キャリアガイダンス vol.424 2018.10

なぜ今,「探究」なのか?

そもそも探究とは?なぜ探究が必要なのか?/新学習指導要領が示す新たな探究の時間とは/カリキュラム・マネジメントの中核としての総合的な探究の時間/探究活動 実践事例レポート/探究学習への進化に役立つBOOK GUIDE

編集長が語る 特集の見どころ

 新しい学習指導要領が告示されて半年が経ちました。「資質・能力改訂」と称されるように、育成を目指す資質・能力が学習者主体の視点で再構築されています。高校においては、教科・科目の枠組みも見直されるなか、名称が変わり、内容も進化した「総合的な探究の時間」。
 各学校においては校内研修会などを通じて理解を深め、年間指導計画の立案に向けて検討が始められているのではないでしょうか。来年度からの先行実施を見据えて、プロジェクトチームを結成して検討を始めた学校、探究を核として教育課程そのものを大きく見直す学校改革の動きも見受けられます。
 他方で、「現行の内容と、何がどう変わったのか?」「テーマはどう決めればいい?」「今の取り組みを変える必 要があるのかどうか…」「受験対策に本当になるのか?」など、不安を隠し切れない現場の声も伝わってきます。

 なぜ今、「探究」なのでしょうか。
 今日の社会経済環境が、極めて予測困難な状況に直面していることは言うまでもありません。加えて「Society 5.0」に象徴される、科学技術の発展に伴う新しい社会へのパラダイムシフト。人工知能が「解なし」と結論を導いたとしても、思考停止せず、納得解を探し出す資質・能力が子どもたちに求められます。
 学びを教科学習に閉じることなく、探究を中核とした教育課程全体をデザインし、カリキュラムをどう描くか。それぞれの学校が掲げる教育目標とシンクロしながら、探究の目標を踏まえた取り組みこそが、本気で自己に向き合う学びにつながり、その積み重ねが学校文化をも形成していくのかもしれません。
 多忙な状況下で教育改革に奮闘されている先生方の状況を察すると、決して容易な取り組みではないと思います。それぞれの学校の実情にあわせて、例えば、担当教科と探究を意識してつなげることなど、出来ることから一歩でも前に進めることができたら。自己の在り方生き方を考えながら自ら問いを立て向き合っていく学びこそ、子どもたちの主体性や志を育むのだと信じています。「これから」を生きる、そして未来社会を創り出す、主体を育んでいく「探究モード」へ。
 今号、そして次号の2号にわたって「探究」について考える特集をお届けします。
                         山下 真司(本誌 編集長)

■特集■

なぜ今、「探究なのか」

そもそも探究とは? なぜ探究が必要なのか?

黒上晴夫(関西大学総合情報学部 教授)

新学習指導要領が示す新たな探究の時間とは

渋谷一典 (文部科学省初等中等教育局 教科調査官)

Report1 探究で育む生徒の資質・能力

事例① 金沢泉丘高校(石川・県立)
事例② 佐伯豊南高校(大分・県立)
事例③ 大阪ビジネスフロンティア高校(大阪・市立)
事例④ 玉川学園中学部・高等部(東京・私立)

カリキュラム・マネジメントの中核としての
総合的な探究の時間

田村 学 (國學院大學人間開発学部 教授)

Report2 探究をカリキュラム・マネジメントでどう位置付けるか

事例① 浦河高校(北海道・道立)
事例② 広島叡智学園中学校・高校(広島・県立)

探究学習への進化に役立つBOOK GUIDE

■連載

進路指導実践を磨く!

二階堂高校 (奈良・県立)

進路指導ケーススタディ

第7回 文理選択の迷いに、どう向き合う?

先進校に学ぶキャリア教育の実践

佐川学校 (高知・県立)

教科でキャリア教育『英語』

和田 玲先生 順天中学校・高校(東京・私立)

『希望の道標』

第47回:Love's Gallery/代表 竹本(旧姓:藤原)愛

今、教育が変わるとき。 LEADERS

仙台高等専門学校 校長 福村裕史
目白研心中学校・高校 校長 松下秀房

Top Interview -変革に挑む-

学校法人片柳学園 理事長 千葉 茂
中部大学 学長 石原 修

リクルートサービスを活用した進路指導実践事例

【進路】雪谷高校 (東京・都立)
【学習】石見智翠館高校 (島根・私立)

■別冊付録

AI時代を生きていくために
必要な力とは?

AIで代替できない
“人だからこそ”の能力とは何か?


事例レポート:武蔵野美術大学

美術大学の強みを活かして
社会の各分野でイノベーションを起こす
「創造的思考力」を養う