今後はどうなる?学校独自の奨学金

高校生や保護者からの注目度が高まっている奨学金。全国の国公私立大学を対象に行った「奨学金制度に関する学長調査」から大学独自の奨学金に関するデータを見てみましょう。

出典:「奨学金制度に関する学長調査」(リクルート『カレッジマネジメント』と文部科学省科学研究費「教育費負担と学生に対する経済的支援のあり方に関する実証研究」の共同プロジェクト)
有効回答数:497校

1.私立大学は約3割が給付額を増やす方向

日本学生支援機構の奨学金受給者が増加傾向にある今、大学が独自に設ける奨学金制度の状況はどうなっているだろうか。現在の大学独自の給付型奨学金について、国立では7割強、私立では9割近くが「ある」と回答。しかも、今後の受給総額を「(やや)増やす方針」という大学が国立と私立で3割近くに及び、さらなる充実が期待できそうだ。

独自の給付型奨学金の有無

独自の給付型奨学金の今後の給付総額

2.成績上位者の支援が第一の目的

大学が独自奨学金制度を導入した目的については、国公私立ともに「成績上位者を支援するため」との回答が最も多い。しかしそれだけでなく、「教育理念に合う学生」「地方出身の学生」「地元出身の学生」など、多様な学生の支援を目的とした奨学金があるようだ。入学後の成績や活動により受けられるタイプもあるが、入試時に選考されるタイプも少なくない(例参照)。志望校検討の際には奨学金制度もチェックしておきたい。

大学が独自奨学金制度を導入した目的(複数回答)

3.大学独自の奨学金の例

入試成績優秀者300人に給付

入試の成績優秀者に対する奨学金制度を設ける大学は多い。桃山学院大学(大阪府和泉市)が入試の成績優秀者に奨学金を給付する「入学試験成績優秀者対象特別奨学金」は、全入学定員のおよそ2割にあたる300人が対象。4年間の授業料および施設費半額もしくは全額、あるいは1年次春学期の授業料および施設費半額相当額(26万円)が給付される。ただし、2年次以降の給付については学業成績を基準に毎年審査される。

自宅外通学をする受験生が対象

対象を大学の遠隔地出身者に限定した奨学金も登場している。早稲田大学(東京都新宿区)が新設した「めざせ!都の西北奨学金」は首都圏外の地域の出身者が、約500人を対象に年40万円給付予定(4年間の継続あり)。10~11月または1月に申請、書類選考により合格発表前に採用内定される。慶応義塾大学(東京都港区)にも同様の趣旨の「学問のすゝめ奨学金」があり、107人を採用予定(13年度は申請締め切り)。

公務員や公認会計士の道を支援

将来の目標達成に向けた教育プログラムの一環として、経済的な支援を行う例もある。武蔵野大学(東京都江東区)の政治経済学部が設ける「特別給費チャレンジ制度」は、将来公務員(総合職、一般職、地方上級)、公認会計士、税理士を目指す受験生を支援するもの。入試成績に応じて、約500万円、約400万円、60~110万円のいずれかの奨学金が給付される(4年間分)。2013年度入試での採用予定は合計50人。

※例はすべて2013年度の内容。各奨学金の申請資格採用基準などの詳細については各大学の資料等で確認ください

4.関連情報リンク

    • 「奨学金制度に関する学長調査」…リクルート 進学総研

https://souken.shingakunet.com/research/2012/11/post-13a4.html

    • 『カレッジマネジメント』特集記事…「『奨学金制度に関する学長調査』結果報告」…リクルート カレッジマネジメント

https://souken.movabletype.io/secondary/.assets/2012_RCM177_06.pdf