教えて! 教員養成改革で学校現場はどうなる?
中央教育審議会で、教員養成の改革案が決まったといいます。教職課程の単位数を減らすことに関しては昨年来、ネットでも話題になっていました。学校現場に、どんな影響があるのでしょうか。

中教審での審議は、2024年12月の諮問「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策について」を受けたものです。同時に諮問された「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」と両輪で、養成・採用・研修の一体的改革を行おうとするものです。次期学習指導要領を実現するためにも、学校の機能強化が必要だというわけです。
教員養成改革のキーワードは「強み専門性」です。養成段階から教職志望者には何を自分の強み専門性とするかを定め、それを入職後から教職の生涯にわたって伸ばしていき、専修免許状の取得も目指します。その結果、学校が多様な強み専門性を持った教職員で構成されることになり、同質性の高い教職員集団よりも教育の質は上がる――との考え方に基づいています。
高校の1種免許状取得に必要な単位数は現在59単位ですが、これを56単位として教科・教職に関する科目の内容を見直す一方、20単位分を学位課程(学部教育)の「強み専門性に係る内容の学修」で充てます。一般学部(非教員養成系)の場合、実質的に免許取得のための単位数が20単位減るわけです。単位数よりも、実際に何を学び、何を身に付けたかを重視しようというわけです。
そうなると免許保有者にとっては、これまでの20単位分はいったい何だったのだろう……と思わないでもありません。教育課題の拡大に対応して教職課程で学ぶ内容ももっと必要だ、と考える向きも根強くあります。小中学校の場合、強み専門性20単位を学修して取得した免許状(中学校は56単位)をA、20単位を学修しない免許状(同36単位)をBと位置付けていますが、実質的に2種免許状(短大卒相当)が残るだけでなく、養成段階で強み専門性を持たない教員も容認することになります。
文部科学省は、質の高い教職課程のための「コアカリキュラム」を改定するとともに、各大学に教職課程の開設を認める「課程認定」で、きちんと大学として強み専門性を持った教員を育成しようとしているかを見極めたい考えです。また、教職課程の単位を実質化するためにCBT(コンピューター使用型テスト)問題も作成するとしています。教職志望の学生にも、強み専門性を持った教員になるのだという強い目的意識を持ち、自らカリキュラムをデザインしながら学修することが求められることになります。
強み専門性には教科指導はもとより、生徒指導や教育相談、STEAM(科学、技術、工学、芸術、数学)教育などの他、保育士や公認心理師、社会福祉士など教員養成と親和性の高い資格科目も想定しています。今回の改革の背景には深刻な教師不足もありましたが、改革によって本当に教員志望のすそ野が広がるのか、本当に多様な教師集団が実現できるのかも注視していく必要があります。
ところで専修免許状を目指すというのは、現職教員も例外ではありません。教員を指導する立場や優秀教員表彰者など「特定の実績」があれば、上進のための15単位を10年以上の在職で7単位まで逓減する措置(大学院で8単位の学修が必要)を設けます。2000年度に廃止された措置(6年以上の在職で大学院6単位にまで逓減)が「限定的」(文科省)に復活されることになります。
【profile】
渡辺敦司(わたなべ・あつし)●1964年北海道生まれ。1990年横浜国立大学教育学部教育学科卒業。同年日本教育新聞社入社、編集局記者として文部省、進路指導・高校教育改革など担当。98年よりフリーの教育ジャーナリスト。教育専門誌を中心に、教育行政から実践まで幅広く取材・執筆。近刊に『学習指導要領「次期改訂」をどうする―検証 教育課程改革―』(ジダイ社)。
教育ジャーナリスト渡辺敦司の一人社説 http://ejwatanabe.cocolog-nifty.com/blog/
