教えて!「働き方改革の議論、今後どうなる?」

 高校の新学習指導要領が全面実施となって、間もなく丸1年になります。先行実施された「総合的な探究の時間」も含め、現場はますます忙しくなった実感があります。今春にも新たな教員勤務実態調査の結果が公表されると言われていますが、「学校の働き方改革」は今後どうなるのでしょうか。

「働き方改革の議論、今後どうなる?」

 働き方改革をめぐっては、19年1月に中央教育審議会が答申をまとめています。同時に策定した残業時間の上限ガイドラインも含めて働き方改革を進めた上で勤務実態調査を行い、それでも改善できない部分は改めて考えよう…というのが当時の目論見でした。

 最新の実態調査は22年8・10・11月、一部の公立学校を抽出して実施されています。前回の16年度調査と比較できるよう設計されていますが、今回は長期休業中の8月を加えたことと、高校も対象にしたこと(各月100校程度、約1万4000人)が大きな違いです。

 議論の受け皿となる文部科学省の「質の高い教師の確保のための教職の魅力向上に向けた環境の在り方等に関する調査研究会」も22年12月20日に発足し、今月16日には早くも第2回会合が開催されています。与党側でも自民党が萩生田光一政調会長(元文部科学相)の主導で11月に「令和の教育人材確保に関する特命委員会」を設置するなど、準備は着々と進んでいます。

 12月23日には、文科省が毎年行っている「教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査」の22年度結果も公表されました。どうして3日前の調査研究会に間に合わせなかったんだろう…という素朴な疑問はさておき、新型コロナウイルス感染症のため休校措置が断続的に続いた20年度を例外とすれば、残業時間の上限ガイドラインで示された月45時間以下をクリアできた高校教員は63.4%で、19年度から約10ポイント増えています。ただし21年度と比べると微減となっており、改革が足踏みしている様子もうかがえます。

 注意しなければならないのは、これが教委の把握する「実態」だということです。勤務時間をめぐっては、内田 良(名古屋大学教授)らの独自調査をはじめ、管理職から「過少報告」を求められたという話も、各地で報じられています。文科省調査は教員を直接の調査対象としていますから、正確な実態が明らかになることを期待したいものです。 

 もっとも現場にとっては、多少なりとも多忙化が改善したという実感はないでしょう。都道府県単位など対象を限定した各種調査を見ても、好転の兆しは期待できそうにありません。

 自ら特命委員長に就いた萩生田政調会長は、教職給与特別法(給特法)の改正に意欲を示しています。しかし16年度勤務実態調査に従えば、現在4%の教職調整額を30~40%に引き上げなければならず、国と地方で約9000億円の追加支出が必要になるという推計を当時、文科省の担当課長が中教審の特別部会で披露していました。しかも、あくまで義務制に限った話です。
勤務実態がそれほど変わっていないとしたら、防衛費はもとより子ども予算の財源確保も課題となっている中、給特法の見直しに本気で乗り出せるとは、とても思えません。調査研究会でも、教員の勤務は自発性・創造性に基づくべきだという給特法の理念を維持するよう求める意見が相次いでいました。

 教員勤務の厳しい実態は、昨年6月に内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)で決定された教育・人材育成の「政策パッケージ」にある通り、教育支出はもとより学校の役割や教職員配置の見直し、さらには次期指導要領の改訂も含めた総合的な政策として考えなければ、とても解決できそうにありません。現場としても今後の動向に注目し、声を上げていく必要があるでしょう。

参考
https://souken.shingakunet.com/secondary/2022/03/post-2599.html