保護者を交えた三者面談でのケース/回答のご紹介

7月発行号のテーマ:保護者を交えた三者面談でのケース
2年生の7月、保護者との三者面談で。

<やりとり>
 教師:先日の進路希望調査では、Aさんは専門学校希望ということでしたが、お家でもそのことは話されていますか?
保護者:えっ? 大学じゃないの?
 生徒:う~ん、あんまり勉強は好きじゃないし、成績も今一つだから。何か好きなことを見つけて専門学校に行くのもいいかなって。
保護者:何、言っているのよ。専門学校で何かやりたいことがあるの?
 生徒:ええ~、まだよくわからないけど、これからいろいろ調べてみて見つけたいかなと思っていて・・・。
保護者:何、甘いこと言っているのよ。成績が良くないのは全然勉強していないからでしょ。部活、部活って、いつも帰りは遅いし。
    そんなんだから、部活は辞めなさいって言ってるじゃないの。
 生徒:それは、関係ない!
 教師:まあ、まあ。確かに今回の模擬試験の結果は少し下がっていましたが、まだ2年生だしね。
保護者:何言っているんですか、先生!そんなこと言っていたらあっという間に受験ですよ。
    今どき、大学くらい行かなくちゃ。先生だってそう思うでしょ?

(1)管理職の立場として、まずこのような事が起こらないシステム作りを行うことに注力しています。 本校では1年次から始まる体系的な高大連携教育プログラムを企画し、実践しています。生徒は高校入学後すぐに、大学での研究や学びについての詳細を学んでいきます。さらに、大学生と一緒に大学の授業(講義)を受講したり、大学教員から直接指導を受けながら自ら設定した課題に取り組む課題研究を行ったりすることで、自らの興味・関心だけでなく自らの特性を知ることで、ミスのない進路選択を目指しています。偏差値によらない理想的な進路選択を可能にするシステムであると思っています。どこに行くのかを優先するのではなく、何がしたいのか・何が得意なのか・何をすべきなのかということに向き合うことを大切にしています。 (2)上述のようなシステムを構築する以前,私が担任として生徒と向き合っていた頃には,生徒に対して「後ろ向き(消去法)の進路選択ではなく,自分の本当にやりたいことや得意なことを見つけて,保護者を説得することができるだけの本気度ができたら,私は全面的に応援し,一緒に保護者の方を説得してあげる。自らの進路なのだから,誰かのせいや何かのせいにして,そこから逃げてはいけない。自分に対して言い訳をしても何の解決にもならない。自分としっかり向き合う勇気を持ちなさい。」と話していました。気持ちの弱い生徒に対しては,向き合うのではなく,時間をかけて一緒に模索し,歩んでいくという姿勢でのぞみました。

 (愛媛県・匿名)

高校2年生の夏の段階で、これから何か好きなことを見つけて進学先を決めるということ自体が準備不足です。1年生からの計画的なキャリア教育が必要ですが、今まで自分の将来のことを考えさせていなかった、また上級学校についての情報をしっかりと伝えて、指導していなかった学校の責任もあります。しかしこの生徒がその指導に乗ってこれなかったのが原因かもしれませんので、一概に学校の指導力を問うことはできないかもしれません。 ただ担任教師が「確かに今回の模擬試験の結果は少し下がっていましたが、まだ2年生だしね」と発言しているところを見ると、学校は生徒の学年段階に応じた進路意識についてのとらえ方が少々呑気な気がします。 このケースの対応ですが、以下のことが考えられます。
(1)生徒に対して
生徒はあまり勉強が好きではなく、成績も今一つという理由で、大学ではなく専門学校へに進学を希望しています。 専門学校は、勉強が得意でない者が進学するところだと誤解している可能性があります。専門学校で何を学びたいのか、そもそも専門学校とはどのような学校なのかを理解させる必要があります。
(2)保護者に対して
保護者は大学進学を望んでいるようですが、生徒の将来の夢や進路希望によっては、専門学校がふさわしい進学先かもしれません。大学と専門学校の違いを、生徒ともども理解させるよう努める必要があります。 学習成績が悪いことを部活のせいにしています。部活を辞めても成績が上がるとは限らず、部活は生徒の心身の成長に大きな役割を果たしていることを理解してもらう必要があります。2年生の夏に部活は辞めさせるべきではありません。
(3)両者に対して
生徒は面談の席で初めて専門学校への進学希望を伝えています。日頃親子の間で、子供の進路について、十分な話ができているとは思えません。 子供は学校の様子や進路のことを、積極的に詳しく親に話をしない者も多いです。だからこそ、親は日頃から子供の学校の様子を聞いてやったり、子供の将来の進路について関心を持って聞いてほしいということ、そして進学先によっては学費負担の問題もあるので、生徒には親によく相談するよう伝えます。

(兵庫県・井上仁志先生)

いかがでしたでしょうか。 この連載では読者の先生方のご回答と、実際のお悩み例をとりあげていきます。実際に先生がお困りになられた生徒さんのケースをお寄せいただければ幸いです。自由にお書きください。

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