キャリアガイダンス vol.422 2018.5

個人として、組織として
学校改革にどう取り組む?

学校とは何か、何をするところか?/「教育論」から「組織論」へ 教師全員による学校づくり/学校改革に挑む実践事例&教師対談/誰もが未来の創り手になる時代/教師個々の軸を確立し、組織づくりへ

編集長が語る 特集の見どころ

 2020年度から始まる大学入学共通テストの1期生となる新入生も高校生活に慣れてきた頃ではないでしょうか。「三位一体の教育改革」が叫ばれて以来、大学入学共通テストや高校生のための学びの基礎診断の導入、学力観の転換、新学習指導要領の公示、主体的・対話的で深い学びやカリキュラム・マネジメントの取り組みなど、今高校現場には教育改革の波が次から次へと押し寄せ“待ったなし”の状況にあるのかもしれません。これからの時代に必要となる資質・能力を育んでいくために、「何ができるようになるか」「何を学ぶか」「どのように学ぶか」、そして「何が身に付いたか」のカリキュラム・マネジメントの視点が欠かせないことは、既にご承知のとおりです。

 全国の高校の訪問を通じて、ある変化を感じています。それは高大接続改革について審議されていた数年前の頃とは異なり、今、高校が動き始めているということ。プロジェクトチームを組んでスピード感をもって取り組んでいる学校、五月雨的に発信される情報にも翻弄されることなくビジョンを掲げて取り組んでいる学校、従来の取り組みを再定義して磨きを掛けている学校など。その一方で、不安や焦燥感の中で思うように身動きが取れない学校、他校の動きを見つつ今は静観している学校、これから取り組みを検討し始める学校など。「何から、どう取り組み始めればいいのか」そんな声を耳にすることも少なくありません。柔軟に学校経営の舵を切ることは容易なことではないと思います。しかし ながら、アクティブ・ラーニング創世記の時のように教師個人に依存するのではなく、学校組織としての取り組みに昇華していくことは欠かせません。動き始めた学校は、何が違うのでしょうか。学校づくりのために大切なことは何でしょうか。
 本特集では、教育現場としての学校や教師個人の原点にも立ち返りながらこれからの「学校づくり」について考えていきたいと思います。変化をチャンスに変えていくために。
山下 真司(本誌 編集長)