 525 ニュージーランド  530 ニュージーランド  532
8 オーストリア 519 オランダ 524 オーストラリア 527 カナダ 529
9 アイルランド 513 チェコ 523 オランダ 525 エストニア 528
10 スウェーデン 512 ニュージーランド  521 リヒテンシュタイン 522 オーストラリア 527
11 チェコ 511 カナダ 519 韓国 522 オランダ 522
12 フランス 500 スイス 513 スロベニア 519 台湾 520
13 ノルウェー 500 フランス 511 ドイツ 516 ドイツ 520
14 アメリカ 499 ベルギー 509 イギリス 515 リヒテンシュタイン 520
15 ハンガリー 496 スウェーデン 506 チェコ 513 スイス 517

出典:国立教育政策研究所編『生きるための知識と技能4』(明石書店/2010年)p.xi~xxiv

(注) PISA2000:2000年調査において国際的な実施基準を満たさなかったオランダは除く
PISA2003:2003年調査において国際的な実施基準を満たさなかったイギリスは除く
PISA2006:アメリカについては、調査実施後、評価問題の冊子の組み方に不備が明らかになったため、読解力の結果の分析から除かれている

2.学校以外での読書活動

読書をしない高校1年生は44%

PISA2009でテストと同時に行われた生徒質問紙での調査結果によると、「趣味で読書をすることはない」との日本の回答は44.2%で、前回(2000年調査)から11ポイント減少した。しかしながら他国と比べると依然として高い数値で、上海の8.0%や台湾の17.3%とは大きな開きがある。

3.どんな本をよく読むか

「ノンフィクション」をよく読む生徒は約1割

PISA2009の生徒質問紙による調査結果から、本の種類別によく読む割合(「月に数回」「週に数回」の回答率)を見てみる。日本は「コミック」をよく読む生徒が突出して多く、「フィクション」もOECD平均を上回っている。しかし、「ノンフィクション」「新聞」はOECD平均以下で、客観的な事実にもとづいた論理的な文章に触れる機会が他国に比べると少ないようだ。

4.学校で学んだこと

「学校は決断する自信をつけてくれた」が約半数

PISA2009の生徒質問紙では、学校で学んだことに関しても質問している。「学校を出た後の社会人としての生き方について教えてくれた」「決断する自信をつけてくれた」「仕事に役立つことを教えてくれた」という割合をみると、日本はいずれもOECD平均を下回っている。

5.関連情報リンク

  • 国立教育政策研究所: OECD生徒の学習到達度調査(PISA)
  • 日本においてPISA調査の事務局を担う国立教育政策研究所のサイト。PISA2000から各回調査の要約や分析資料集などが入手できる。
  • http://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/index.html
  • OECD:PISA 2009 Results

  • 明石書店:『生きるための知識と技能4』
  • PISA2009の結果を日本にとって示唆のあるデータを中心に整理・分析した報告書、『生きるための知識と技能4』(国立教育政策研究所 編)を紹介するページ。
  • http://www.akashi.co.jp/book/b81755.html

  • ぎょうせいオンライン
  • PISA2000、2003、2006の報告書、『生きるための知識と技能』『生きるための知識と技能2』『生きるための知識と技能3』を出版するぎょうせいのサイト。図書検索して購入できる。
  • http://shop.gyosei.jp/index.php

『キャリアガイダンス』No.36(2011年5月発行)「とれたてデータクリップ」関連データです。