進路環境データ2021
進路通信・クラス通信、ガイダンス等でお使いいただけるデータです。
『クラス担任のためのキャリアガイダンス』vol.44 掲載紙面
教室掲示等にお使いいただけます。原寸がB3サイズと大きいため、印刷の際はお使いのプリンターで用紙に合わせて印刷するよう設定してください。
Data Index
◆進学の動向
- WEBオープンキャンパス広がる/ 初の大学入学共通テスト、私大も9割近く利用/ 大学入試は多面的・総合的評価の方向へ/ 将来を見据えた英語4技能の習得を/ 記述式問題で問われる思考力・判断力・表現力/ グローバル化で拡大する国境を超えた学び/ 大卒者の14人に1人は進学も就職もしていない/ 職に直結していく専門学校の学び
◆進学費用の動向
◆社会の動向
- 多様性を認め協働する力が重要/ 真の男女平等へ、求められる意識改革/ 「自ら考え行動」「柔軟な発想」が重要に/ 高卒就職内定率、11月末時点で8割に/ 大卒就職状況はコロナ禍の影響で悪化の傾向/ 副業可能な企業が増加。働き方の多様化進む/ 日本でのAI活用はこれから/ 「自分で社会を変える」を諦めるのはまだ早い!?
◆進学の動向
●WEBオープンキャンパス広がる
『 高校生がWEBオープンキャンパス(OC)に期待していること 』
進学者の9割以上が参加するOC。コロナ禍でWEBでも実施する学校が増加した。内容は学部学科の紹介、入試説明、模擬授業動画の配信、WEBキャンパスツアー、オンライン個別相談など多彩。移動の費用や時間がかからず遠方の学校にも参加しやすいという良さもあるので、積極的に利用したい。
●初の大学入学共通テスト、私大も9割近く利用
『 令和3年度大学入学共通テストの利用大学数 』
初めての大学入学共通テストは国立・公立は全大学、私立も9割近くが利用し、約53.5万人が志願した。内容は前年までの大学入試センター試験に比べ、身近な話題に関連づけた問題や複数の資料から考察する問題などが増加。知識や解法の暗記にとどまらず、実践的に活用する力が求められる。
●大学入試は多面的・総合的評価の方向へ
『 入試方式別に見た大学入学者の割合 』
2021年度入試からの新たな入試区分 * では、そのすべてで学力の3要素 (知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性・多様性・協働性)を問う多面的・総合的評価を実施。校内外の幅広い活動での学びが評価される。
●将来を見据えた英語4技能の習得を
『 2021年度入試における英語の資格・検定試験の活用 』
英語4技能(読む・聞く・書く・話す)を測る民間試験は、「大学入学共通テスト」での活用は見送りとなったものの、個別入試では約半数の大学・短大で活用予定。下の表にあるように各入試方式で使われる。大学入学後やその先のグローバル社会を見据え4技能習得を。
●記述式問題で問われる思考力・判断力・表現力
『 一般入試における出題形式の状況 』
大学入学共通テストへの記述式問題導入は見送られたが、個別学力検査では既にほとんどの国立・公立、半数強の私立が記述式問題を出題している。解答には自らの力で考えをまとめたり、根拠に基づいて論述したりする思考力・判断力・表現力が必要。日頃の授業から自分の考えを言語化する練習を。
●グローバル化で拡大する国境を超えた学び
『 大学生等の留学状況 』
社会のグローバル化に伴い、大学生等の留学者数は8年間で3倍近く増加。2020年度はコロナ禍で渡航が困難な状況となったが、各大学はオンラインを利用した留学プログラムや国際交流を始めるなど、新たな動きも。国境を超えた交流や学びを諦めずに情報収集することが大切。
●大卒者の14人に1人は進学も就職もしていない
『 大学・短大卒業者の進路状況 』
2020年大学卒業者全体に占める就 職 者 等の割 合は79.2%。大学院等への進学者は平均10.4%だが、理系学部の比率は高め。就職が好調だったなか、進学でも就職でもない(無業)者が7.1%存在。大学で何を学ぶか、目的・目標をもって進学することが卒業後の進路につながる。
●職に直結していく専門学校の学び
『 専門学校卒業者の就職状況 』
2019年度間の専門学校卒業者に占める就職者の割合は約8割。その多くが、学んだことを活かせる分野へ就職。なかでも医療、教育・社会福祉、衛生などが好調だ。職に直結するからこそ、高校時代の進路選択のときに適性や興味・関心を見極めたうえで進学することが欠かせない。
◆進学費用の動向
●初年度学納金は約100万円~。分野によって大きな差
『 大学・専門学校の初年度納付金 』
大学の初年度納付金(上記凡例5項目の合算)は、国立はほとんどが標準額82万円だが、独自に値上げを行う大学も。私立は学部系統によって異なる。専門学校の初年度納付金も分野による差が大きく100万~180万円程度。いずれも就学年数によって卒業までの費用が変わるので、入学前に総額の見通しを立てておくことが大切だ。
