社会と共に生徒を育てる

この4月から新課程が始まり、刷新された学力観を軸に、本格的な教育改革が始まります。その大きなテーマの一つが、生徒の学びをどう実生活や社会、さらには将来とつないでいくか、ということではないでしょうか。そしてそれは本質的に、学びが「みんな同じ」から、「一人ひとり違う」へ変わっていくということでもあります。なぜならば、それぞれの生徒の生活、社会の見方や関心、そして将来は異なるからです。  そのような教育を実現していこうとしたとき、どうしても学校という場所、教科書や参考書、先生というサポーターだけではなく、もっと広いフィールドが必要になります。さまざまな理由で学校外との連携はハードルが高いと感じている先生方も多いと思いますが、取材で見えてきたのは、学校と共に高校生を育てたいという社会側の多くのプレーヤーの姿。そこには、「高校や高校生と共に、これからの社会を創っていきたい」という熱い思いがありました。特集では、社会側のそんな動きと共に、試行錯誤しながら社会と共に生徒を育てようとしている先生、コーディネーター、高校の声をご紹介しています。  そのなかで、社会と学校の両方から繰り返し出てきたキーワードが、「負担」ではなく「分担」、「連携」から「共創」へ。学校と社会が役割を分担しつつ、よりよい社会を、生徒と先生と社会の人々が共に創っていく。この特集が、そんな共創を生み出すヒントになれば幸いです。

林知里(本誌デスク)