キャリアガイダンス vol.425 2018.12

「探究」で育む
資質・能力とその評価

探究の問いをどう“自分ごと化”していくか?/生徒が自ら伸びていく「探究」をどう仕掛けるか/探究の仕掛けをドライブする ツール&リソース/探究をどう捉え、どのような評価観をもつべきか/探究活動の評価を模索した20年/質の高い問題解決者を育てるために/「探究」のあるこれからの学校

編集長が語る 特集の見どころ

 「アクションを気にしすぎて自分の好きなようにできなかった」「私の班は大船渡も大船渡ではない所も学べてない気がする…。今思っていることは堤防なんて調べなきゃよかった」。「大船渡学」で探究学習に取り組む生徒たちの振り返りのコメントの一部です。
皆さんは何を感じるでしょうか?

 新しい学習指導要領において、高校は「総合的な探究の時間」へと進化しました。なぜ高校だけが変わったのでしょうか?そこに込められたメッセージとは何でしょうか?
 新旧学習指導要領の比較を通した理解に加え、学習者の視点に立ち、中学・高校を通じた学びの縦の連続線で捉えてみることで浮かびあがるテーマがあるように思います。
 生徒のキャリア発達段階に応じて、特に高校生ともなれば、設定する探究テーマは自己の在り方生き方と大きく関わっていくもの。課題と自身との関係で何度も繰り返し捉え続けていくことが求められます。
 しかしながら、自ら問いを立てることは決して容易ではないことは、先生方も実感のあることだと思います。どうしてそれが気になるのか?〝活動あって学びなし〞ではなく、本物に触れ、本気で知りたい、自分がなんとかしたいと思えるかどうか。問いが〝自分ごと化〞した生徒たちの学びは、教員の予測を超えて、深く広がりを見せていくのではないでしょうか。
 探究を通じて育んでいく資質・能力とは?問いをどう立て、磨くのか。そして探究活動の評価をどう考えればいいのか?
 人生が問題解決の連続であるとすれば、探究に取り組むことが、生徒ひとり一人のキャリアを切り拓く糧となるはずだと思っています。だからこそ今、すべての学校で探究モードへ。前号に続き、本特集がお役に立てれば幸いです。 
                         山下 真司(本誌 編集長)