●受験費用に平均約20万~30万円かかる
『 入学先別 一人あたりの受験費用の平均 』
大学受験費用(受験料、受験のための交通費・宿泊費)は受験回数や受験地によって変わるが、平均30万円前後。加えて、受験スケジュールによっては併願校への入学料支払いが必要な場合も。受験期だけでもかなりの出費となるので、家庭で話し合って受験計画を立てることが大切だ。
●一人暮らしなら年間支出222万円が目安
『 一人暮らしの大学生の年間支出・収入 』
一人暮らしの大学生の年間支出額は平均約222万円。学費と同じぐらいかかる生活費(食費、住居・光熱費、娯楽・し好費など)の準備も不可欠だ。収入面では、一部が奨学金やアルバイトでまかなわれている。コロナ禍で思うようにアルバイトができない可能性も踏まえた検討が必要。
●進学を諦める前に修学支援新制度の確認を
『 高等教育の修学支援新制度 授業料等減免の上限額(年額・住民税非課税世帯) 』
2020年度より高等教育の修学支援新制度がスタート。授業料等減免制度が創設され、返還不要の給付型奨学金が拡充された。支援対象は所得と学業成績・学修意欲の要件を満たす人。対象機関として大学・短大の98.0%、専門学校の73.2%が要件確認を受けている(2021年1月29日現在)。費用面で進学を諦める前に、制度が使えるかどうか確認を。
◆社会の動向
●多様性を認め協働する力が重要
『 ダイバーシティ&インクルージョン推進に対する企業の認識 』
性別や国籍、年齢、経験、価値観などの多様性を認め(ダイバーシティ)、個性を活かす(インクルージョン)ことを重要課題とする企業が9割超。個人の意欲を高め、持続的に成長する組織づくりがねらい。高校の学校行事や委員会、部活動などでも、多様な個性を認め合い協働する意識が必要。
●真の男女平等へ、求められる意識改革
『 各国のジェンダー・ギャップ指数 』
性別による偏見、雇用・賃金などの格差をなくそうと世界各国が取り組んでいる。世界経済フォーラムの「ジェンダー・ギャップ指数2020」によると、日本は男女平等を示すスコアが153カ国中121位と男女格差が大きい。制度の整備にとどまらず、「男だから」「女だから」と考えない根本的な意識改革が男女双方に必要だ。
●「自ら考え行動」「柔軟な発想」が重要に
『 人生100年時代に求められる能力 』
割り振られた仕事を行うよりも、自ら考え行動し、柔軟な発想で新しいものを生み出すことが一層重要に。高校時代から「先生や保護者に言われたからやる」ではなく、自分の頭で考えて率先して行動することを心掛けたい。
●高卒就職内定率、11月末時点で8割に
『 高卒者の就職内定状況 』
2020年度の高卒就職内定率は、コロナ禍の影響で前年比較はできないが、11月末時点で80.4%。なお、高卒者の3年以内離職率は約4割*と高い。早期離職は非正規雇用の固定化や長期無業にもつながる。安易な選択をしないよう、適性診断、企業研究、志望動機の検討など丁寧な準備が欠かせない。
●大卒就職状況はコロナ禍の影響で悪化の傾向
『 大卒求人倍率の推移 』
コロナ禍の影響を受け、2021年3月卒業予定の大学生・大学院生対象の求人総数は前年の80.5万人から68.3万人に減少。求人倍率 * は前年の1.83倍から1.53倍に低下したが、バブル崩壊(1991年)やリーマン・ショック(2008年)の後の経済停滞期のような低水準とはならなかった。
●副業可能な企業が増加。働き方の多様化進む
『 社員に兼業・副業を認めているか 』
兼業・副業を可能とする企業が増加している。可とする理由は「社員の収入増」のほか、企業の枠組みを超えた視点や経験による「人材育成や本人のスキル向上」「社外人脈形成」「イノベーションの創発」への期待など。働き方の多様化が進むなか、固定観念にとらわれずにキャリア形成を。
●日本でのAI活用はこれから
『 現在、職場でAI(人工知能)は使われているか 』
世界10カ国・地域の企業のAI(人工知能)利用状況調査によると、日本の利用率は29%。インドや中国では80%近い。「従業員や顧客のデータ収集」「顧客への応答」などに使われている。正確で効率的なAIの活用が今後ますます増えると予測されるなか、AIを“活用する力”と、AIに“代替されない力”の両方が必要になってくる。
●「自分で社会を変える」を諦めるのはまだ早い!?
『 自分で国や社会を変えられると思う人の割合 』
世界9カ国の18歳に実施した意識調査によると、日本では「自分で国や社会を変えられると思う」の回答が2割に満たない。おかしいと思うことに声を挙げ失敗を恐れず行動することが、周囲を巻き込み、やがて社会を動かす。最初から無理だと諦めず、目の前の小さな行動から始めたい。
※掲載データは『クラス担任のためのCareer Guidance』Vol.44(2021年4月発行)に掲載されたものです。