CASE.2 やりたいことはないが、とりあえず大学には行きたいと言う生徒
進路指導の場面で悩む場面、ふと立ち止まる瞬間があっても、立場上、なかなか率直に相談できる相手がいなくて、お困りの先生方も多いはずです。
カウンセリングの領域では、カウンセラーが自身の担当する個別のケースについて、熟練した指導者と対話し、自身のカウンセリングの過程や問題点を振り返ることで、より良いカウンセリングのあり方を模索する手法があります※。
この連載ではキャリア・カウンセリングの専門家である三川先生と現場の先生方の対話を通じて、現場の先生ご自身が「より良い進路指導のあり方」を考えていく様子をレポートします。
※「スーパービジョン」という手法。事例をもつカウンセラー(スーパーバイジー)と指導者(スーパーバイザー)で行う。
CASE.2 私立の中高一貫校 クラス担任 増本先生(仮名) 50代前半
既に卒業している生徒なのですが、今も「もっと良いアドバイスができたのでは」と引きずっている生徒がいます。
高3から担任として受け持つことになった、生徒Bさん。4月に面談すると、このように言いました。
やりたいことがないし、勉強する意味もわかりません。
でも、とりあえず、大学には行きたいです。
親は「有名な大学に進学したほうがいい」と言うのですが…。