カレッジマネジメント Vol.178  Jan.-Feb.2013

カレッジマネジメント Vol.178 Jan.-Feb.2013

女子マーケットを探る

リクルートが行う調査データ、国内外の先進事例、人材市場、専門家の解説などにより、「大学経営のサポート誌」としてタイムリーなテーマを発信しています。

編集長が語る 特集の見どころ

 女子の大学進学者が増加している。1992年からの20年で、大学進学者数は12%増しているが、その内訳は男子が8%減なのに対し、女子は55%増となっている。最近、多くの大学から女子の進学者マーケットの動向について相談を受ける。そのため、今回の特集では女子マーケットの動向を分析してみた。

 では、なぜ女子の進学者が増加しているのか。まず、産業構造の高度化に伴い、短大進学者が減少し、短大の4大化が進行したためである。1992年に591校あった短大の数は、2012年には372校に減少。一方、受け皿となる大学数は、523校から783校に増加している。

 次に女子が一生働く時代になったことが挙げられる。長引く不況から、主婦は高根の花と言われるようになった。女子高校生にインタビューを行っているが、近年はこんなことを言う。「私が400万円稼ぐから、旦那は400万円稼いでくれる人で良い。その代わり、結婚しても、子どもが生まれても、旦那が転勤しても一生働いていける資格を取りたい」

 つまり、女子の大学進学希望者にとって最も重要なのは、「将来のキャリアデザイン」なのである。「結婚」「出産」「配偶者の転勤」など、男子とは異なるハードルをいくつも越えなければいけない彼女たちのキャリア設計に対して、大学はこれまでと違った対応が必要になるかも知れない。男性のロールモデルは多いが、働く女性のロールモデルは多くない。これは、大学だけでなく、日本社会のダイバーシティ推進に向けての大きな課題でもある。

 そして、もう一つ。多くの時間を過ごし、学ぶ場所としての「キャンパス」も大きな要素である。女子高校生が大学を選ぶ際、必ず口にするのが『雰囲気』である。雰囲気は、在校生や教職員の様子、キャンパス、そしてサポート体制など、様々な面から構成される。

 女子の進学者は男子より将来の不安要素が多い。そのため、男子より大学を見る目は厳しく、動きも早い。こうした、女子の進学者について、今回の特集では多面的に分析しつつ、女子学生募集で成果を上げている大学の実例を紹介する。