キャリアガイダンス vol.419 2017.10

「働き方改革」で、どこへ向かう?

「子どものため」は多忙化の原因でもあり、改善の要因でもある/「多忙」とどう向き合い、取り組むか/「チームとしての学校」が描くこれからの教育現場/管理職の「本気」と「覚悟」が学校を変える

編集長が語る 特集の見どころ

 今日の社会の変化は、第4次産業革命と称される産業構造の変化のみならず、働き方の在り方の見直しも求めています。このパラダイムシフトは、今まさに変革の渦中にある企業の現場から、教育の現場へ。学校、先生を取り巻く働く環境の実態は改めて言及するまでもありませんが、置かれている状況こそ異なっていても「生徒たちのため」という先生方の思いは皆同じ。しかしながら、この「生徒たちのため」が時として多忙化を加速させる要因につながっている実態も見受けられます。

 6月22日、当時の松野文部科学大臣より、学校における働き方改革に関する総合的な方策についての検討が中央教育審議会に諮問されました。長時間勤務、連続○日勤務という深刻な状況はもはや看過できません。教科の壁、学年の壁、学科の壁、分掌の壁……教職員が一丸となって考える機会をもちにくい状況も要因のひとつとしてあるのかもしれません。
 では、この多忙な現実にどう向き合えばいいのでしょうか。勤務実態の見える化はそのための第一歩に過ぎません。「生徒たちのため」とbuildばかりで思考停止に陥るのではなく、学校現場の当たり前を見つめ直し、「やめる勇気」「捨てる覚悟」も必要です。でも、減らそう、やめようだけでは、モチベーションは維持できません。この葛藤をどう乗り越えていくか。
 本特集では、学校現場における働き方改革について考えてみました。多忙な要因は?多忙感とはどう違う? 働き方改革の“その先”に何が描かれているでしょうか。そしてこの教育改革にどう取り組んでいくか。考えるきっかけ、ヒントがあれば幸いです。
山下 真司(本誌 編集長)