カレッジマネジメント Vol.175  Jul.-Aug.2012

カレッジマネジメント Vol.175 Jul.-Aug.2012

2020年そのとき大学は

リクルートが行う調査データ、国内外の先進事例、人材市場、専門家の解説などにより、「大学経営のサポート誌」としてタイムリーなテーマを発信しています。

編集長が語る 特集の見どころ

 1983年7月、リクルート『カレッジマネジメント』の第一号が創刊された。当時の社名は「日本リクルートセンター」。目次のトップは「減少し始めた私学助成の行方~“冬の時代”に何をなし得るか~」であり、文部省所管一般会計予算額が、戦後の混乱期を除いて初めての減少に転じたと記されている。

他の記事でも、1991年を境に18歳人口の減少が予測されており、大学にどのような影響があるのかが論じられている。また、1981年の大学・短大進学率は36.9%であり、1976年の38.6%をピークに減少していることへの危機感が記されている。

 果たして現在、大学・短大への進学率は50%を超え、大学数も増加してきた。進学率の上昇により、当時予想されたほど、高等教育進学者は減少していない。しかし、18歳人口は今後増えることはなく、2018年以降は大幅な減少が目前に迫っている。加えて、IT化、グローバル化、ダイバーシティの進展により、産業構造の大きな変化が予測される。

 そこで、30周年を迎えた今号では、リクルート ワークス研究所が予測した2020年の産業構造の変化や雇用環境、働き方の変化に基づき、“2020年 そのとき大学はどうなっているのか”について、いろいろな角度から考えることにした。

 座談会では、ワークス研究所の予測や政府の将来予測をもとに、2020年を見据えた大学の人材育成について議論を行った。産業構造の変化と人材ニーズ、高齢化社会、グローバル化への対応、地方大学のあり方、ダイバーシティの推進といった様々なテーマのなかで大学はどうあるべきなのか、2時間の座談会では足りないほど、白熱した議論が繰り広げられた。

 事例では、2020年に向けて大学のビジョンや中期計画を策定している3つの大学について、どのような観点に基づいて将来を見通しているか、どのような人材を送り出す、どんな大学を目指しているのか、についてリポートした。

 また、数十年後、この号を読み返してみると、予測とは全く違った社会や高等教育機関の状況になっているかもしれない。その時には、現在の危機感を笑い飛ばせるくらいの良い形での変化であって欲しいものである。最後に、多くの皆様に支えられ、『カレッジマネジメント』が無事30周年を迎えられたことに感謝したい。